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ネット上での同人活動を語ってみると


前回の記事で書いた生活も、ますます追い詰められるようになった頃、友人からパソコンをもらいました。

これによりインターネットに接続できる環境ができました。インターネットに接続できる環境を手に入れたといってもすぐに同人活動を再開していた訳ではありません。

今のように光回線でもありませんでしたし、全ての設定をパソコンをくれた友人がやってくれるなどなにも分からないままで始めました。ですから同人活動などまったく考えてもいないですし発想もなかったですね。

なによりどんなサイトがあって、どんなことができるのかが分かりませんでした。


簡単にいってしまうと、何でもできそうに見えて実際にはなにもできないと感じました。それは今でも同じです。
やろうと思えばできますが、費用もかかるし労力もいります。
これを理解せずに簡単にできると思っている人はとても多い。

そして初めに始めたのがHPでした。

ホームページも自分で作るのではなく、パソコンをくれた友人がやってくれました。言われるままに少しだけ作品のアップをすることになって、するとある程度の反応がありました。
この頃は今のブログ中心ではなく、ホームページが主でした。

反応があったことから何かできるかも知れないと手探りで色々と調べることになります。すると画像を使わずにすむ、メールマガジンというものに出会いました。

今は昔使っていたメルマガスタンドは閉鎖されてしまい、一部のメルマガ発行サイトしか残っていません。また、連絡用のアドレスにメルマガを発行しませんかというお誘いもありました。

それもあってメールマガジンの配信を手始めにはじめることになります。


どういうものを配信しようかと考えて、試しにアダルトと普通の小説のメルマガを考えました。ですが結果は一目瞭然、申し込みの数が桁が一つ違うのでここでもアダルトつよしを実感することになります。

このメルマガの配信は長く続きましたが、同人と同じくらいやくだってはくれませんでした。この頃は、メルマガで稼ごうという書籍も多かったのですが、メルマガはそれだけでは期待通りの利益には遠く及ばないものだと分かりました。

ですが自分のブログであるとかなにかを宣伝するための媒体としては良いものだと思います。単体では弱いもので、他の何かの媒体とつながって初めて威力を発揮するものでした。


Webではこの一つのコンテンツ単体という点では弱いものが多い気がします。

ですがネットの世界は入れ替わりがとても速くて、メールマガジンの時代は終わってしまいました。利用していたメルマガ発行スタンドはなくなってしまい、今残っているメルマガ配信サイトは「まぐまぐ!」のような一部の大手だけです。


これはネットの利点であり、欠点でもありますね。
スピードの速さが命ですが、ずっと同じサービスが続くかというとそうではなくて、安定的になにかを続けいていられないという欠点も一緒に持っています。変にアナログの良さを実感するときがあります。

突然使っているサービスが終わってしまうなど当たり前にありますし、それにかわるものがあれば良いですが必ずしも別のものがあるわけではありません。またそのサービスなりコンテンツなりが成熟する前に終わってしまったりもします。


インターネットにつながるための道具であるパソコンなどでも同じです。
我々のように作品関係で何かをしている人間はPCを使いますが──スマートフォンは持っていません──今やパソコンが使えない若者が大勢を占めてきていて、スマホ全盛の時代になってきています。

個人的なことを言えば、もともとPCは一般家庭には浸透しきっていなかったと思います。インターネットの回線でいろいろな業者がうちへきたとき──集合住宅です──ご近所に断られていたのであまり使っていなかったものと思います。

耳に入ってくるのが「うちはパソコンを持っていないので」が圧倒的に多かった。ただスマートフォンは別で、ガラケーの頃から使っていない人はいないのではないかというくらいに利用されています。
テレビのように各家庭ではなく、一人に一台ですからね、数が違う。

インターネットでもスマートフォン利用が前提で作られているようなところがあって、その動きの速さに呆れるような気がします。
次はなにがくるのかと時々考えることがあります。


そうこうするうちに、同人活動していた時にお付き合いのあったから方から「DLサイト」や「とら穴」という同人作品の委託販売サイトを教えてもらいました。

これによって、同人作品でなんとか出来かも知れないと思い、チャレンジすることになります。
他に選択肢がないくらい追い詰められてもいました。


※閑話休題。

前回の愚痴というか、同人活動中断後のことを書いているといろいろなことを思い出していたのですが──思い出していると様々なことが、生々しく蘇ってきて歯止めがきかず引き摺ってしまっています──今更なのですが、インターネットにアクセスできる環境ができたときに世の中の動きの遅さを実感することがありました。

