縁側にて
暑い夏のはずなのに
涼やかな風だけを感じるような気がしてる。
あなたは白地に金魚の浴衣。
私は青地に鯉の浴衣。
並んで座ってるけども、
2人は空を眺めて互いを見ない。
青過ぎる空を見ても面白くない。
雲を見たら
綿菓子みたい、とあなたは言って、
私は麩菓子みたい、と違うことを言って、
それでも互いの言葉に、そうだね、とうなずいている。
入道雲の後で、夕立ちが来て、
二人とも足だけだして、滝のような雨を受ける。
夕立ちがおさまって、また日がさしたら、
あなたは綿菓子を食べて、
私は水飴を舐める。
互いの菓子がうらやましくて、
ふわふわで甘くて美味しそう、
こってり甘くて美味しそう、
互いの菓子をほめ合って、
それでも自分の菓子を食べる。
雨上がりに湯気の立つような縁側の外。
セミの鳴き声は
ほんとうは
笑ってるように見える私たちの
泣き声の代わり。
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