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高専という選択肢を知ってほしい

【#研究をしている理由】に書いたとおり、私は国立高等専門学校(通称:高専)を卒業しました。思えば、この選択が無ければ研究はしていなかったかもしれません。なので今回は、
 ①高専というものがどういう学校なのか
 ②高専で私はどんな経験が出来たのか

についてnoteしてみようと思います。
もう受験の時期は終わってしまいましたが、現在の中学2年生やその親御さんにぜひ読んでほしい内容です。

高専とは、主に中学校卒業程度を入学資格とし、修業年限5年(商船学科のみ5年6か月)間の課程のもと、主に工学・技術・商船系の専門教育を施すことによって、実践的技術者を養成することを目的にした教育機関である。

Wikipedia

①-1 高専の特徴

特徴はなんといっても、5年間の教育機関において、初年度から各学科(機械、電気、情報、化学など)の専門的な内容のカリキュラムになっていることです。普通高校が浅く広くなのに対して、高専では1年目から専門科目の授業があります。3年以降は受講する半分以上が専門科目です。
高専はだいたい各都道府県ごとに1校あり、どの高専も機械系、電気系、情報系の学科はありますが、化学や建築系の学科は高専によってあったりなかったりします
卒業後は『高専卒』という扱いになり、高卒と大卒の中間の存在になります。その後の進路としては、就職進学を選択することになります。

①-2 就職

就職希望者の就職率はほぼ100%です。高専は即戦力になる技術者を養成する教育機関であり、様々な企業が高専に対して求人を出しているからです。なので、高専卒で就職難民になることはほぼ無いと言えると思います。しかし、先にも書いたとおり、扱いが高卒と大卒の間であることから、給与水準も同様になります。

①-3 進学

進学の選択肢は2つあります。一つ目は大学への編入。編入試験を受けることで、大学3年に編入することが出来ます。ただし5年生の最後まで授業はきっちりあるので、編入試験対策はある程度自主的に取り組む必要があります(学校のサポート度合いはその高専によって様々かと思われます)。大学3年への編入試験は、英語+専門科目という大学が多いのですが、高専の英語教育は『センター試験を目標としていない』ので、しっかりとした自主学習が必要不可欠と言えます。
2つ目は同高専の専攻科への進学です。就職の方にも書きましたが、一般的に高専卒の扱いが大卒より下がることから、さらに2年間の専門教育課程を設ける高専が増えました。この過程を終了することで、大学卒と同等の学位が得られます。(私はこのパターンです。)

①-4 高専の魅力

高専の魅力は、ズバリ、学ぶ内容が初年度から専門的ということに尽きると思います。本科5年間を修了時、専門分野に関しては同じ系列の大学2年生よりも多くを学ぶことが出来ます。
進学を考えたとき、理系の大学に進学することの目的は、専門性を身に着けることですので、その分野を先行的に学べることはメリットだと思います。専門以外の一般科目もカリキュラムに含まれているので、一般教養が学べないということもありません。
ちなみに、高専と言えば『ロボコン』を思い浮かべる人もいるかと思うのですが、ロボコンはあくまでクラブ活動の一環なので、専門の学科やクラスがあるわけではありません。やる気のある学生がロボコン部に入って取り組むものなのです。

②-1 私の進路選択

中学→高専(5年)→専攻科(2年)→大学院修士課程(2年)→就職

私の進路は上記の流れでした。高専の入試では、推薦枠を貰えることが出来たため、小論文と面接のみ。専攻科の入試についても、本科からの進学ですので、面接のみでした。ということで、私は大学院の入試以外、大きな入試を一度も経験することなく進学する形となりました。

②‐2 高専生活を振り返って

私が高専の物質工学科を選択したのは、化学が好きだったからです。高専に入学して、その化学の中にも色々な分野(無機化学、有機化学、生物化学、物理化学など)があることを知って驚いたのと、同じ化学でも分野によって好き嫌いがあるということがわかりました。ちなみに私は生物と有機化学が特に好きでした。

そんな中で自分が面白いと思える生物の分野を知り、結果としてそれが現在の仕事にもなっていると考えると、高専で初期から色々な化学を知れたことは、私の人生においてプラスだったんだと思います。

もちろん後悔もあります。高専では数学も普通高校と比べて初年度からレベルが高いです。正直、私は数学が好きだと思っていたんですが、三角関数や数列などを理解するのが大変で、数学が少し嫌いになってしまいました。しかし、研究をする上で数学は切っても切れないもの。今更ながら、あのとき歯を食いしばって頑張って勉強しておけばと思わずにはいられません(現在は必要に応じて勉強しなおしてます)。

勉強以外では、中学でやっていたバレーボールを高専でも続け、最終学年で全国大会で準優勝の成績を残せたことはいい思い出です。友人もいるにはいましたけど、私は5年間部活ばかりしていたので、高専時代のあそんな記憶はあまりありません。

こんな人には高専がいいかも

あくまで私個人の主観ですが、サイエンスおよびエンジニアリング、ITなどが好きな人は、ひとつの選択肢として考えてみるといいのかと思います。特徴にも書きましたが、高専は1年目から専門的です。好きな分野を初年度からガッツリと触れることで、どんな専門分野が自分により合っているのか、知れるなら早い方がいいと考えます。

なので、なんとなく偏差値が合うからという理由で高専を選択するのは絶対にやめた方がいいです。先にも書きましたが、ほぼ専門的な内容を学び続けるのが高専です。なので、その学科にそもそも興味がない人が高専に入ってしまうと、5年間ずっと苦痛を味わうことになるからです(それなら普通高校で将来の専門を考える方がよっぽどいいと思います)。

ちなみに高専の学費は、普通高校よりは高いが私立よりは安いです。ちなみに私が通った進路(高専+専攻科)だと、普通高校から国立大学の場合と比較して約100万円ほど割安になります。ここに詳しい記事が書かれていますので、気になる方は読んでみてください。


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