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お腹の中にいたまめちゃんのこと

何度か書こうとして、筆を止めていたこと。

それは、私のお腹の中に確かにいたまめちゃんのことです。

※流産についての描写があります。

長男が生まれる前、私は夫との間に赤ちゃんを妊娠し、そして流産をしました。週数は9週の頃でした。


当時、なんだか体温が高くなり「もしや」と思い妊娠検査薬で調べたところ陽性でした。

「ジャーン!」と妊娠検査薬を夫に見せ、喜び合いました。
喜びつつも、「まだ本当に妊娠したかは分からない」とドキドキしながら最寄駅の産婦人科にいきました。

エコー検査されながら、産婦人科の先生に「これが、赤ちゃんの袋ですよ」と言われ、嬉しくて何故か笑いが止まらなくなり爆笑してしまいました。
(夫は待合室にいて、私の笑い声が泣き声に聞こえてドキドキしたそうです。)

週数的に心拍は確認できなかったため、翌週再検査することに。妊娠初期の流産の確率は高いため、「まだ分からない、まだ分からない」と言い聞かせながらも、喜びが込み上げてきました。

心拍が確認できたら親にも報告しよう、そう思い1日1日が過ぎるのを心待ちにしました。


ようやく迎えた検診の日。
ドキドキしながらエコーを見つめると、ピコピコと動くものが見えました。
「心拍が確認できたね」と、先生。

ピコピコしてる‼

なんて可愛いんだろう‼︎

興奮で涙が混じり、体温が熱くなるのを感じました。

一緒に検診に来てくれた夫の腕を掴み、

「心拍を確認できた‼︎」
「ピコピコしてて、可愛かった‼︎」
「小さくて、おまめみたいな感じ‼︎」

と伝え、喜び合いました。

すぐにAmazonで妊娠ダイアリーを買い、妊娠アプリをダウンロード。我が家では赤ちゃんのことを「まめちゃん」と呼ぶようになりました。


体温が、常に37度を越え、なんだか胸の張りを感じ、自分の体が変わっていることを実感する日々。

貧血で電車を乗り続けることができなくなり何度か降りて休憩しました。
トイレが近くなり、夜は8回もトイレに行きました。


妊娠アプリを見ながら成長する様子を夫と確認しながら、「まめちゃん♪」とお腹に声をかけ続けました。


実家へ足を運び、母と姉へ報告。母と姉が涙ぐみながら手を広げ、嬉し泣きをしながら抱き合いました。


「いつだって流産の可能性はある」
そのことはもちろん頭では分かっていました。だけど、それ以上に「まめちゃんがお腹にいる」という温かで幸せな感情で包まれていました。


検診の日。産婦人科の先生が、いつもより長くエコーを確認していました。


「ちょっと、赤ちゃんがあんまり成長していないね」


スーっと、体が冷えるような感覚。


「まだ分からないから、また来週見てみよう」


どんな風に帰ったか覚えていません。まめちゃん、まめちゃんと頭の中で呟きながら、何も考えないように横になりました。


翌週も、まめちゃんは大きくなっていませんでした。

「赤ちゃんは、もう生きてないんですか?」
「その可能性が高いね…」


先生はとても残念そうに声をかけてくれました。

「たぶん難しいと思うけど、もう少し様子を見てみる?」

先生と話し合い、念のため別の病院でも診察してもらうことに。


別の病院で診察し、はっきりと告げられました。

「お腹の赤ちゃんは成長していないです。お母さんの体のことを考えて、早めに流産手術をした方がいいので日程を決めましょう。」


一つ目の病院の先生は私の心に配慮して納得してくれるように話してくれ、
二つ目の病院の先生は母体に配慮して明確に事実を伝えてくれました。



まめちゃんは、もう育ってない。
あんなに元気にピコピコ心臓を動かしてたのに。

涙ながらに、先生に確認しました。


「赤ちゃんは、確かにいたんですか?」


先生はしっかりと答えてくれました。


「赤ちゃんは、確かにいましたよ」


たった9週であっても、確かにまめちゃんはお腹の中で生きていてくれた。

だけど、どうしても生き続けることはできなかった。




夫に肩をさすられながら、人の目も気にせず泣き続けました。


そして数日後、流産手術の日を待たずに、まめちゃんは自然流産しました。


妊娠を報告する友達を見て、「まめちゃんが生きていたら、今頃私もこんな風に笑顔で報告できたのかな」と時折想像しました。

もっと大変で辛い思いをしている方もいるんだから…と自分の悲しみに蓋をしようとしたことありました。悲しみを表現することに罪悪感がありました。だけど悲しみや喜びは人との比較ではありません。 

お腹にいたまめちゃんを愛おしく思うことができるのは、私たちだけ。まめちゃんがいなくなったことの悲しみをそのまま受け止めよう、そう考え直しました。


まめちゃんは、小さくても確かにお腹の中にいてくれた。

今、子どもたちに伝えています。
「5歳さんと3歳さんが生まれる前に、まめちゃんって赤ちゃんがお腹にいてくれたんだよ。」

すると、5歳さんが天国のほうに向かって「まめちゃーん」と声をかけてくれました。

まめちゃん。
お母さんとお父さんのところに来てくれてありがとう。

当たり前の日はなくて、毎日がかけがえのない日々である。そのことを教えてくれたのは、まめちゃんです。

サポートいただいたら息子とのお出かけに使いたいと思います、そしたらまた絵を描きたいと思います✨