なぜ金子千尋が欲しいのか？
先日、スポーツ新聞各紙にオリックス・金子千尋、自由契約濃厚と言う旨の記事が紙面に踊りました。
楽天の石井GMは獲得調査へ動く考えを明らかにするなど、複数球団からアプローチがあることは間違いないでしょう。
おそらく広島は獲得に乗り出さないでしょうが、私個人としては是非獲得に動いてもらいたい選手です。
そのように考えるのには2つの理由があります。
①まだまだ戦力になれる
2014年の沢村賞を受賞した絶頂期から比べると、表①にある通り成績は落ち込んでおり、加齢による劣化が否めないのは事実ですが、戦力にならないかと言えば否でしょう。
故障による離脱があったシーズンもありますが、それでも毎年100イニングくらいは投げており、防御率も3点台には留めるなど、エース格としては厳しいですが、ローテーション投手としては期待できます。(年俸に見合うかというと疑問符ですが)
それに、現在の広島で確実に金子以上と言える先発投手は、大瀬良大地とK・ジョンソンくらいで、その他は野村祐輔を含め団子に近い先発投手陣事情となっています。
WARで見ても、今季金子がマークした2.1以上を記録しているのは、前述の二名プラスで岡田明丈と野村祐輔となっており、数値だけを見ても5番手には入って来れる計算になります。
それだけでなく、今季もGB％がリーグ平均の46.9％を上回る49.4％を記録するなどGBPである金子は、GBPを多く抱え、かつ菊池涼介を筆頭に内野守備も堅い広島という環境は、フィットするのではないでしょうか。(UZRで見ると今季は3Bと1Bで大きくマイナスを作ってしまいましたが、来季は3B安部でおそらく固定され、新井・エルドレッドの退団に伴い1Bバティスタの出番も増えるはずなので改善に向かうはず)
また、表②にあるように、加齢による球速の劣化や、それに伴うO-Swing％(ボールゾーンスイング率)やSwStr％(投球全体に占める空振り率)の下降など支配力の低下が進行していますが、セリーグナンバーワンの広島打線と対戦することなく、パリーグに比べ少々打者の力量の落ちるセリーグなら、まだまだ活躍できるはずです。
②若手への指南などチームに新風を吹き込んでくれる
前述の通り、戦力としても期待できますが、個人的にはこちらの方が期待値が大きいです。
広島の選手やコーチは、広島生え抜きがその多くを占め、他球団とは一風変わった独自の文化が存在していることは間違いないでしょう。
それがプラスに働くこともあれば、マイナスに働くこともありますが、その独自の文化がアップデートされず固定化されてしまうのが一番恐れるところです。
ですから、金子のような大物選手の加入により、ガラパゴス化している文化にスパイスを与えて、広島の球団内に蔓延る文化をアップデートするきっかけを作って欲しいと思うのです。
2015年に黒田博樹が復帰した際にも、多くの選手がその教えを請い、薫陶を受けた野村祐輔・福井優也・九里亜蓮など伸び悩み気味だった投手たちが、成長していった姿がありました。
それからあまり日はたっていませんが、昨年15勝を挙げた薮田和樹が今季はほぼ2軍暮らしで、岡田も昨年の春に見せた投球のクオリティーを取り戻せずにいるなど、伸び悩みを見せている投手は多くいます。
金子の教えを請ったところで、確実に解決するわけではありませんが、今までとは違う視点からのアドバイスがあれば、それがきっかけとなり、良い方向へ向かっていくことは十二分に考えられます。
実際に、金子の変化球を曲げようとするのではなく、いかにストレートに擬態させて打者を打ち取ろうとするような考え方などは、所謂ピッチトンネルの考え方に即したものですし、若手投手にとっては非常に参考になるのではないでしょうか。
このように、自分なりの理論を築き、かつ実績も残している金子のような投手は、黒田のようなメンター的な立ち位置で、チームへ無形の効果を与えてくれるはずです。
まとめ
実力を見ると確かに下り坂であることは間違いありませんが、それでも未だにそれなりに活躍できる水準のモノは持ち合わせており、かつその存在が若手や中堅の多い投手陣に好影響を与えることが期待されます。
獲得することは、チームにとって間違いなくプラスに働くはずですが、年俸はチームの中でも最上位レベルのものになることは間違いないでしょうし、今後FA権を獲得していく選手に対して、ある程度の積み立ては欲しいでしょうから、前述の通り獲得への期待は薄いと言わざるを得ません。
ただ、金子に限らず他球団で実績のある投手で、かつ自分なりの理論を持っている投手が市場に出てきた際には、積極的に獲得に動いて欲しいですね。
今年で言うと、ソフトバンクから五十嵐亮太が自由契約となっており、実力だけでなく、MLBやソフトバンクで蓄積してきた理論も持っている貴重な存在ですから、何とか獲得に動いて欲しいものです。
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