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本当は秘密にしておきたいファシリテーターとしての失敗談 5選+α

以前、noteを見ていたらワークショップの失敗ケース8選という記事があったので、「ぜひ勉強させてもらおう…!」と購入しました。

成功の要因って分かりづらいけど、失敗して「これは次回から気をつけよう」という点は分かりやすい。実際、読んでいて「私にもあるなぁ…涙」と共感したり、「こんな経験なかなかできない!すごい! (でも経験したくない笑!)」と驚愕したりしました。( & もちろん、すごく勉強になりました。やっぱり実践者の経験から学ばせてもらえるって有難いです)


失敗談って自分自身の振り返りにもなるし、自分にも何かあったかなと思い返してみたのですが

あったあった涙。忘れていた、いや全力で見ないようにしていただけで全然ありました…。 

・ストーリーテリングが自慢話で重苦しい空気になった話
・まだ何もワークが始まってないのにお客さんに泣かれた話
・ペアコーチにしか話しかけてもらえなかった話
・むしろお客さんに完全に任されてワークショップ中に寝られた話
・セッション中に突然お客さんにキレられて出ていかれそうになった話
・もちろん私にもある物品のミス…

もちろんミミクリデザインの安斎さんほどの経験では全然ないですし、私のミスは読む人が読んだら、ただの私の経験不足に映るかもしれません。それでも、ファシリテーターの方、ワークショップを生業にしている方にとっては、「これは辞めておこう」という参考になるかもしれませんし、自分で書いて振り返ることは私自身の次への学びになるので、書き進めていきたいと思います。


「あとで考えるとあそこはもっとグループを分けて、時間短縮を狙ったほうが良かったなぁ」みたいな細かい失敗ではなく、基本的にもう起きてほしくない、このnoteに書いて振り返ったらあとは宇宙の彼方に昇華させたい案件です。


自分の振り返りのためと、本当に実践していてご自身の学びにつなげたい人のみに公開したいので、このnoteは有償にしています…。そもそもこのnoteはファシリテーション実践者で失敗から学べるレベルにある人じゃないと価値がないただの私の恥ずかしい話でしかないので…。   一応、「今の私なら何をするか? (どんな対策をするか?)」も合わせて書いたので、お役に立ちそうな人がいましたら、ぜひ合わせてお読みください。


1つ目の事例だけは無料公開させていただきます。重苦しく振り返りたくないので、割と軽やかに書いてますが学びつつ、半エンタメコンテンツとしてお楽しみください。少し長めですが、1つ目の事例が一番長いです。それではどうぞ!


1.  ストーリーテリングが自慢話で重苦しい空気になったうえ、そのあとのワークでさらに追い討ちをかけた話

1つ目は、これは厳密には私がファシリテーターだったわけではないのですが、運営のチームの一員だったので、手痛い経験として心に残っている「ストーリーテリングで失敗だったな」と思った案件です。


合宿形式のプログラムの夜に、コレクティブストーリーハーベスティングという小グループに別れて、グループごとにストーリーテラー(自分のストーリーを話ししてくれる話し手のこと)の話を聞いて、その方の経験から学び合うというワークを行なっていました。実際に行う日の前日に、テーマを発表し、そのテーマに沿って自分の経験を話ししてみたいという、話し手を募り、翌日実施するという進め方をしました。


まず、話し手を選ぶときに完全に自主性に任せてしまい「話したい!」と言った人にそのままお願いしてしまったことと、その方がやる気満々だったので、「こんな風に話をしてください」という声かけを怠ったのがミスの1つ目。


その後当日ワークを進め、3グループに別れ、私はその勢い込んで立候補してた方のグループに参加しました。で、このワークは20分間そのストーリーテラーの話をきく、というワークなのですがタイトルにもある通り、20分間ずっと「その人のこれまでの実績を語るだけの自慢話」だったんですよね… 


そもそもの話をしますけど、ストーリーテリングはその方の経験を、物語のように、その時にどんなことを考えて、どんな気持ちで、何が起きたかを素直に語ってもらうからこそ、聞き手がその話を聴きながら自分の内側を回遊して共感したり、気づいたりという学びが起きるもの。


