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「駅弁大学のヰタ・セクスアリス」 性対象になるよりかずっと楽しそうな、性の主体の彼女たち

https://novel18.syosetu.com/n2641hr/

「駅弁大学のヰタ・セクスアリス」(注:18歳未満は入れません)

「駅弁大学のヰタ・セクスアリス」が完結しました。
毎日寝る前に更新を読んでいたので、さみしいものです。
古くは夏目漱石の「こころ」から、新しいものでは「ぬこー様ちゃんの絵日記」まで。連載をリアルタイムで追いかけるのはとても楽しいことだと思います。
1日のゴールに「新しい物語」が用意されているなんて、なんて贅沢!

完結したからには、次は一気読みを楽しむしかありません。
リンク先のタイトル、どれも見るだけでも楽しくなります。

駅弁大学の「ゲームサークルに集う男女の人間模様」を描いた物語。
大学入学までは全くのお嬢様だったのに、かどわかされ、youtube「ヤリスチャンネル」に出演するようになり、性的な快楽に「溺れることの快感」に目覚めた中嶋弥生。
アロマンティックアセクシャルで、セックスにも恋愛にも関心がないはずなのに、ゲームの最終ステージで、レイプされることの快感に目覚めた天津原涼子ファインモーション。
駅弁大学の若い先生でありながら、二輪の自動車講習が縁で田中逸郎とつきあうことになった横尾すみれ。
ジェラシーや百合的展開、そして、大学時代ならではの甘酸っぱい友情や心配事が縦横無尽に描かれていて、どこから読んでも楽しい!
(どこも使える!という感想があったそうだが、「使える」の意味に関してはわたしはあまりにも無頓着でしたw)

なによりもエロいシーンがてんこもりで、しかも彼女たちは「性の主体」として、この状況における自分の身体の声と心の声を発し続けます。
それに加えて、スーパー頭脳のすみれやファインモーションのあっと驚く解決行動!
スーパーではないにしろ、誠実と、裏目にでる誠実を同居させながら、彼女たちに翻弄される田中逸郎

男性の小説の中には男性が主体のエロ小説がもちろん多いです。それに関して、どうこう思うことはありません。
ただ、この小説は女性が自分の身体の欲望と向き合って、自分の欲する快感と向き合っているのがありありと伝わって。だから、よけいにエロく感じるのです。

作者である深海くじら氏の呟きでこういうのを見たことがあります。
「爪が伸びていると、今日の自分はおにゃのこの身体を触れない。そう思いながら爪を切る」のだそうです。

伸びた爪で不用意に傷つけられないこと。時間がやまほどある大学時代にしか味わえない空気の中にいること。自分の性欲に徹底的に向き合い、自分の性的欲求がどこにあるかを探究することができること。そして、打算もなく、好きな人と好きなように存分にセックスできること。

リアルワールドで100パーセントそういう世界にいることが叶えられないのは百も承知。

だから、この幸せでエッチな小説を繰り返し読むのはとても楽しいものです。




おまけ:もともとこの小説は「カクヨム」での連載でしたが、人気が出るにつれ過激なシーンが問題になり、警告のすえ「カクヨム」での連載が中止になりました。
そこから「小説家になろう」の「ノクターンノベルズ(男性向け)」に移籍となったわけですが、佳境に入ってのいったん中止は本当につらかったです。




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