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海外進出に「覚悟」を持って取り組んでもらう為の戦略共創プロセス

こんにちは。世界へボカンという海外向けWEBマーケティングを行う会社で、「日本の魅力を世界へ伝える」というミッションの元、日々、日本企業の海外進出を支援しております。

名刺交換で名乗るたびに「へ、ボカン?」と言われるのですが、
「世界へ ボカン!」です。「ボカン」は世界に羽ばたく時の音です!

これまで12年ほど海外進出支援をしていく中で、多くの企業に新規事業として海外進出に取り組みたいとご相談を頂いてきました。

そういった企業のごく一部には予算を十分取っていなかったり、国内のやり方をそのまま踏襲しようとしたりで新しい市場で闘う覚悟が足りない企業もおります。

※覚悟とは困難な事を予想して、それを受け止める心構えを指します。

「この市場で自分たちのプロダクトを浸透させていくんだ!」という揺るがない「覚悟」がなければ、リソースをオールインしている現地企業に打ち勝ち、成功するのは難しく、進出する企業も支援する側の双方が踏み込みきれず、良い仕事ができません。

これは私たちのようなコンサル側にも原因があり、「覚悟」がなくてもソリューションは提供できてしまうので、「売る」事が先行してしまうと、
海外進出を支援するソリューションパートナーという関係から、お客様とサービス提供側という関係に変わってしまい、相手を受け身にさせてしまうからではないかと考えています。

そんな心の葛藤がある中、一つの課題を解決する方法が見えてきたのでnoteの筆を執りました。海外進出だけでなく、新規企画をチームで実施していく際に応用ができると思います。

戦略を共創し、「覚悟」を持ってもらう

先日、Twitter上で、「覚悟」を持ってもらうためのネーミングやステートメントの共創プロセスという投稿を拝見し、私は衝撃を受けました。

何故、衝撃を受けたかというと、私のこれまでの「覚悟」に対する前提の理解とは全く違った考え方だったからです。

これまで、コンサルティングする際やセミナーで登壇をさせて頂く際に、「海外で新規事業を成功させるために覚悟を持って取り組んでください!」と伝えていました。

しかし、この投稿を見かけて、「覚悟」というものをクライアントが元々持っているモノという前提の理解から「共創」するものという理解に変化しました。

Twitterを投稿した加来さんはネーミングやステートメントを共創するプロですが、戦略を考える私の仕事にもこの考えは応用できると考えました。

相手に「覚悟」があるかどうか見極めて、支援できる企業が1だとすると、戦略を共創し、プロセスを通して覚悟を持ってもらう事ができれば、3倍、5倍以上の企業と海外進出の取り組みができると考えました。

それでは、どのような共創プロセスが海外進出に「覚悟」を持ってもらう為に必要なのでしょうか?

海外進出に「覚悟」を持って取り組んでもらう為の戦略共創プロセス(仮)

海外進出に「覚悟」を持って取り組んでもらう為の戦略共創プロセスは、3C分析、4P分析、STP分析をするところからはじまります。このステップをおざなりにして運用型広告やSEO等の施策に入ってしまうと施策をやる事が目的になってしまう為、とても危険です。

■ 3C分析

3C分析は最もシンプルで市場全体の理解が深まります。「覚悟」を持ってもらうための戦略共創プロセスの最重要ステップです。

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これをやる事で、「自社のプロダクトは国内で売れているから海外でも売れるだろう」というプロダクトアウト的な発想から、実際に競合プロダクトを試してみたり、現地の方のフィードバックを得る中で市場、顧客、競合の理解が深まり、マーケットイン的な発想に変化します。

■3C分析
▢1.Customer:市場の理解
・市場規模を知る
・市場のニーズを知る(ユーザーの願望、悩み)
▢2.Competitor:競合を知る
・ 競合のプロダクトを試してみる
・ 競合が何処のチャネルで顧客接点を持っているかを知る
▢3.Company:自社を知る
・自社プロダクトの顧客提供価値を整理する
・自社と競合を比較した際の競争優位性を整理する
・自社プロダクトのコンセプトを決める

例えば、はじめて基礎化粧品を海外で販売するとして、競合の存在や市場のニーズを知らずに広告を配信するのでは、何を訴求すべきかが分かりません。その為、進出する前に、ターゲットする国で想定顧客を集めてサンプリング会をし、顧客の声をヒアリングします。

