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結婚記念樹の花は咲かないけれど

横浜市には人生記念樹という制度がある。

出産や結婚、新居購入、小学校入学、成人のようなライフイベントのお祝いに、横浜市から記念の苗木が贈られる。もちろん自動的に贈られるわけではない。メールやハガキで横浜市に申し込み、指定された場所まで苗木を取りに行く必要がある。
苗木の種類はキンモクセイやハナミズキ、サツキ、アジサイなど。横浜市の「区の木」に指定された9種類から選べる。

タダで貰えるならと思い、私は結婚記念で申し込んだ。希望したのはドウダンツツジ。バルコニーの小さなマンションに住んでいるので、鉢植えで育てられる小さな植物を選んだ。春になると、ラプンツェルのランタン型の白くて小さな花を咲かせるらしい。鉢植えに植え替え、IKEAのモダンなじょうろを買い、記念樹の成長を楽しみにしていた。

我が家に人生記念樹を迎え入れてから1年半、今年で2回目の春だ。なぜだろう、花が咲かない。今までたった1度も!! バルコニーで1番日当たりのいい場所を陣取っているのに、つぼみの気配すらない。

きっと手入れが必要なんだろう。肥料を買うべきなのか? 苗木を受け取った時に、手入れの方法が書かれた紙を貰ったけど、直ぐに捨ててしまった。。検索するのも面倒で、結局水だけあげつづけている。

こんな適当な育て方なのに、不思議と枯れない。うっかり水すらやり忘れて、葉っぱが全部散った時には「とうとう結婚記念樹を枯らしちまったかも」と何度も感じた。それでも春になれば、緑の葉をつけてくれる。

この記念樹、結婚と似ている気がする。美しい花は咲かないし、咲かせようともしない。だけど枯れずに、しぶとく生き続ける。なんだか、わたしたち夫婦っぽい。

1度くらい花を咲かせてほしいけど、無理せず長生きする方がいいよね。結婚記念樹として細く長く生き延びてほしい。

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