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ドイツの婚活サイトに潜入し、国際結婚した話③

■第3章■ 人生は戦いなり

「だから日本人よりも外国人の方が合ってるって言ってるでしょ!」

何年もずっと鼓舞しなから言い続けてくれた別の友人 T ちゃん。
婚活で疲弊し切っていた私は、妊娠中の彼女にすがるように、なんでそう思うの?と初めて尋ねてみた。
「だってラテン系だもん。色んな事に対して激しくて情熱的な性格だから、日本人は合わないよ。気付いて無かったの?」

" 情熱 "

私にとってすごく重要なキーワードだと確信した。
フランスに留学をしたいと漠然と考えていた20代。貯金を始めたものの、新卒で入った建築会社は2年も経たず辞めてしまった。
どうせならフランス人がいるところで働けば、言葉も教えてもらえて一石二鳥じゃんとネットで検索した結果、ブルゴーニュ出身のシェフと国際結婚された日本人女性のご夫婦で営んでいるレストランを偶然見つけた。
写真から伝わってくる、まるでパリのビストロのような雰囲気に心を奪われ、ここで働きたいと強く思った。

すぐに電話かけたが、今は新しい従業員の募集はしていないと断わられた。しかし、既にこのレストランで働いている自分の姿がイメージ出来ていたので、引き下がらず「何でもやります!どうしてもそちらで働きたいんです!」と千尋が憑依したかのように再度、力強く伝えた。
そして少し間が空き、オーナーと思われる別の女性の声に変わり「面接をするので店に来て下さい。」と言われ電話を終えた。

これまでの人生で、こうまで自分の意思をはっきり他人に伝えたことはあっただろうか?      自ら舵を握り、人生を切り開きながら操縦している気がした。内から湧き上がる何か熱いものを感じた。
初出勤を終え、最初に電話で話した女性から「たくさんの人から問合せがある中で圧倒的な情熱を感じたから、いつもは断るけどオーナーに掛け合った。」と言われた。

このお店にはフランス人だけでなく、他の国からの常連客もたくさん訪れていた。初対面なのにビズ(両頬にキスをする挨拶)を交わす文化や、スキンシップが豊富で距離が近いと感じることもあったが、その環境はとても心地が良かった。そんな彼らからも、時折ウインクを送られながら同じようなことを言われ、それがとても嬉しかったことを思い出した。

それと同時に、今までなんとなく避けてきた違和感と、向き合わなければならないと思った。これまでにも似たような場面があったが、何故か後味の悪い、とても不快な気分になる時が多々あった。同じ言葉でも、嘲笑いながら何かバカにされているように感じたあの瞬間だ。
私のアイデンティティの一部でもあるこの情熱的な面を、男女問わず素敵だねと言ってくれる人達を、これまで以上に大切にしたいと強く思った。

そしてこの違和感と向き合った後も、同じように他の違和感にも目を向け続けていくうちに、長い間関わってきた人や古くからの友人が徐々に減り始めた。
何かを決断する際も、誰かに相談したり迷うことが少なくなり、悩みも減ったことで、生きやすさや心の強さを感じるようになった。

これまでの人生の中にきっといくつもの重要なヒントがあったに違いない。
違和感のほとんどはネガティブでマイナスな要素が多く、傷つかぬよう無意識に見て見ぬ振りをしてしまうが、それを見逃さず丁寧に1つ1つ拾い集め、自分で答えを見つけていく作業はすごく時間も手間も掛かり、さらに時には、過去をわざわざ掘り起こすことで当時をトラウマのように思い出し、落ち込むこともある。
しかし、この簡単ではない面倒で投げ出したくなる作業と真摯に立ち向かっていくことは、婚活だけではなく人生においても1番大切なことだと自負している。



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