この頃は、以前の職場の最後の頃なんですが、非常にネットに詳しい大学生のアルバイトがいました。アルバイト以外にネットでも収入があって二刀流でしたね。彼女もネットで見つけて、おまけに就職もIT関係の企業からヘッドハンティングで就職を決めました。

この時、テレビで就職活動をしてもなかなか見つからない大学生の実態を特集していたドキュメンタリーがありました。大学生たちに仕事を教えたりもしていましたので、大学生たちの生の実態は、時代の変遷とともに見てきました。不景気のどん底では、大学をやめなければならなくなったものまでいました。

この時のドキュメンタリーでは就職に苦労している大学生を平気で、親はまじめに仕事を探していないとか言っていましたね。

大人というのもは時代の現実をまるで見ることができていないことを証明していました。これは我々が学生の頃と同じです。まじめに頑張ってさえいれば報われると言っているのは何時の時代でも馬鹿な大人たちだけで、我々が学生の頃から現実はかけ離れていました。

特に我々が子供だった頃は、公害の時代でもありましたから、大人たちの正気を疑ったほど大人が信じられませんでした。

成長するにつけ、その疑いの全てが真実であると確認することになります。
今でも、どうしてあれほど現実離れしたことを話していたのかと当時の大人たちに聞いてみたいときがあるほどです。

この後、同人活動を再開してすぐの頃にネット上で大学生がサイト運営で月20万円くらい稼いでいるけど、親に遊んでいないでまじめに働けと言われているという書き込みがありました。

先の大学生の存在がありましたので、この経験からこの書き込みは事実であると思います。

今やこの親たちと年も変わらなくなっているのですが、今も多くの大人たちの常識は変わっていません。

まったく馬鹿げすぎている価値観で、むしろ協力してやるくらいならば、もしかすれば第二の「ひろゆき」氏のようになっていたかも知れない。それなのにその稼ぎを捨ててもっと稼ぎの少ない、奴隷のような勤め人になれとはなにを考えているんだこの親はと、人ごとながら思ったものです。

こういう考えをしている人間はおしなべて世の中のことを学校の延長であるかのように思っているところがあり、就職はまるで公務員になるかのような安定があると信じ込んでいます。

ある種の信仰のようにさえ感じます。

こういう人たちがあり得ないアニメ市場の規模などの「嘘」を信じ込んでいるのだと思います。新聞が伝える、テレビニュースが伝えている、なにも疑わず頭を使わないで無批判に信じ込んでは自分は世の中の動きを分かっているという自負心ばかりが膨れあがっていく。

こういう人々が大半を占めるから、政府は人々をたやすくコントロールできているのだと思います。学生の頃は情報が少ないので皆、分からないだけだと思っていましたが、これは大きな間違いでした。

情報など溢れるかえるほどになっても、なにも変わりません。


話戻って、いざ、インターネットでの同人活動再開ですが初めは全くなにも分かりませんでした。基本的にPDFファイルを扱うことが多いのですが、PDFってなにという感じでした。とにかくなにも分からないまま手探りの活動でした。

昔の同人誌をデジタル化──PDFファイル化──して同人販売委託サイトへ登録させてもらったのですが、この頃はまだ今のように販売サイトは飽和状態ではありませんでした。

販売委託サイトが次々と開設されてきた頃でもあって、サイトから登録のお誘いもありました。

同人誌じたいはサークルに属していた時の作品を、連絡が取れないメンバーの作品は削除して了承をもらったメンバーの作品だけを登録しました。スキャナーがなかったのでサイトへ同人誌を郵送して、サイト側でPDFファイル化をしてもらいました。

サービスが一番良いのは「DLsite」ですね。
これは人からも勧められましたし、登録してからも実感したサイトですし日本では最大のサイトでもあります。


インターネットで優れたサービスを提供できるところはやはり発展しますし生き残れます。同人作品委託サイトもサービスが悪かったりするサイトは今ひとつ伸び悩んでいるようなところがありますし、生き残れないようです。

