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「予備試験は相対評価」が意味すること【残酷な真実】

「予備試験は相対評価の試験です」
予備試験受験生であれば、一度は聞いたであろうこの言葉。しかし、これが何を意味するのか、正確に理解している人は少ない。

例えば、行政書士試験は一定の点数が取れれば必ず合格できる絶対評価の試験である。なので、「点数を取ること」さえできれば合格できる。

しかし、予備試験や司法試験は相対評価の試験である。ということは、点数が高ければ合格できるわけではないし、逆に点数が低くても合格できることはある。

相対評価の試験で重要なのは「他者を上回ること」である。絶対評価の試験では出てこない発想である。いくら勉強ができて点数が取れても、ライバルの受験生を上回ることができなければ合格できないのが予備試験である。

予備試験においては、「どうすれば他者を上回ることができるか」ということを常に考える必要がある。特に、合格率が5%を下回る予備試験においては、20人中19人を上回らなければ合格することはできないので、この考え方は段違いに重要となる。

例えば、昔から勉強が得意でトップ大学に通うAさんが問題集を3周して予備試験に合格したとする。これを平凡な大学に通うBさんが真似して全く同じ勉強をしても、合格はできない。なぜなら、事務処理能力や文章力、勉強効率などに大きな差があるため、同じ勉強をしてもその差を埋めることができないからだ。つまり、トップ層と全く同じ勉強をしようと決めた時点で、不合格は決まっていたといえる。その差を埋めるためには、トップ層を上回る勉強をしなければならないのだ。

このように、「他者を上回る」という戦略においては、自身の「勉強資源」がどれくらいあるかを、項目ごとに検討することが有効である。そして、他者より劣っている項目があれば、他の項目で他者を圧倒できない限り、合格することは絶対にできない。

例えば、このような項目が考えられる。

1勉強時間
2勉強効率
3暗記力
4事務処理能力
5文章力
6使用教材のクオリティ(指導も含む)
7勉強環境(自習室、椅子など)

暗記力が大きく劣る受験生が合格するには、他の項目で相手を圧倒しないといけない。勉強時間を大幅に増やしたり、より良い教材・指導を利用したり、勉強環境を整えたりする、といった工夫をしない限り、他者を上回ることできない。

つまり、どれか1つでも劣っている項目がある人は、他人と同じ勉強をしても合格することはできないのだ。劣っている項目は他の項目で巻き返すのが基本的な姿勢である。

1から7の項目を見て気付くのは、努力で変えられる部分とそうじゃない部分があるということだ。例えば暗記力や事務処理能力といった能力は一朝一夕に変えられるものではない。しかし、勉強効率は正しく知識をつければ変えられるし、使用教材や勉強環境などは課金すれば手に入るものである。何より、勉強時間を増やすというのは誰でも今すぐにできることだ。トップ層が9時に起床しているなら、あなたは7時に起床して彼らに差をつければいい。

このように、自分自身の「勉強資源」を正しく把握して、他者を上回る努力をするのが予備試験の最重要戦略である。特定の項目で劣る人が漫然と予備試験の勉強をしても、合格することはできない。明確な戦略、例えば勉強時間で他者を圧倒する、教材や個別指導に重課金をして差を縮める、などの工夫が必要になってくる。繰り返すが、地力が劣る受験生がトップ層の真似をして最低限の勉強時間・教材で合格できる、なんてことは絶対にない。

他者を上回る項目、これを一つでも多くすることが予備試験の合格に必要不可欠である。



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