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[図解]コーヒーの商流を解説

こんにちは。川野優馬です。

今日はコーヒーの商流を解説します。

どんな人・会社が関わって、どんな流れで売られていくのか、スペシャルティコーヒーの流通を図にして紹介していこうと思います。


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図にするとこんな感じ。それぞれの状態での価格も大体の数字で書いてみた。これはスペシャルティコーヒーの例なので、大量生産のコモディティコーヒーは少し違う部分もあるかもしれないのであくまで参考程度に。


1. 農園→精製所

コーヒー農園で収穫したコーヒーチェリーは、種を取り出して乾かすための精製所へと売られる。

コーヒーは、グアテマラ・コロンビア・ブラジルといった中南米、エチオピア・ケニア・ルワンダといったアフリカ、ベトナム・インドネシアといった東南アジアで主に育てられている。標高が高い方が美味しく育つので、スペシャルティコーヒーは山奥で育てられていることが多い。収穫期は基本的に年に1回で、2-3ヶ月の間に全てのチェリーが熟し収穫される。


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これがコーヒーチェリー

農家が農園で収穫したコーヒーチェリーは、1kgあたり 0.5-1 USDで精製所に販売される。1kgのチェリーから皮剥いて乾かして選別して重さが減って、だいたい200gくらいのコーヒー生豆になる。なのでコーヒー豆1kg換算で250円くらい。

赤く熟した果実だけ揃えるほど甘く香りも複雑になるので、熟したチェリーだけを手摘みで揃えることで、より高い値段で売れる。


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エチオピアのコーヒー精製所の様子。チェリーを皮剥きして、発酵させて、水洗して、乾かして、コーヒー生豆を完成させる場所。アフリカの精製所は1箇所で数百トンのコーヒーをつくるほど大きいが、数トンしかつくらない小さな精製所もあったり、精製設備を農家自身が農園の中で持っていることもある。

コーヒーの精製の詳しい流れはこちらの記事に。


2. 精製所→輸出業者

精製されたコーヒー生豆は、輸出業者に売られ、売り先とのマッチング・諸手続きが行われる。

3週間ほどで水分量が11%ほどまで乾くと、コーヒー生豆の完成。出来上がったコーヒー生豆は、最終的に商社などのバイヤーに売られることになるが、各精製所や各生産者が直接バイヤーとつながっていることは少ないので、生産国の輸出業者へとわたる。

輸出業者にわたる前に、一度仲介業者や農協の手などにわたって、コーヒー豆が取りまとめられることもある。

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輸出業者の倉庫。コーヒー豆を最後、比重や粒の大きさなどで選別する設備があったりして、ロット分けしたコーヒー生豆は麻袋に保管される。

輸出業者には各国の商社などからバイヤーがやってきて、テイスティングや価格確認の上、売買の契約がなされる。基本的には美味しさによって輸出業者側が価格をつけることが多い。品種・精製方法・環境によって美味しさが変わる。輸出国のFOB価格(現地港での商品価格)で生豆1kgあたり6 USDくらいなので約600-700円。輸入者はこのほかに、船代・受け取り後の陸路運賃・輸入諸経費などを支払うことになる。

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生豆のサンプルも、生産者ごと、ロットごとに細かく分けられ、問い合わせのあった商社にはサンプルの送付も行う。輸出のライセンスを持っており、諸手続きに精通しており、植物検疫などの現地での書類発行後に港へと運び、船積みを行う。20ftコンテナに約18tのコーヒー生豆が積載される。

まれに、大きな規模の農園・精製所は自分たちで輸出のライセンスを持っていて直接輸出することも。


3. 輸出業者→商社

生産国の輸出業者の販売リストの中から、商社は商品を購入して、船で商社の倉庫まで運ばれる。

精製されたコーヒー生豆がその国にいくつかある輸出業者へと集められ、その中から商社は商品を選んで購入する流れが一般的。まれに商社が購入したい精製所を指定して輸出業者に依頼することも。

船で運ばれ、商社の倉庫にたどり着くまで、距離によるが約1ヶ月程度。港で受け取られたコーヒー生豆は所定の手続きがなされたのち、商社指定の倉庫にトラックで運ばれる。

ここには現地での生豆購入価格に加えて、輸入に関する費用、倉庫費用が乗っているため、1kgあたり1000円ほどの価格になる。


4. 商社→焙煎所

商社の在庫リストの中から、各ロースターが商品を選び、焙煎所へと生豆がトラックで運ばれる。

商社が定期的に開催するテイスティング会や、生豆サンプル送付などによって、焙煎機能を持ったバイヤーが生豆を購入する。豆を自分で焙煎する人たち(=ロースター)が生豆を商社から買う。僕が運営してるLIGHT UP COFFEEも、ブルーボトルコーヒーもこのロースターに当てはまる。

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1kg 1000円の価格で商社から買った生豆は、焙煎することで一気に価値が上がる。カフェ・レストラン向けの業者卸価格で1kg 4000円ほどに、100gずつなどの小売販売で1kg 8000円ほどの価格になる。焙煎の方法で、味の仕上がりが大きく変わるので、各ロースターはそれぞれのコンセプトで焙煎して、それぞれのコーヒーブランドをつくっている。焙煎技術、品質の安定などもこの価値上昇の理由でもある。


5. 焙煎所→カフェ

カフェ・レストランなどの飲食店は、焙煎所からコーヒー豆を仕入れて、ドリンクにして販売する。

僕たちが一般的に飲むコーヒーは、コンビニでもカフェでもレストランでも、必ずどこかで焙煎された豆を使っていることになる。焙煎豆を仕入れて、粉にして、お湯をかけて、コーヒードリンクにする最後の工程が各店舗でなされる。1kg 4000円で仕入れたコーヒー豆は、60杯分くらいにはなるので、ドリップ1杯500円で売ったとしたら約30000円となる。液体にした途端一気に価値が上がるのがコーヒー。もちろん一方で手間がかかるし、人件費もかかる。

自社で焙煎してそのまま自社のカフェで使うことも多い。LIGHT UP COFFEEも自社焙煎。

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コーヒーショップは、豆のセレクション、自社焙煎の場合は焙煎のブランディング、ドリンクとしての提供方法で付加価値をつけている。


まとめ

もともとチェリーの段階で、生豆換算1kg 250円だったコーヒーは、精製後に600円となり、消費国に運ばれると1000円ほどになる。そこから焙煎すると一気に4倍ほどの価値に、液体にするとそこからさらに7-8倍の価値になり得る。

カフェが断トツに儲かる仕組みだと思いきや、カフェはカフェで、儲けるのがとても難しい。今度はそれぞれどう利益を出しているか、書いてみようと思っています。


コーヒー豆は、地理上・歴史上、発展途上国でつくられているので、物価の違いが大きいが、どう売るかで価値が大きく変わり得る商品。

逆に、生産国時点での原価の低さに注目すれば、工夫次第ではもっと安くコーヒーを楽しむこともできるし、嗜好品という特性上ブランディング次第でもっと高くコーヒーを売ることもできる。



スペシャルティコーヒーの流通の一例で、いろんなパターンがあるとは思いますが、なにかの参考になれば幸いです!


川野優馬



さいごに

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