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本を読むこと、わたしのこと

わたしは小さい頃から本を読むことが好きでした。

小さい頃は絵本が大好きで、自分で物語を創って絵を描いて遊んでいました。部活に夢中になっていた中高生の頃も、時間があれば学校の図書室や町の書店によく通っていました。宅浪していた1年間はほぼ地元の公立図書館の自習室で過ごしました。

大学生になると本を読む時間はかなり増えて、ただ読む本は、物語ではなく論文や研究書などがメインになり、情報を得るための大切なツールになりました。いわゆる名作とよばれているような作品もこの頃に何冊も読みましたが、純粋に楽しむというよりは自分の課題や論文のために読んでいました。もちろんその中で好きになった作品もたくさんあります。

大人になって仕事にむかうようになり、本を読む時間が減ってきたように感じていましたが、この今の状況でまた本をひらく時間が増えてきました。仕事柄、日々たくさんの新刊が世に出ていく様をみていることもあり、タイトルや装丁に惹かれてページをめくりたくなる本にもよく出会うようになりました。

わたしはいわゆる現場型のオタクなので、旅行や遠征の予定が殆どなくなってしまったここ数年、今までのわたしでは考えられないほど長い時間を家とその周辺で過ごしています。メンタル的にまいりかけることもありますが、なんとかうまくやっていて、というのも今はありがたいことにオンライン上で少しばかりの気晴らしなら見つけることができるし(逆に気が滅入ることもあるけれど)なにか本を開けばその世界に没頭できる。そんな感じでここ数年を生きています。

前置きがかなり長くなってしまったけれど…ここ最近読んだ本のなかで特におもしろかった作品のこと、そして思ったこといろいろについてをたらたらと書いてみようと思います。わたしの文章力ではうまくネタバレできないので後者がメインになりそうです。読書のアウトプットとして、個人的な記録、備忘録的な意味もこめて。

◆『ミッテランの帽子』『赤いモレスキンの女』
 
アントワーヌ・ローラン 著/吉田洋之 訳

今更、という感じが否めませんが、良き2作品でした。フランス語の翻訳本で、うっとりするような物語が心地の良い時間の流れのなかで綴られていてどちらもわたしの心に残るものでした。山高帽、モレスキンの手帳、というメインのモチーフだけでロマンチックに感じてしまいます。

わたしは美術史を専攻していたのにもかかわらず、フランスものがあまり得意ではないこともあり(ヴァレリーやエリュアールの詩集など大好きなものもありますが)Instagramで書影をみかけなければ手にしていなかったであろう本です。素敵な表紙。

翻訳された作品って、特に大人になってからは手に取ることが実はとても減っていて。日本の作品だけでもすばらしいものが読み切れない程出版されているうえに、わたしにとって翻訳された本はなかなか読み進めるのに時間がかかるので、いつからか苦手、とはあまり言いたくないけれど、そんな意識が芽生えていたような気がします。

言いまわしとか慣用表現が完全に日本語のそれと合致するものばかりじゃないし、生活文化が違えば文面だけで情景や心情がそのまま通じるわけはなくて、日本語ネイティブ同士だって齟齬が生じることもままあるのだから。
まあ、そんな感じで勝手に苦手分野としていましたが、わざわざ日本語訳されている作品っていうのはやっぱり読んでほしい!からこそなのだろうし、読まないのはもったいないな、と今は思っています。そしてどこかの国でも同じように日本の素敵な作品が他言語で読まれていると思うと勝手に嬉しくなります。翻訳者さんの仕事ってすごい。この2作品もそうだけど、次にあげる作品も翻訳が秀逸すぎてとても読みやすくすぐに惹き込まれました。(偉そうにすみません)

◆『シブヤで目覚めて』
 
アンナ・ツィマ 著/阿部賢一, 須藤輝彦 訳

チェコ語で近年出版された作品ですが、日本の近代文学をキーワードに、現代の渋谷が舞台のひとつにされていることもあって不思議と読みやすくどんどんページをめくってしまいました。場所的にも時間的にもトリップできます。

わたしにとって今でこそとてもなじみのあるシブヤの街の描写は、上京する前に何度か訪れた時のふわふわとした印象のようで、田舎に住んでいた頃のわたしがもっていた東京への憧れみたいな気持ちを思い出させてくれました。

物語の終わり方もわたしは好き。本当におもしろかった!現代のチェコの小説をなにか読んでみたいと思ってくれる人には絶対おすすめです。いや、色々な人におすすめしたいっ。そしていつか原文で読みたい。

作中にも出てくるのだけど、日本のマンガやアニメ、音楽、ファッションなど他のヨーロッパのようにチェコの同世代にもよく知られているようで、新刊の並ぶ本屋さんでナルトの翻訳本をみつけたり、ベイブレードがチェコ語で放送されていたりと驚かされたのを思い出します。チェコで仲良くなった友人たちも、日本のヴィジュアル系バンドや映画やお笑いに詳しかった。何ならわたしよりもよく知っていたんじゃないかしら。この辺の思い出話はまたいつか。

◆『バグダードのフランケンシュタイン』
 
アフマド・サアダーウィー 著/柳谷あゆみ 訳

これは積読なのですが…読みすすめたいと思っている本。わたしの知識が乏しいこともあり、いつも以上に時間を要しています。とても興味深い内容なので読み終えたいもの。

どんな世界でも血の流れる争いなんてないことが一番だし、そうあるべきだと思う。みんながみんな自分の思うようにはならないのが人間社会だけど、生命が脅かされないということだけはまもられてほしい。

しかしアラブ文学なんて翻訳が出なければ一生出会えない世界。本当にありがたいです。今年もいろいろな文化圏の作品に出会いたいな。今回は翻訳作品のことばかりになってしまった…気がついたらこんなに長々と…

なにか映画を見たあともだけど、誰かと感想をいいあうとかがわたしは得意ではなくて、作品の評価、みたいなことはもちろんわからないので、書けること、書き留めておきたいことというと上に綴ったようなことしかないのですが。頭の整理になったのでまた読書記録として書いてみようかなと思っています。

いつか小さい頃から大好きな長野まゆみや小川洋子、何度も何度も読み返した絵本なんかについても書いてみたいな。わたしが美術に興味をもったきっかけも今考えると小学館のあーとぶっくシリーズの存在が大きかった気がするし。それこそ愛する楠本まき作品について書いたときみたいにとりとめもなくなってしまいそうだけど。笑

最後まで読んでくださった方がいらっしゃったら、ありがとうございました!わたしにおすすめの本があったらぜひ教えてほしいです。

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