他のジャンルのサイトでも同じなのかどうかは分かりませんが、同人委託販売サイトは運営面で不満を感じるところは発展していないと感じました。

しかしこの同人誌のデジタル化だけではネタはすぐにつきてしまいます。
試行錯誤でしたが、新たに挑戦し始めたのがサウンドノベルのようなゲームタイプの作品制作です。

サークルで同人活動をしていた最後の頃にはゲーム作品もちらほら出てき初めてきた頃だったので、どんなものか興味があったからです。

ですがこれもすべて手探りの状態。
調べてみるとフリーのゲーム制作ソフトが公開されていて、自由に使うことができることが分かりました。

ですがどれも一長一短で、また本格的に動画も使えるものがあっても「吉里吉里」のようにブログラムを知らないと制作できないものまでありました。


同人活動を知っている友人などには簡単にゲームが作れると思っている人間が多かった。動画を使えだとか音声をとか好き放題でした。こういう人たち、たぶん制作の現場を知らない人はみな同じように思っていると思います。

つまり一般の人の殆どがそうだと思います。

共通するのは音声や音楽、動画などの映像もすべてソフトに含まれているとでも思っていることに驚きました。そんなわけないだろうということがわかない人が多かったのです。

ソフトがあれば簡単に作れると思っている人が多くて、かなり辟易させられました。本人はそれでもアドバイスしているつもりだから困りものです。
それは今でもですが。

画像も音声もテキストも、全て個別に用意しなければならず、それをゲームという形にまとめることができるシステムがゲーム制作ソフトです。ですからソフトだけあってもなにも作れません。

テキストもイラストなどの画像も個別に作るだけで一つの単体作品といえます。一つ一つの作品制作と同じだけの労力を必要とします。それを必要なだけ用意しなければならず、簡単に言ってしまうと必要とするだけの作品数分の手間と時間がかかるということです。

これも友人などからは簡単に、どうして動画を使ったものを作らないんだとも良く言われました。動画はやはり人気があって売上本数も自分たちよりも二桁くらいは上だったからです。

ですが労力的なものでは半端ではないですし、だいたいが一人で制作できません。動画を作っているサークルは、サークルと言っても企業サークルで、潤沢な資金と人数で制作するから作れていますが、それが分からないというか理解しようとしない人間はすぐに比較して作れよというような、アドバイスのつもりのことを言ってきます。

企業でもサークル登録すれば販売できますから、売れているデジタル同人作品の多くは企業サークルです。
個人でできるものには限界があります。


正直、自分の作っていたのは分岐のあるサウンドノベルのような作品でしたが、これが一人で制作するものでは限界でした。サークル活動していた時にこれらがあれば、おそらく商業作品と遜色ないものを作っていたと思います。

今同人活動をすると、あの時これがあればばかりが目につくのです。


簡単に言ってしまうと、インターネットで活動すると紙媒体での活動よりも労力を必要とするようになりました。やろうと思えば、ネットで人を探して自分のできないことを依頼することもできます。

ですが当然仕事としての報酬が必要で、そういう意味では昔のような好意で描いてもらって同人誌を作るというタイプの同人作品の制作は不可能です。

どちらにせよ、昔ながらの同人制作の方法はネットの世界では無理だと言うことです。声優さんなどギャラを用意して作品制作するようになりましたので、金銭的にできる範囲のものは決まってきます。

それでも狙いとアイデアでなんとか売れるものを制作できるようになってきて、生活の方も崖っぷちに片腕一本で持ちこたえられることができました。


殆どがネットを使った作品でしたが、DVDを使った物販も考えました。
ですが、これは以前にやっていたことと同じでそのときの労力を知っていますのであきらめました。

他のことで時間をとられてしまうと、本来の作品作りができなくなってしまうからです。一人で作業をすると、こういうことが頻繁におこります。
一人でできる作業量が限られてくる。

これが一年に一作とかならばできるのですが、それほど部数を伸ばすことができるわけではありません。労多く得る物が少ないという基本は、従来通りの同人作品と、デジタル同人ともに変わりありませんでした。

つまり仕事となってくると、作品数を沢山増やす必要があります。
するとどうしても他の作業ができなくなってくるので物販は考えはしましたが──今も躊躇しています──できないとあきらめました。

CDやDVDを自分で焼いて作っても良いですが、紙の同人誌の頃のような労力が必要になってきます。正直、これ以上の手間をかけたくないというのがありました。


結局、色々と作ってみて、ゲームではなく音声作品の制作へと落ち着いてきました。これが一番シンプルで、かつMP3を再生できればPCでもスマホでも視聴することができるからです。

