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東京のど真ん中で大ピンチ!〜ハラハラドキドキの話を聞いて下さい

東京へは今まで何度も訪れたことはあるが、今回のような出来事は初めて。
ハラハラドキドキの東京珍道中の話、聞いてもらってもいいですか?

乗換案内アプリ

スマホの乗換案内アプリ。
これは、私にとってはなくてはならないものだ。
北海道在住の私が東京に行った時には、これがないと身動きがとれない。
言い変えれば、これさえあれば迷うことなくどこへでも行ける。
エレベーターやエスカレーター、階段付近の車両もチェックできるので、足腰の弱い母親を東京の病院に連れて来た時には、このアプリにずいぶん助けられた。

その昔、まだスマホがない時代には、複雑な路線図を見ながら、それはそれは大変な思いをして電車を乗り継いだものだ。
それを考えると、今はなんと便利な世の中になったことだろう。知らない土地でも、迷わずどこにでも行けてしまうのだから。

そして先日、私は東京を代表する繁華街、渋谷のレストランで友人と待ち合わせをすることになった。渋谷へ行くことなんて、なんの不安もない。
だって、私には乗換案内アプリがついているんだから。

東京駅

その日の朝、私は東京駅にいた。
お目当ての東京土産を買うために、東京駅直結の大丸東京店までやってきたのだ。
10:00の開店と同時に店内に入れば、待ち合わせの12:00には十分間に合うだろう。

私は、まず1件目のお店で買い物を済ませた。支払いはPayPayで。スマホひとつで買い物ができることにも最近ようやく慣れてきた。

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そして、2件目のお店で同じようにPayPayで支払おうとしたらスマホがフリーズしてしまった。画面のどこをタップしても、なんの反応もない。

おかしいな。

待てよ。

これは…昨夜、赤羽橋駅のホームで友人に電話をかけようとした時と同じ症状だ。
その時は、何度か電源を切ったり入れたりしているうちに直ったのだ。
だから、今回もきっとすぐに直るはず。
お店の人に事情を話し、しばらく会計を待ってもらったが一向にスマホは回復しない。
私は諦めて現金で支払うことにした。

多少の時間のロスはあったものの、友人との待ち合わせまでには十分時間がある。
さて、とにかく渋谷へ向かおう。
ゆっくりするのはそれからだ。

そうして、私はスマホの乗換案内アプリを立ち上げようとした。
・・・え?
そうだ、スマホはフリーズしているんだった。
ここで私は初めて自分の身に起きている、ただならぬ状況に目を向けることになる。

スマホが使えない
=乗換案内が使えない
=友人と連絡が取れない
=友人が予約したレストランも、そのレストランの入っているビルもわからない

・・・詰んだ!!

今、私は東京駅にいる。
しかし、もうすでに渋谷への行き方がわからない。
落ち着け!落ち着くんだ!!
私は、冷静さを装いつつ駅員さんに教えてもらった電車に飛び乗り渋谷へ向かった。

手に収まるサイズの小さな機器。
たとえ電話番号も店名も覚えていなくとも、これさえあれば何も心配することはない。
しかし、これがひとたび使えなくなると・・・。
私は手も足も出なくなる。
そんな手足をもがれた胴体だけの人形が、渋谷という都会の大海原に放り出されることになってしまったのだ!!

渋谷へ向かう山手線の中で、私は脳みそをフル回転させた。

(私は、どこのお店に行ったらいいの?)
(友人と連絡が取れる方法はあるの?)

すると、ある案がひらめいた。

・公衆電話で主人の携帯に電話をかける。(主人の携帯番号だけは記憶していた)
主人に友人の年賀状を探してもらい、年賀状に書いてある彼女の家電(いえでん)を教えてもらう

・再び公衆電話から友人の自宅へ電話をかけ、電話に出てくれたご家族から友人に、私のスマホが壊れたことを伝えてもらう。そして、ご家族から友人に連絡をとってもらい、待ち合わせの店名を教えてもらう