だから、ただ起きた事実を羅列して自慢されても、聞き手が辛いだけなんですよ…  その方は、その時提示したテーマで講演とか話す機会が多かったみたいで、そのテーマなら自分の経験が役立つだろうと立候補してくれたようなのですが、運営側がストーリーテリングがなんたるかを伝えなさすぎました…。普段あまり自分の気持ちを語ることに慣れていない方も多いですし、「話をしてください」と言われたら演説とか講演とかを思い浮かべる人もいますよね…。



また、この手法は、原則は20分質問せず聞くという方法なのですが、この時ばかりはグループを担当していたファシリテーターの方になんとかしてもらいたかったのが本音です。



いろんな対話の手法って原則はあるけれど、それは状況を見て柔軟に変えていかないといけないのに、そこが運営メンバーで共有できておらず、グループのファシリテーターが原則を守り続けて質問せず、空気が重いまま20分が過ぎてしまったのがミスの2つ目。


そして、20分が終わりました。「ふぅ、やれやれ。ストーリーテリングってやれば必ずうまくいくわけじゃないんだな、気持ちを切り替えなきゃ」と思っていたのですが、その後のプログラムが今のグループでの話を受けて、全員で対話するっていう時間になっていたんです。


ここで何が起きたかというと、ここまでグループが3つに別れて進めていたのですが、重苦しい雰囲気になったのはうちのグループだけ。2グループのうち、特に1グループはすごく盛り上がった (=話し手のストーリーに感動したり、発見があったりした)ようで、3グループが一緒になって話をした時、うちのグループのメンバーだけが対話に参加していない、話をしているのが他の2グループのメンバーだけという状況になり、心理的に非常に追い討ちがかかりました…。


この時、他のグループだった人は全員で対話をしていたと思い込んでいたようなのですが、元々重苦しいグループに参加していた私は、「うちのグループの人誰も話してない…」とかなり心臓がドキドキしていました。


この、他のグループの人が盛り上がって話をしている様子が、更にうちのグループのメンバーに「うちのグループのワークはあまりうまくいかなかったんだ…」と自覚的にさせてしまい、心理的にじりじりと追い討ちをかけてしまいました。確かに元々の予定はグループに別れて、話し手の話を聞いた後、全員で対話するという流れになっていたのですが、それはグループに別れた時のワークが意図通り機能した場合の話であって、状況が違った時にはその場で変えたほうが良かったです。これがミス3つ目。


介入して挽回を測るポイントもあったとは思うのですが、全てにおいてチャンスを逃してしまいました。ただ、このコレクティブストーリーハーベスティングは、私自身、初めて聞き手として参加した時に号泣するくらい良い経験をした思い出深い方法だったので、この経験が非常に悔しくて、チームでも1人でも何度も振り返りをして、自分の学びにつなげました。(&今では企業案件でこの手法を実践するまでになりました…!)



学びと次にやるなら?
同じ場はないと承知してますが、この経験から以下のことを学びました。

 ✔︎ ワークショップで使う言葉は一般的ではないものが多いと認識する
ストーリーテリングは全然一般用語じゃない、と認識できていなかったのが甘かったです。この事件以後、「ご自身のストーリーをご自分が主人公になった本を読むように、その時々で起きたことと、その時にどんなことを感じたか、気持ちを交えて情景を語るようにゆっくりお話しください」と伝えるようにしています。

 ( 気持ちを語るということに慣れていない人も多いので、このワークをやるまでに出来れば、助走をつけるワークを実施しておくというのも入れたりしています。例えば、チェックインの時に、今の気持ちを表すカードを選んでもらい、語ってもらうなど。 )

✔︎ 原則よりもその場の最適解を選ぶ
様々な手法には原則があるものの、それは状況によってその時最適と思うことに変えることが大切だし、また、そのことをチームで共有しておく必要があるなと思いました。(以後、この手法をチームで行うときには、「原則は20分質問しない、だけど状況に応じて少しファシリテーターがサポートしてあげてください」にしてます。)

✔︎ ワークの後の全体共有の前に必ず休憩を入れ、そのままの流れで良いかを話ししてから決めています。万が一今回と同じようなことが起きた場合、次からは全体共有はせず個別振り返りの時間にして、「今の時間から何を感じたか。何を学んだか」を振り返る時間にすると思います。
(また、グループワークの後に全体共有をする場合、そのまま行うと同じグループの人が近くに座ったままになることが多いです。これを変えたいときは必ず休憩を入れてます。)

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