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バックパッカーではないという事

単独で海外旅行をするのが生き甲斐だ、というと高確率で
「バックパッカー!素敵ですね!!」
と言われる。でも残念ながら私は純粋なバックパッカーではない。
今日はそんな話をしてみようと思う。

海外旅行が好きだ。
三度の飯より好きだ。だが、そんなに頻繁には行かれない。
何故なら私の置かれている境遇がサービス業を生業とする会社の正社員だからだ。
尚且つ社内には未だに古風な「労働こそが美徳である」という暗黙のルールのような空気が根深く残っている。昨今の働き方改革で大分マシにはなったが。

勿論そんな会社でも所属している事に個人的なメリットを感じているので10年以上勤続している訳だが、どう頑張っても5日の連休を取得するのが精一杯、それ以上は夢のまた夢。
それでも大好きな海外旅行を諦めるなんて出来ない。

なので、いざ海外へ行くとなると現地での時間を無駄にすることがないよう下準備は結構入念に行っている。航空券は勿論、宿や場合によっては鉄道等の予約も出国前に済ませてしまうのだ。
滞在する国での予定によってはアクセスを重視するために所謂高ランクなホテルを利用する事もある。
加えて、私のライフワークとなっている写真撮影のために持って行くものも多い。フルサイズ機の大きなカメラ本体、グリップ、交換レンズ数本、替えのバッテリーと充電器、ブロワーやレンズクリーナー等のメンテ道具、ミニ三脚やクランプポッド。
これらを身長160センチの自分が現地へ安全に、しかも旅行の荷物も合わせて持って行くとなるとやはり頑丈なスーツケースは必須アイテムになる。
カメラバッグに入れた機材等をさらにスーツケースへ入れたり乗せたりしてゴロゴロさせるのが私の戦法なのだ。

なので、私の旅行はバックパッカー的な要素が非常に少ない。
Wikipedia曰く私の旅行スタイルはバックパッカーの中でのフラッシュパッキングというものに近いそうなのだがそんな事はよっぽどの旅行マニアか雑学好きにしか通じないだろう。
「バックパッカー!素敵ですね!!」
と、褒めてくれた人にその事を伝えると皆キョトンとした顔をするし中には若干の落胆が隠せていない人さえいる。何故なのか。

それはやはりバックパッカーは自由の象徴、冒険者としての印象が強いからなのだろう。抑圧された社会から飛び出し自分の力で海外をサバイバルする、そんなイメージが強い。正直私もそう思っている部分がある。
だから、所謂「普通の個人旅行」と聞いて落胆してしまう人が多いのかもしれない。

個人で海外へ行くようになった当初はそんなイメージが常に私に影のように付きまとい「バックパッカーではない自分」をどこか恥じていた部分があったように思う。
撮影という目的があるにも関わらず「バックパッカー」という響きの良い肩書きに執着している自分。バックパッカーでない自分は本物の旅行者では無いのではないかという疑問。
今でこそ気にしなくなったものの乗り越えるまでは結構大きな壁だった。

もしこの記事を読んでいる人の中でかつての自分と同じように「バックパッカー」という言葉に囚われている人がいるのであれば、自分が何のために旅行しているのかを見直してみると良いかもしれない。
そもそも旅行に本物も偽物も無いのだから。
自分の人生を彩るために旅行はある、人の数だけ旅行のスタイルもある。

観光メインでもいいじゃない。
高級な宿やレストランを堪能してもいいじゃない。
ガイドに頼ってもいいじゃない。
現地ツアーに参加しても全然恥ずかしくなんて無い。


そう思うともっともっと楽しく過ごすことができる筈だから。

おしまい。


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