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「窓辺の猫」第23回 後輩が先輩に望むこと

どうも猫の飼い主です。
我が家には2匹の猫がいます。
三毛柄のセミという名前の猫と麦わら柄のトンボという猫です。

セミ猫は子猫の頃に家の庭にやってきて、今3歳です。トンボ猫は、大人になったかどうかわからないくらいに庭にやってきて、勝手に家に上がり込み出て行かなくなりました。今は推定1歳ということになっています。

もしかしたら、トンボ猫はセミ猫より年上かもしれません。しかし、我が家には後からやってきたので、後輩には違いありません。

今回はそんな後輩のトンボ猫の話です。

最初の頃はご飯さえもらえばいいと思っていたトンボ猫。今は常にご飯をもらえる機会がないか、人間の周りをついて回る散歩猫になりました。人間にいつ見えないリードで連れられているみたいなので、散歩猫です。
食い意地は衰えることを知りません。
おやつが欲しいから、ドライフードを残す先輩猫とは対照的です。

先輩猫と同じ空間で過ごすようになってから、後輩猫はずっと先輩とくっつく機会をうかがっていました。しかし、先輩は人間にすらくっつかれるのが嫌いなので、どうしてもくっついて寝てくれません。後輩は先輩に対し親しさ余って、憎さ100倍。

先輩猫が以前はご飯を残して分けてくれていたところ、人間が先輩猫のご飯を減らすようになったので、先輩猫がケージの中でご飯を減らされないようにもらった分を食べてしまうようになりました。たまに残した先輩のごはんをケージの隙間に手を入れてかき出して盗み取るのはひと苦労です。

それだけでも気に入らないのに、いつまでもくっついてくれない先輩猫!以前は先輩猫の場所は譲っていましたが、うちの子記念日の1周年に段ボールベッドをもらってから、トンボ猫は先輩の場所を奪うようになりました。
もともとトンボ猫用に買った段ボールベッドでした。セミ猫が先に使ってしまったけれど、セミ猫は他にベッドや寝る場所をたくさんもらっているので、ダンボールベットくらいトンボ猫が自分用にしても構わないと思っていました。

ところが、段ボールベッドだけでなく、セミ猫が他の場所で寝ていてもトンボ猫が飛びかかって奪うようになりました。
特に10月中旬に入ってから、肌寒くなり、暖かい拾い主の部屋にセミ猫が居座って、ほぼ部屋から出ないので、セミ猫よりうろちょろしているトンボ猫は部屋に帰ってくるたびに寝ている先輩を見つけて飛びかかってきます。

何より、自分のいない隙に先輩が甘えて撫でてもらっていたりすると、嫉妬して割り込んで来ます。
おかげで手入れされるのが大嫌いだったトンボ猫もようやくブラッシングが少しだけできるようになりました。

とは言え、先輩がブラッシングされていると突撃してくるので、セミ猫のブラッシングは前より大変になりました。
セミ猫は人間に甘えているときに、邪魔されるのが好きではありません。ましてや自分が後輩を追いかけ回すのはいいけれど、追いかけ回されるのは嫌いです。

しつこく追いかけ回されると、頭に来て、人間の背中にアタックするようになりました。それがびっくりはするけれど、ひっかき傷はできないくらいのうまい具合なのです。セミ猫は少しだけ爪を切っているので、それも功を奏しているのかもしれません。

しかし、先輩猫が人間にキックするのを許されると、納得いかないのはトンボ猫です。
トンボ猫が人間の足に飛びつくと、人間はみんな怒るからです。

怒るというより、悲鳴を上げます。トンボ猫は力の加減がわかっていないのです。怪我をしたくないので、トンボ猫が足に擦り寄ってくると、人間たちは逃げるようになりました。それでもトンボ猫は納得いきません。先輩猫が人間の足にすりよると、人間はうれしそうにセミ猫を撫でるからです。
セミ猫はそんなにしょっちゅうスリスリしてはきません。お腹を撫でられるのが好きなので、大抵は人間を見るとゴロンと横になります。

先輩と同じようにしているつもりでも、先輩と同じようないい目を見ることができない。
トンボ猫は、先輩のセミ猫をやたらと真似することはやめました。
真似するより、先輩のポジションを奪うことにしたのです。

先輩猫が人間と遊んでいたら乱入し、先輩猫がブラッシングしてもらっていたら、自分はしてもらいたくなくても突撃し、先輩が寝ていたら、追い出すチャンスとばかりに飛びかかり、先輩が鳴いていたら飛びかかり、先輩がご飯をもらう前に自分がもらおうとご飯に飛びかかる。目薬や飲み薬のある先輩がおやつをもらうので、その時ばかりは、人間には飛びかからず、自分の番が来るのをじっと待つ。先輩がいない時にお母さんに抱っこしてもらい、お父さんの足元に座ってご飯を二度三度ともらい、夜になれば家族に愛想を振り撒きにいく。
そして、夜になったら、できるだけ先輩よりいい歳したのお嬢さんのそば近くで寝る。リビングに閉じ込められていたって、誰かが夜中にトイレに起きるので、その扉の隙間を縫って、お嬢さんの部屋に戻ればいい。

前は先輩みたいな扱いをしてもらうことが目標だったけれども、今は先輩より上のポジションになることに必死です。

扉の開け方のトイレの仕方もご飯のもらい方も全部先輩に教えてもらえました。しかし、人間との関係だけは、先輩と同じようには築けません。全く違う性格の猫だからです。

セミ猫はごはんが好きなのではなく、人間からごはんをもらうという行為が好きなのです。人間のご飯には手を出しませんし、そのかわり人間と同じ時間にご飯を食べたり、本来ごはんをもらえるはずの時間より早めにご飯を催促します。
ごはんをくださいと言っていないのに、ごはんをもらってしまったらがっかりするのです。おやつは人間の手からもらいたい。機会をとらえて、人間にかまってもらいたいので、いつでも人間や猫とひっついていたいわけではありません。

しかし、トンボ猫はグルメです。お魚に目がありません。人間が変わったごはんを買ってくると我慢できず、玄関先に飛び込んできて、袋を引き破ろうとします。人間が寝静まった隙に、ごはんを探してうろうろします。扉を開けてごはんを食べてしまいます。

人間が見ていないときに、ごはんを盗んでも何も面白くないと思っている先輩猫とは違います。

トンボ猫は思っています。
先輩に教えて欲しいのは、人間に対するご飯のねだり方。ごはんのある場所。ごはんの盗み方。どうやったら、人間のご飯がもらえるか?
先輩が遊んでくれるタイミング。追いかけっこ以外の遊び方。先輩がなんでそんなにボール遊びが好きなのかわからない。
先輩はどうして一緒に寝てくれないのか分からない。
常に先輩のそばで学んでいたいのに、なんで自分がいない隙に、先輩は人間に甘えるのか。どうしてその手の内を全て自分に見せてくれないのか。

トンボ猫は未だに家猫修行中です。

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