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ベルギー旅行に行ったらひったくりに会った話

 初めまして。どうむです。普段はTwitterでカメラのことについてつぶやいたりしています。

文章力アップも兼ねて自身の体験や趣味の話をしていけたらいいなと思っています。よろしくお願いします。


なぜ記事にしようと思ったのか


 ネットにて「ヨーロッパ 治安」など調べると、地元の旅行会社などが治安についてエリア別にまとめていてくれたりします。この情報自体非常に役に立つものであり、旅行前に是非とも参照してほしいです。ただ、一つ頭に入れておいて欲しいのは、日本と向こうでは治安の良さの評価の付け方が全く違います。黄色いベスト運動前後にパリに行った際、治安をホテルのフロントの人に聞いたら鼻で笑われましたが、街に出るとそこら中特殊部隊だらけで少しヒヤヒヤしました。いや、これは守ってもらっているのか?

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国民は革命を欲している。

ただ、調べても実際に犯罪に巻き込まれた人間のブログなどはあまり出てきません。なんだか治安が悪いというのは誇張で、今はもうそこまで危なくないんじゃないの?と思われた方も多いでしょう。実際私もそう思っていました。そこで私は渡航者向けに注意喚起も兼ねて、体験記を書こうと思います。コロナ禍で海外旅行が憚られる中、日常が戻ってきていざ旅行となった際に被害に遭わないためにこの記事を頭の片隅に入れておいていただければ幸いです。

はじめに

本題に入る前に大まかな流れをここで説明しておきましょう。

行程としては五泊六日。最初の三日間はパリに滞在し、その後タリス(ベルギー版新幹線)に乗り、ブリュッセルとブルージュ観光を二日間で行うというもの。パリを訪れるのが二回目の私は、前回何も事件が起きなかったことからも完全に舐めて現地入りしていました。パリは治安が悪いという情報は友人伝に以前から聞いており、割とネットで予習していたので、中でもスリの多い地下鉄には極力乗らず、できるだけ徒歩・夜はタクシーなどを使いました。「地下鉄も乗らずにパリの治安を語るな」と言うのはやめてください…正直、前回パリに訪れた際、ついでに立ち寄ったロンドンの方が歩いていて怖い感じがしたので、警戒さえしていれば面倒ごとに巻き込まれることは回避できると思います。

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パディントン駅に程近いロンドンの有名な中華料理店「マンダリンキッチン」の近所の路地。比較的治安の良いエリアだが、夜は早い時間から人通りもかなり減っており、正直怖い。

まあロンドンで怖かったとはいえ、滅茶苦茶汚いと言われていたパリは新宿よりは道が綺麗だし、セーヌ川も調子悪い時の賀茂川くらいには綺麗だったしで特に驚くことは無かったです。一回目にこんなふざけた感想しか出てこなかった時点でこれが隙を見せる原因となるのですが。

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セーヌ川、なんか緑茶。。。

奴らは後ろからやってくる

 今思い返してみると、パリでエッフェル塔の帰り歩いているとしつこく勧誘してきた人力車ひきのおっさんも後ろから追いかけてきた。悪い奴らは大抵後ろからやってくるのだろう。海外に悪い奴らは、何か正面から勢いで奪っていくという思い込みがなぜか私にはあった。映画フルメタルジャケットでも売春婦と絡んでいたジョーカーを撮影していた相方は現地の少年に正面から堂々とカメラを盗まれていたではないか。。。まあ完全にこれは偏見ですね。どちらにせよ私は完全に油断していました。

事件は起きた

 ブルージュ観光から宿の最寄のブリュッセル中央駅に到着した私はケータイを見てあることに気づきました。au契約者が使える「世界データ定額」の期限が切れていたのです。

世界データ定額とは
いつものスマホがそのまま海外150以上の国・地域で使える(注1)au/UQ mobile/povo1.0の海外データ定額サービスです。
日本国内で事前予約すると490円/24時間(早割キャンペーン対象外の国・地域だと690円/24時間)、
事前予約しない場合は980円/24時間で利用できます。

当然土地勘のない場所ではGoogleマップが命綱となります。

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ブリュッセル中央駅の様子。グラン・パレなどの中心街が近いため割と人が多い。

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参考までに位置関係。小便小僧の近所です。

地図は事前にダウンロードしていましたが、正直正確な位置情報がわからなければ話になりません。回線が切れるタイミングが悪すぎました。疲れ切った私は、それなりに大きい駅だから別に人もたくさんいるから安全だろう、とたかを括って駅の広場のど真ん中で立ち止まってスマートフォンを見ていたところ、突然後ろからスマホをひったくられてしまったのです。流れるような早業に初め私は何が起きたのかわかりませんでしたが、隣にたまたま居合わせていたバックパッカー風のにいちゃんがとんでもない勢いで犯人を追いかけてくれました。彼が犯人のバックパックを剥ぎ取ってくれたおかげで私は犯人に追いつくことができました。

