見出し画像

『ZEROISM』12

「嗤う加害者」

【これまでのあらすじ】警視庁外事四課の天才児、外川数史は、唯一の趣味である読書を休日の日に、カフェ『菜の花』で楽しんでいた。その店の娘、棚橋純菜当時中学一年生が、登校拒否をしながら、外川の本をこっそりと一緒に読み、やがて彼に初恋をする。外川の上司、森長の息子が発達障害にさせられて就職が困難になったことで、彼は独自に人権問題を調べ始めた。純菜も同様に発達障害の疑いがあり、森長が、「そうならないようにしてやれ」と外川に指示。外事の仕事と関係なく、休日を使い、純菜のその疑いを晴らしたことで純菜の両親にも頼られるようになる。まだ子供の純菜をまるで相手にしない外川だったが、その時に、極左の指名手配犯を極秘に逮捕する案件が警視庁の上層部から降りてきた。それを受けたのが、公安一課の杉浦竜則だった。外川の一年後輩だが、ほぼ同期で彼が外川の休日に協力要請をする。それは警視庁上層部が、外川を利用した計画だったがそれを知らない杉浦らは、外川を説得。杉浦の新妻、南美と純菜も、「その悪党をやっつけて」と外川を煽った。外川とタッグを組んだ杉浦は、公安一課と表参道の婚活パーティーに侵入。しかし、ターゲットには「ゼロイズム」という奇妙な組織の人間が付いていて、完璧に逮捕する寸前で、外川が重傷になってしまう。ICUで生死を彷徨う外川を見て、純菜は号泣。杉浦は外川が利用されていた事に気づき、辞表を叩きつけ、いなくなった。新妻の南美は夫が消えて重い鬱に。
やがて三年の時が過ぎ、バラバラだった四人は、外川が杉浦をバリ島で見つけたことでまた、カフェ『菜の花』に帰ってきた。純菜が18歳の誕生日に外川と入籍。森長が手を回し、四人に「ゼロイズム」を壊滅させる仕事をさせるよう、警視庁警視総監に直訴。外川、杉浦、南美の三人は、警視庁に在籍したまま、一般人として暮らす人間になった。そして、四人は、深い傷を負った絆で固く結ばれている。

ここから先は

25,436字

¥ 100

普段は自己啓発をやっていますが、小説、写真が死ぬほど好きです。サポートしていただいたら、どんどん撮影でき、書けます。また、イラストなどの絵も好きなので、表紙に使うクリエイターの方も積極的にサポートしていきます。よろしくお願いします。