教室でリアルに英語を使う経験
私の本業は小学校の英語教師です
5、6年生を教えています
今日は、小学校という教室環境にも関わらず、リアルに子どもたちが英語を使ってコミュニケーションできたエピソード🌈✨
今年度、6年生にクリシュナくん(仮名)がネパールからやってきました
母語はネパール語、ほとんど日本語はわからず、英語はネパールで勉強していて学校の日常生活では困らない程度話せます
最初の半年間は、いつも声が小さくて、目も合わなくて、やる気がなさそうで、小食で、本当に居心地が悪そうで
はやく溶け込めるといいなぁ・・・いつも見守っていました
ようやく素敵な担任の先生や元気で明るい子どもたちとの関わりの中で学校生活にも慣れてきた頃、私はクリシュナくんに5年生の英語の授業にゲストで来てほしいとお願いしました
5年生では、「日本の四季の行事を紹介しよう」というテーマで学習していて、子どもたちに「誰にこの内容を伝えたい?」と尋ねたところ、
「もし6年生のクリシュナくんが日本のことあまり知らないなら、クリシュナくんに伝えたらどうかな!」
とアイディアが出てきたからです🌈✨
クリシュナくんに提案してみると、予想外にも目をキラキラ輝かせて引き受けてくれました
クリシュナくんにも、ネパールの行事を紹介してとリクエストすると、いつもやる気の低めの彼が、ばっちり宿題で準備してきてくれました
彼はいつもモゴモゴ早口で話す恥ずかしがりやさんだったので、念の為私とリハーサルをしてみますが、とても5年生全員の前で話せるスピーチではなく、正直心配でした
5年生は5年生で、リハーサルをさせると、思ったよりも言いたいことが言えなかったり現実に直面して泣いてしまう子や、なかなかうまく協力しあえないチームも・・・
そして当日の今日
これはもう英語どうこうの問題ではなく、コミュニケーションの問題なので、
私はもう何も心配せず、ただただクリシュナくんと5年生の子どもたちの人間関係の化学反応を見てみようと思いました
担任の先生には、1つだけ、次のようなことを子どもたちに伝えてもらいました
担任
「準備したものをバーッと吐き出せばいいんじゃないよ。目的は理解してもらうことだよね。だから、もしクリシュナくんが分からなそうな顔してたらどうするの?」
子どもたち
「言い直したり、言い換えたりする!」
担任
「そうだよね、ただ聞き取れなかったり、知らない言葉だったりする場合もあるもんね。そうやって、クリシュナくんが理解してくれてるか確認しながら話すんだよ。」
クリシュナくんにも、私から同じことを伝えました
結論から言うと、この企画は大成功🌈🌈✨✨
子どもたちはとても緊張していたようなのですが、クリシュナくんを和ませようと、明るく和やかにクリシュナくんを迎え入れました
そして、ひたすらクリシュナくんに伝わるように「英語を使って」いました
英語を話すことが目的ではなく、誰かに伝えたいことがあるから英語をツールとして「使う」リアルな体験が生まれました🌈
教室はどんなにがんばってもなかなかリアルな英語使用環境にはならないし、そればっかりに執着もしてられないので、「自分の言葉として英語を使いきりなさい」と繰り返し繰り返し伝えてきました
でも、今回5年生の子どもたちは、クリシュナくんという存在のおかげで体験的に学ぶことができたように見えました
そして、クリシュナくんも、5年生の気持ちに応えるかのように、今まで見たことがないくらい大きな声で、はっきりと、分かりやすく、楽しそうに伝えていました🌈✨
クリシュナくんのスピーチはややボリュームのある内容でしたが、私がサポートなんてしなくても、子どもたちはめちゃめちゃ前のめりになって聞いて、反応して、楽しんでいました🌈✨
あの空間は、本当に幸せに満ちていて、教師をやっていてよなったなと思える瞬間でした🌈🌈🌈✨✨
授業の後、早速色々変化が・・
クリシュナくんの授業中の声が大きくなったり、ちょっとおふざけしてクラスの笑いをとろうとしてみたり🌈
そして、これまで廊下ですれ違うだけの5年生とクリシュナくんの間に声の掛け合いや笑顔が🌈
これまで異文化理解を目的にして英語スキルが置いてきぼりの英語活動にずっと疑問をもってきました
でも、英語のスキルが育ってきたところに、こういう経験があると、英語をツールにリアルな異文化理解や他者理解が叶うことを私も子どもたちから学びました
最後にリンガ・フランカとしての英語を子どもたちに意義づけして終わりました
リンガ・フランカとは、異なる言語を使う人の間で使われる「世界共通言語」という意味です
「英語をアメリカ人とかイギリス人と話すために勉強してると思っている人もいるかもしれないね。でも、実際、クリシュナくんのように母語は私たちと同じように英語ではないけど、英語を共通言語としてコミュニケーションとる場合の方がひょっとしたら多いんだよ。」
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