しかし、どうだろう。
まず、公衆電話がどこにあるかわからない上に、彼女の年賀状に家電(いえでん)が記載されているという保証はない。
ましてや、公衆電話からの電話に、主人も友人のご家族も出てくれるとは考えにくい。
私なら絶対に出ない。
仮に公衆電話からの電話に主人が出てくれたとしても、電話番号をメモするための筆記用具を持ち合わせていない。

ダメだ、この手は使えない。
どうしよう。

次に思いついたのは、docomoショップでスマホを見てもらうこと。

しかし、スマホが使えなくなった今、近隣のdocomoショップを検索することは、もはや不可能。

どうしたらいいんだ、考えろ、考えるんだ!
どうしたら友人と連絡が取れるのか。

スマホの画面に目をやると、誰かからLINEが来ている。ひょっとすると、これは友人からのLINEなのでは…?
しかし、今や私がそのLINEを開くことはできないのだ。

私は想像する。

***
友人が私にLINE。
「Youちゃん(私のニックネーム)、今、家を出ました。お店の場所がわからなかったら連絡してね!」
(時刻は待ち合わせの12:00。私はお店にたどり着けない)
再び友人からLINE。
「Youちゃん、お店の場所わかる?席に座って待ってるからね」
(さらに30分経過)
友人がお店の人に、料理を出してもいいか聞かれる。
「あと30分待ってもらえますか?もうすぐ来ると思うので」
(さらに30分経過。私は来ない)
友人は2人分の料金を支払って店を出る。
***

これは最悪のシナリオだ。
どうにかこの事態だけは避けたい。

山手線は進む。
時間も刻々と進んでいく。
一方、私の思考は堂々巡り。
いったい、こんなことってある??

すると突然、一筋の光が差し込んできた。
これは妙案だ!
あるひとつの問題さえクリアできれば。

それは・・・
どうにかお店を探し当て、そのお店から彼女に電話をかけてもらう、ということ。
それができれば、私からLINEの返信がなくても彼女は心配しないだろう。
彼女はこのお店に予約を入れたと言っていた。このお店からの電話であれば、彼女も怪しまずに出てくれるに違いない。
よし!これしかない。
とにかく、お店を探そう。
何としてでもお店にたどり着かなければ!!!

渋谷

さすが若者の街、渋谷。

とにかく人が多い。こんな大都会の中に放り出された私は、何を頼りに店を探したらよいのだろう。

駅構内で渋谷駅周辺の地図を手に入れてはみたが、焦りと動揺で、地図の絵面しか目に映らない。
ただひとつ、「渋谷ヒカリエ」という文字だけが目に飛び込んできた。

渋谷駅構内で手に入れた地図

その瞬間、私の脳みそが再びフル回転し始めた。
攪拌(かくはん)された脳みそは、まるで遠心分離機のように、私の微かな記憶だけを取り出した。

それは、
・渋谷ヒカリエの近くの『渋谷なんとか』という大きなビル
・レストランは高層階にある
・中華っぽいレストラン
というものだった。

とりあえず西口から出て横断歩道を渡ると、銀行の前に警備員さんが2人立っていた。
こんな時は、誰かれ構わず聞くしかない。
「スマホが壊れてしまって何も調べられないのですが、渋谷ヒカリエではない、"渋谷なんとか"という大きなビルはこの辺りにありますか?」
もはや"渋谷なんとかというビル"という私の聞き方が、滑稽であるとかないとかは関係なくなっていた。
警備員さんは首をかしげ、
「渋谷スクランブルスクエアかな。そこに見えるビルだよ」
と、私の後方を指差した。
続けて、
「そのスマホ、docomoかな?この先の交差点を左に曲がって右に曲がるとdocomoショップがあったと思うから、そこに行く方が早いと思うよ」
たしかにその通りだが、待ち合わせの時間まで、あと1時間。これからdocomoショップに行って直してもらって、待ち合わせの時間まで間に合うのだろうか。とりあえず私は、docomoショップ目指すことにした。

