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檸檬[400]

口論が聞こえた。二人の男が一人の女を取り合っていた。

檸檬の砂糖漬けを作ろう!
ぼんやりとレモンの薄切りを作っていると、指まで処理に与った。

爪の輪郭を沿って流れる血液。
心底うっとりとした。

痛覚がちょっと死にかけなので、
怪我をする度にこんな調子だ。

お得かな?


小学生の頃の記憶を思い出した。
そのときも、厚紙をハサミで型どっていて
ザックリとやってしまったのだ。

だらだら滴れる血液に
クラスがざわめき

保健室では、切断の一歩手前だ!とか叱られた。



呆れないでほしい。人並みの衛生観は持っている。
作業を中断して、傷口を水ですすいで、レモンを遠ざけた。


なんの気なしに、指先から溢れる血液を舐めとれば
こりゃあまた美味で、気持ちが揺らいだ。


チューリップの蕾を10つほど持ち帰ってきた。
球根から育てた幼少期をまた思い出し、
変わらないものを愛でていると自嘲した。


レモンに砂糖を揉み込むように、
傷口に塩を塗ってみようか。


もっといろんな環境を知りたい!!