犯人は私よりも小柄なアラブ系。彼もまた、アントワープなどからやってきた難民なんでしょうか。ヨーロッパの移民情勢はこんなところでも影響を与えているらしいです。現に、ブリュッセルにおけるイスラム系住民の割合は三割程を占めています。よく自分より大柄な若者を狙ったなあと思いますが、それだけカモだったのでしょうか。そこから私は犯人と取っ組み合いになりました。二発殴られたのをいまだにはっきりと覚えています。今考えたらそんなにスマホが大事かとも思いますが、当時高校生だった私からしたら外界とのつながりはネットしかなかったようなものですから、まあ仕方ないのかなと。

結果的に犯人はケータイを諦め、そのまま逃げていきましたが滅茶苦茶怖かったのを覚えています。私はその後、警察に言うまでもなく、その追いかけてくれたにいちゃんにお礼を言うのも忘れて、そのまま宿に帰ってしまいました。本当に彼には感謝しないといけません。

こうならないために

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犯人と揉み合った際に撮られたと思われるスクショ。事件後写真フォルダを見返してかなり驚いた。

 ベルギーでは16歳から酒が飲めるので、その日は事件を忘れるためにも飲みました。ちなみに僕のお勧めはbrugsという地ビールです。あっさりしていて初心者の私でもとても飲みやすかったです。以前は日本でも買えたようですが今は現地まで行かないとダメみたいですね。

と、関係ない話はこれぐらいにして、実はこの事件には後日談があります。

次の日にブリュッセル市内を空港に向かうまでの時間つぶしとして歩いていたところ、なんと犯人とばったり再会してしまったのです。彼も私に気づいたようで、私に中指を立てたかと思うと、なんと付け回してきました。これは流石に昨日よりも怖かったですね。大急ぎで目的地のマグリット美術館に向かい、入り口まで回る余裕はなかったので事情を説明して、出口専用口から中に入れてもらい、しばらく中で退避させてもらいました。昨日警察に通報しなかったのを少し後悔しましたが、仕方ありません。お礼の気持ちも込めて美術館を観覧しました。

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王立美術館ということもあり、庭園も立派。ロックフェスの準備中だった。


基本的に、いやこれは常識かもしれませんが、絶対に犯人を追いかけてはいけません。実際、私の帰国後数ヶ月して、パリでケータイを奪われた日本人が犯人と揉み合いになり、負傷しています。

【パリ共同】パリのトロカデロ広場で10日深夜から11日未明の夜間、日本人の男性旅行者2人が複数人の強盗に遭い、刃物で1人が腹部に重傷、もう1人も腕に軽傷を負った。ニュース専門テレビBFMが12日までに報じた。在フランス日本大使館によると、重傷とされた男性は命に別条はないとみられる。携帯電話を奪われた際にもみ合いになり、刃物で攻撃されたもようだ。BFMによると、強盗は未成年の3人組で、事件後間もなく拘束されたとされる。トロカデロ広場はセーヌ川を挟んでエッフェル塔が見える位置にあり、観光客もよく訪れる。

 

 かの有名な編集者であり、鉄道紀行作家の宮脇俊三氏は自身の作品「ヨーロッパ鉄道紀行」にて同行者と共にパリの地下鉄で頭から袋をかぶせられ、視界を奪われた状態でスリの被害に遭遇されましたが、この時の犯人たちも若者風で、バレても悪びれもせずにそのまま逃げるだけだったそうですが、現在犯罪に手を染める若者たちは普通に暴力を振るってくることを考えると、とにかく“事件に遭わないこと”が最も大事でしょう。

そして、万が一にでも事件に巻き込まれてもダメージを減らすためにも、持ち物は保険をかけていきましょう。今までカメラなどを私は保険にかけてきませんでしたが、よくよく考えれば総額数十万円のものを無防備に持ち歩くことは非常に危険です。国内旅行などでもこの事件からは私は極力保険をかけてからいくようにしています。失ったデータは返ってこなくても、せめて補償額くらいは返ってきて欲しいものです。

とにかく、私の経験から言えるのは以下の通りです。

・旅行サイトなどに掲載されている「治安情報」は非常に頼りになるが、事件に巻き込まれる可能性はどこでもあり、過信してはならない。

・スマートフォンやカメラ、現金を出す際には必ず背中を壁や柱にくっつけて死角をできる限りなくす。

・絶対に犯人を追いかけない。これが一番大事。

・場合によっては保険に入る。もしも被害に遭っても、「まあ保険に入ってるから、、」と言う多少の安心感が自身の身を守ることにもつながります。

犯罪に巻き込まれないようにするだけでは不十分であり、もしもの時の対策が最も大事でしょう。

さいごに

 これなら大して他の海外旅行者向けサイトと書いてることに代わりのないような気もしますが、被害者の立場として書かせていただきました。

初めてのnoteでしたが、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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さいごにブルージュで見たお馬。シャッターチャンスは、αチャンス。

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