サンプリング会でヒアリングする内容(例)
・普段どんな商品を使っているか?(競合製品)
・その商品に持っている不満は何か?(競合製品に対する不満)
・サンプル基礎化粧品を使ってみてどうだったか?(使用感)
・この商品を友達に紹介するなら何と紹介するか?
・商品A、B、Cどれが良いか?(複数商品があればヒアリングをする)
・基礎化粧品を選ぶ時、何を一番重要視するか?(顧客の判断基準)

海外市場では顧客のニーズも競合の特性も異なる為、こういった事前調査をする事で、今のコンセプトでその市場で戦うべきか否かという選択肢が生まれます。先日、東南アジアでサンプリングをやった際も当初想定してきた訴求軸が全く刺さらず、副次的な効能だと私たちが考えていた事の方がユーザーに刺さっていました。

こういったプロセスを共に行う事で、最終的にプロダクトを見直したり、コンセプトを変えていく等、戦略を共創していく事が可能になります。

コンセプトを変えた事例はこちらでご覧いただけます

※コンセプト:顧客が未来に得られるベネフィットを指します。

■4P分析(マーケティングミックス)

4P分析は環境分析と市場機会の発見をするのに役立ちます。これも海外戦略を共創し、「覚悟」を持ってもらうために不可欠なステップです。

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例えば、4Pのうちの一つの要素であるPlace(流通チャネル)をしっかり理解していないと市場の理解が伴っていない状態で広告予算を投下してしまう事になります。

あるプロジェクトで現地調査をしたところ、競合は現地に店舗を持っており、商品のお試しができるのに対し、自社はネットを通して空中戦で戦わなくてはならず苦戦してしまう可能性が高い事が分かりました。

当然、オンラインだけでなく、オフラインに流通チャネルがある方が圧倒的に有利です。このままではクライアントの方が商品力としては勝っているのの、それを伝える前に負けてしまいます。

そこで、現地で影響力のあるインフルエンサーにサンプルを配り、まずは商品を試してもらう機会を作り商品力の高さをアピールしました。

■4P分析 (マーケティングミックス)
▢Product:何を売るのか?
どういった商品をどういったコンセプトで展開するか?
▢ Price:いくらで売るのか?
日本での価格、配送料、目標利益率、競合商品の価格、可処分所得等の要素を元に意思決定する。
▢ Place:どうやって届けるのか?
どの国で販売するか、何処で顧客接点を持ち、どの流通チャネルを活用するか?
▢ Promotion:どうやって知らせるのか?
どのようにブランド認知をさせ、販売していくか?

このように4Pを整理したり、自社と競合の4Pと比較する事でどのように海外市場に挑戦していくべきかが見えてきます。

■ STP分析

3Cで市場を俯瞰する事ができ、4P分析で市場機会を発見できたら次はSTP分析です。STP分析を行う事で顧客の解像度を上げる事ができます。

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顧客の解像度が上がれば、彼らに伝えるべきメッセージもクリアになり、更に「覚悟」を持って取り組む事ができます。

■ STP分析
▢ Segmentation(セグメンテーション)
市場を細分化する。年齢、性別、悩み等の同質のグループに分ける。
▢ Targeting(ターゲティング)
細分化したグループの中からどの市場(顧客)をターゲットするか決める。
▢ Positioning(ポジショニング)
ターゲットに設定した市場における自社のポジションを明確にする

また、STP分析をするメリットは顧客の解像度を上げるだけではありません。チームで分析する事で、「私たちは、この市場でこういったターゲット対して、こういったポジショニングを取っていくんだ!」という方針を共有する事ができ、チーム全体で同じ方向を見る事ができるようになります。

共に考え、海外で成功する「覚悟」を持ってもらう

共に考え、海外で成功する「覚悟」を持ってもらう戦略共創プロセスを経る事で、より健全な状態で海外進出に取り組んでいけます。

このプロセスを通してクライアントが「この市場で必ず成功するんだ!」という気持ちが芽生えて貰えたら嬉しいですし、「思ったよりも困難な道のりだから国内市場に集中しよう」という風に思われるのも正しい判断だと思います。

そういった意思決定の一助となるよう、私自身も「覚悟」を持って一つ一つの戦略共創プロセスに取り組んでいきたいと思います。


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