マガジンのカバー画像

嘘にまみれる毎日

483
毎日一つ嘘をつきます。誰も傷つけない嘘を。
運営しているクリエイター

2018年3月の記事一覧

【嘘】量子論

夢を見ている時、現実の世界は存在していない。世界は本人の認知が全てであり、故に、夢こそがその時に存在する世界なのだ。
これを客観視すると、世界は毎日点滅するように存在と非存在を繰り返しており、これは、物質の存在確率として量子論に繋がる。

【嘘】ゴミ捨て場

ゴミ捨てに出たら、同じくゴミを捨てているお婆さんに会った。お婆さんはパンパンに詰めた真っ黒なゴミ袋を両手に持っていた。よく見ると、黒いのは袋ではなく、中身だった。

蟻。

袋からざわざわと溢れる蟻はお婆さんの両手までも真っ黒にしていた。

【嘘】赤

昨日の夜はなかなか寝付けず、古典的ではあるが柵を越える羊を数えていた。

しばらくすると、一匹の真っ赤な羊が現れる。柵を飛び越えようとせず、こちらへゆっくりと歩いてくる。
そして恐ろしく低い、男性の声を発した。

オキロ

その声で目覚めると、目は充血しその羊の色になっていた。

【嘘】ブランコ

帰宅途中、子供の頃によく遊んだ懐かしい公園に寄ってみた。当然だが誰もおらず、静けさで空気が重かった。
ふとブランコを見ると、熊のぬいぐるみが座っていた。ショコラという名前だ。そうだ私は、このぬいぐるみの名前を知っていたのだ。

ブランコはゆっくりと揺れていた。

【嘘】手軽な宇宙旅行

思いっきり転び、頭から地面に激突した。
その時、地面にビー玉が転がっていたのだ。ビー玉はちょうどオデコにめり込み、そのまま頭にスポッと入った。
だから今、目を閉じると綺麗な青色に輝く、丸いビー玉が見える。宇宙から見た地球にそっくりだ。

【嘘】チョコ

昔、駄菓子屋で少し変わったチョコを買った。まん丸でツヤツヤと輝き、口に入れるとカリッと心地良い音と共に砕け、少しの香ばしさと目一杯の甘さが幸福をくれた。

何が変わっていたかって、そのチョコ、口の中でなかなか無くならない。まだある。コロコロと口の中を転がり続けてる。

【嘘】進化論

恐竜は絶滅したのでは無い。鳥になって現代も生きている。

そして木は、その過程である。

恐竜は土に還り、木となり育った。
ある日、その葉が揺らめくと、ばさばさと鳥となり空に飛びたった。

【嘘】帰路

年に数回、月が極端に近付く事がある。その時、月の引力により強力な上昇気流が生まれ、それは月まで届く。
かぐや姫はこの上昇気流を利用して、家に帰ったそうだ。

【嘘】星になる鳥

鳥が落ちるのを見ていたはずが、流れ星になった。
飛ぶのを辞めた鳥は、星になるのだろう。

【嘘】立ち眩み

急にふらっと立ち眩み、それでも平然と歩き続ける。
この間に垂直に交わる時間軸にて、壮絶な大冒険を繰り広げたというのに、記憶も残らずいつもの日々。
最近立ち眩みが多いのは、あちらの世界で何度も魔王が暴れているからだろう。

【嘘】ミルキーウェイ

宇宙の黒い部分は珈琲の味がする。余りに苦いので、ミルクを少したらした。それは渦を巻き、銀河となった。

【嘘】鶏と卵と雨と傘

鶏が先か卵が先か。

似たような話として「傘をさすから雨が降る」というのがある。
みんなで一斉に傘をたためば、雨はすぐにやむ。
濡れるのが嫌でみんな自分だけは傘をさす。
その浅ましさが雨を降らす。

【嘘】昨日の出来事

うとうとしていた。寝過ごした。気付いたら最寄り駅はとうに過ぎ、見知らぬ駅に止まっている。スマホの充電が切れ時間は分からない。逆向きの電車に乗るべく急いで降りる。空は真っ黒。乗っていた電車が行ってしまうと、いよいよ灯りは見えない。
どうやらここは駅では無いらしい。

【嘘】欠伸

夢は昼間、時を越え空を泳いでいる。泳ぎ疲れた夢は、止まり木にとまるように眠る頭に入る。

飛び回り時空を越え、そこで夢が見た風景や経験が、そのまま眠る人の体験となる。

欠伸をすると、飛ぶ夢を吸い込むので、沢山の夢を見る。