しかし、、、、

教えてもらった場所には、docomoショップは見当たらない。
近くで塗装の作業をしているおじさんに尋ねてみるも、docomoショップのことはわからないという。

キャリーケースを引きながら、元来た道をトボトボと引き返し、再び渋谷駅前へ。

たしか、さっきの警備員さんは「渋谷スクランブルスクエア」って言ってたっけ。
もしかしたらそのビルかもしれない。
私は渋谷駅前にいた若い2人のお姉さんに
「渋谷スクランブルスクエアって、すぐそこみたいなんですけど、この辺りは工事中で真っ直ぐ行けないみたいなんです。どこから行ったらいいかわかりますか?」
誰かれ構わず聞ける、というのがおばちゃんの特権だと信じて疑わない私。そして、その特権を惜しげもなく振りかざしまくる私。
しかし、そのお姉さんもよくわからないという風に首をかしげ
「たしか駅の中に書いてあったと思いますよ」
と、教えてくれた。

再び西口から駅構内へ戻ると、アナウンスが耳に飛び込んできた。
「渋谷スクランブルスクエアへは東口をご利用ください」
おぉー!なんというグッドタイミング!!私には、このアナウンスが神の声に聞こえた。
だって、この辺りには駅員さんらしき人が一人も見当たらないんだもの。

東口を出ると、すぐに渋谷スクランブルスクエアの入口が見えた。


(お願い!どうかこのビルでありますように)
祈るような気持ちでビル入口の案内板を見つめる私。

あっ!
12階に、それらしきお店を発見!
友人がLINEで教えてくれたお店のHPの画像が脳裏に蘇る。
ここだ、間違いない!!
地下には紀伊國屋が入っている。
私はランチのあとに、この紀伊國屋で買い物をしようと思っていたのだから。

はやる気持ちを抑えつつ、エレベーターで12階へ行き、そのお店に足を踏み入れた。
その時の私の姿といったら…ターコイズブルーのキャリーバッグを引きながら睡眠不足でボロボロになった、まさに老婆!笑

レストラン

「あの、、、すみません。すごく困ったことがあって。スマホが壊れて友人と連絡が取れないのですが…今日の12:00に〇〇さん(友人の名)で予約入っていませんか?どこのビルのなんというお店かわからず、かすかな記憶だけで来てみたのですが…」

「はい、承っておりますよ!よくここまで来ることができましたね」

この店で間違いないと思ってはいたが、優しい女性店員さんの言葉にホッと胸を撫で下ろした私。これじゃまるで「はじめてのおつかい」ではないか(笑)

それから私は、
「大変申し訳ないのですが、こちらのお店から彼女に、私が到着していることをお電話で伝えていただくことはできますか?」

その女性は快諾してくれた。
時刻は11:15。
予約時間よりかなり早かったが、お店の人は席に通してくれた。早めに行動しておいて本当によかった。

お店の人が友人に電話をかけてくれたおかげで、無事、友人と連絡が取れ、5年振りの再会を果たすことができた。
最悪の事態にならなくて、本当によかった。

友人は、外の景色が見える見晴らしの良い席を予約してくれていた。
お料理もおいしかった!
なのにスマホが使えないために写真が撮れず、、、。

いやはや、ドタバタのスリル満点な旅であった。

docomoショップ

結局、スマホはどうなったかって?

ランチのあと、近くのdocomoショップへ行き(電話で予約を試みたが、予約がいっぱいで予約できなかった)、若いお兄さんスタッフに聞いてみた。

「すみません、予約ができなかったので、ダメ元で来てみたのですが…今日北海道に帰らなくちゃいけないのに、スマホが全く反応しなくなっちゃったんです」
と、スマホの画面を見せた。
すると、そのお兄さんは、
「強制終了してみましたか?」
? ? ?
「強制終了って、この左右のボタンをひとつずつ押して電源切るやつですよね??これ、何回やってもなんにも反応しないんで」
そのお兄さんは、おもむろに私のスマホを手に取り何やら操作している。
するとスマホの画面は真っ暗になり、しばらくすると見覚えのあるリンゴのマークが出てきた。
そして、ロック解除の画面が現れた。
「あ、大丈夫そうですね!強制終了って、左側の2つのボタンと右側のボタンを押すんです」

ガーン。

スマホが壊れたんじゃなくて、私が強制終了知らなかっただけ??
やだ〜恥ずかしい。

旅のオチは、コレだった。

ねぇみなさん、
スマホの強制終了って知ってましたか?
知らなかったの、私だけじゃないよね〜〜(泣)


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