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使い果たした秋の空[500]

その人のせいで生きていたい
どんな顔でも上げられるから

氷点下でも胸が凍らず
いつか消えてしまう

過去を知らない
今を知らない
未来を知らない

大切な人。

抱え切れない影を拾い集めて、つなぎ合わせて、
不恰好さに耐えられず、持ち主が元通りになおしてくれる。


雨嵐とカンカン照りの奇妙な気候だった。
毎度律儀に青空を隠して、気が済めば虹をかけて、

北風と太陽。
平和主義なのね。



白い月と橙の雲が
動かないさまを眺めていた。


振り絞るほどの勇気が
私にはあった。

涙は枯れる。そんなことも忘れていた。
殺さないでやれば、声も枯らせるのだと思い出した。

雨の降る姿をみて、風のたたきつける音を聞いて
雲をおしやって、羽があるのに鳥は木の下に。


涙が溢れてばかりいた頃には思い出せないもの。
水たまりが、乾いていること。

縁だけがきらめいて、葉っぱがくっついていて、
昨日の景色を知るものだけが、そこに面影を見る。

その日の午後には忘れている。

示し合わせたように、同窓生から連絡が来て、
きっと示し合わせたのだろう。話題にあがったのだろう。


「久しぶり。元気にしてた?」

もっといろんな環境を知りたい!!