『あなたの言う「いい子」ってどんな人なの？』
にわかに訊かれてガタガタ震える夢を見た。

言うことが聞ける人。言われた以上のことができる人。
余計なことをしない人。昨日よりよい成果の出せる人。

こうやって口ごもらずに、すぐに答えられる人。
こうやって泣いて、迷惑をかけない人。

こうやって顔色を窺っては、相手をイライラさせない人。
こうやって卑屈になって、被害者ヅラをしない人。

泣きじゃくる夢だ。大切な人を困らせる夢だ。
嫌だよ。弱ってしまうよ。

『悪い子は、いらないよ』

恵まれた環境に生きている。

「いい子でいたいのも、あなたの強さのひとつ」
「いい子でいたいのも、偉くていい子の証」

そんなふうにとりあえず受け止めて、
付き合ってくれる人たちだけど

「捨てないよ」「嫌いにならないよ」って
深入りせずに愛してくれるけど

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「いい子」という言葉には、一般的には以下のような解釈があります。

1. 行動や性格の良さを指す場合：「いい子」とは、礼儀正しく、親や他の人に対して思いやりがあり、善良で誠実な子供や若者のことを指します。例えば、他人を思いやる行動をとったり、規則を守るなど、社会的に良い行動をする子供を指すことがあります。

2. 表面的な規範に従うだけの場合：一部の場合、規則を守ることや、大人の期待に沿った行動を取るだけのことを指す場合もあります。そのため、その人の内面的な良さや個性には焦点を当てていないかもしれません。

3. 非現実的な期待やプレッシャーをかける場合：「いい子」の概念は時に、社会や家族の期待に応えることを強制するために使われることもあります。この場合、個々の子供が自身の真の感情や願望を抑圧することにつながる場合があります。

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ChatGPTも知っていたのか。
この言葉は、慰めにも苦しみにも映る。

頭上に伸びる手が怖いんだ
喉から手が出るほど欲しくてたまらないのに

撫でられているのか、殴られているのか、
もう思い出せないよ！

『若者を叱る時は、こんな言葉が効果的です。』
ってビジネス書に書いてあったんだ。

「みんな期待してたのに」
「残念だな」

「XXさんならできるよね」
「落胆させないでね」

恐喝みたいな真似。

腹部には痣ができないから、
誰も信じなかった。

呼吸の止まり、血の吐いた顔なんて
もう二度と見ないのだろう。

人を殴れば、拳にも傷がつくのだよと
人を閉め出せば、あなたは閉じ込められているのだよと

被害者が黙り、目撃者が黙り、加害者が黙れば、
それはないも同然だよと。

口にしないのなら
ないも同然だよ。

いい子にしていても、痛みや苦しみから逃れられないし
いい子にしていても、簡単にゴミに出されちゃうし

いい子の定義なんて、そんなに気ままなものなのに
懸命にしがみついて、束の間の安心を得て、
何度も唇を噛んで、何も変わらないのに。

ボロ布ですべてを隠し、笑顔を見せるあの子が憎らしい。
人を嫌わない無知なあの子が腹立たしい。

胸のうちに住む、気味が悪くて、神経を逆撫でする子供。
私が無性に嫌うので、彼女は傷つき、おべっかをひとつ。

癪に触るそれを散々壊しても、彼女は決して涙を見せない。
暴言を吐いて、大切なものを奪っても、彼女は一度も怒らない。


その憐れむような表情が、
諦めたような視線が、
宥めるような不器用な微笑みが、

私を惨めな気持ちにさせる。
馬鹿にしている。

いまなら、彼らのことがわかる気がする。
「過去のことだよ」と笑い合うあの人たちの
一挙手一投足が、手に取るようにわかる。

本当に欲しいのは
「いい子だね」なんて言葉じゃないことは
始めから気づいていた、はずなのに。

言質なんて、すぐに揉み消されちゃうって
よくよくわかったのに。

愛されたいなんて言わない。愛なんていらない。
愛してるって言ってほしい。まだ言葉に縋っていたい。

「人間」を組み立てるブロックの
その穴は、これじゃ埋まらないのに。