考えることは皆同じで──というよも、できる範囲で人気のあるものが──多くのサークルさんが作るようになってきました。

ですがこれも違った意味での苦労があって、信頼できるネット声優さんと出会えるかどうかが鍵でした。

相手が女性だったので気分というか、突然連絡が取れなくなるなど色々あって、そこら辺をどうするかが分かるまでが大変でした。ドタキャンなど当たり前でしたね。

ネット声優さん同士の喧嘩に巻き込まれたこともありました。
ネット声優さんの殆どが、声優の学校を出ている方で実際にデビューできなかった方なのですが、そういう経験を積んでこなかった人もいて「えっ、なにこれ?」という人もいます。

それを隠している人もいて実際に収録してもらってから初めて分かる場合もあって、色々と厄介で面倒な方も多い。応援するつもりで声優さんのサイトを宣伝して上げても、自分の名前を利用して売り上げを伸ばそうとしていると勝手に邪推する人までいました。

だいたいがネット声優で仕事をしているのですから、大抵の方はよろこびます。それだから少しでもお役に立てればと思っていたものが、どうしてそんな考えになるのかと驚いたりしました。


これらは違った意味で苦労を必要としましたね。
サークル活動していたときとはまるで種類の違った苦労がありました。

そしてまたなにを勘違いしてか、ギャラが馬鹿高い方もいました。これはサークルで活動していた時、最後の頃には声優さんと連絡が取れるところまで辿りついたのでギャラ事情も知っていますから、その暴利ぶりに呆れたこともあります。

新人の場合、例えアニメの主人公であっても昔で1万、現在は1万5千円とだいたいが決まっています。

アニメの専門学校からアニメ業界へと就職した人間も知っているので声優さんの実体も知っています。この頃にはそれを忘れていましたが、なるほどと思わせられることばかりでした。

ネット声優を名乗る方は大勢いるのですが、信頼できる声優さんは一握りです。


一時期は声優さんのブッキングから収録、編集に至るまで全てを請け負うスタジオがありました──今でもあると思います。ですが商業サークルでないと依頼できない料金でしたね。個人で出せる額ではなかったです。

そのスタジオでは自分で探した声優さんでも請け負いますと言うことでしたが、但し書きがあって、ネット声優はお受けできませんと言うことでした。
それくらいネット声優さんは信頼されていませんでした。
自分もその意見に賛同したいと思います。
 


そして今でもなれないのは肉体面です。眼精疲労がとにかく酷い。

今はブルーライトをカットするメガネを使用していますのでかなり楽になりましたが、それまでは制作途中で目を休めるために中断を余儀なくされることも度々ありました。

眼精疲労から頭痛になって、これを我慢して作業を続けていると気分が悪くなってきてさらに続けると吐き気がして戻してしまうので、どうしても一時的に休まなければなりませんでした。

力仕事とかでは大丈夫なのですが、これは体力ですむ問題ではないのでなれることができません。目薬や目のストレッチは欠かせませんし、とにかく目を休めながら作業を進めるしかありません。

いまでもなにか解消法がないかとずっと探しています。

そしてネットの同人活動の特徴で、検索すれば誰でも探すことができるという最大の強みがあります。紙の同人誌と違って、同人ファンとは違った人たちにも同人作品を提供できるという利点があります。
これは最大の強みであると同時に、致命的な欠点でもありました。

なぜならば世間のロリコン規制の動きなどをもろに喰らうからです。何度かそういう規制の動きに連動して、販売サイトでの発売が一時的に停止していた時がありました。

とくに自分の作品は「ロリコン」とは真逆なものが殆で、規制とは関係ないはずなのですが、それでも影響をもろに受けます。規制などの動きでは、標的になりやすいのです。

今の、即売会での頒布が主体の、言わば先祖返りしている動向も理解できます。即売会だとイベント会場へ直接出向いていって、同人誌を見て歩くしか確認の方法がありませんが、ネットでの頒布は検索して誰でも調べて確認することができます。

同人誌叩きでは、格好の標的になっているようなものですからね。

そういう意味では、「クールジャパン」と同じでこれ以上は発展していけないのではないかと感じています。同じネットを使った頒布方法でも、また違った方法を探さなければならなくなっているかも知れません。

次は、クールジャパンの現実、同人での影響を記事にしたいと思います。





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