おとぎばなし「宝石国の王子さま」⑤

宝石国の王子さま④のつづきになります

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ついに、王子さまの誕生日当日をむかえました

王子さまは、昨日までハッキリわかっていた人の顔が以前と同じようにわからなくなっていることに気付き、とても落ち込んでいました

「ルイス、誕生日おめでとう!あっという間にこんなに大きくなって・・・本当にうれしいわ。もしかして緊張してるの?大丈夫よ、いつも通り過ごして。なんせあなたが今日の主役なんですもの」

王女様は王子さまの顔が暗いことに気付いたのか、優しく声をかけます

「ルイス、いよいよ私の跡継ぎとして本格的に活動していく年齢となったね。おめでとう、わが息子の成長する姿をこれから楽しみにしているよ」

王様は王子さまを誇らしく見ていいます。

「・・・はい。今日は本当に大切な日です。これから僕はお父様の跡継ぎとして相応しい器を持った人に成長してみせます」

王子さまの言葉を聞いて、王様と王女様は満足そうにうなずきました

王子さまは一瞬、自分の眼のことを話そうか迷いましたが、今日を楽しみにまっていた二人を前に言う事ができませんでした

朝食を終え、一度自分の部屋に戻った王子さまはベッドで丸くなっているシリウスの顔をみて、優しく頭をなでながら言いました

「今日、ローズは僕のことを見つけてくれるっていったけど、僕が先に見つけて声をかけたいんだ・・・そして、僕のお嫁さんに、なって、くれるかなあ?」

―――にゃん

シリウスは王子さまに撫でられて、半分夢の世界にいるようでした

「王子さま!そろそろ会場へ向かいますよ!みなさまがお待ちです」

扉の外から召使いの声が聴こえます

「いまいくよ」

・・・大丈夫、ローズは僕があげたペンダントをつけているはずだ。きっと僕は見つけることができる

王子さまは自分にそう言い聞かせて、会場へ向かいました



「「「王子さま、お誕生日おめでとうございます!!!」」」

会場へ着くと様々な方面から、王子さまにお祝いの言葉が飛んできます

明らかに王子さまに目をつけてもらおうと、派手な衣装を着ている女性たちを前に、王子さまは既に気が滅入りそうになってしまいます

この国の宝石をふんだんに使ったドレスも、髪飾りも、靴も、王子さまにとっては、ただの人の区別をするための印としか見れません

――・・・あのサファイアをつけた子は、あの政治家の娘さん

――・・・あのダイアをつけた子は、牧師の娘さん

王子さまは、必死で脳内に特徴を叩きこんでいました

それと同時に、自分があげたペンダントを持つ大切な子を探しますがなかなか見つかりません

――どうしよう・・・もしかして、来るのやめちゃったのかなあ

王子さまは少し不安な気持ちになっていました



一方、ローズの方も不安な気持ちになっていました

なぜなら、つけていたはずの王子さまからもらった大事なペンダントが会場についたとき、大勢の人にもみくちゃにされ落としてしまったのです

「どうしよう・・・あれが、ないと、私ってわかってもらえないわ、それにペンダントをなくしてしまったってルイスが気づいたら・・・とても悲しんでしまう」

ローズはせっかくの綺麗なドレスを気にせず必死に地面にはいつくばり探しています

周りの人たちは不思議そうにちらっとローズを見ますが、王子さまに声をかけようとするのに必死で誰も手伝ってはくれません

ローズはどんどん焦り、瞳から涙がこぼれそうになっていました

「せっかく、ここまで、きたのに、ルイスがわたしを招待してくれたのに・・・」


「探し物はこれかな?お姫様」


ローズがハッと顔をあげると、そこにはペンダントを持った王子さまがいました

「ローズ、本当に来てくれたんだね。嬉しいよ」

「あ・・・ペンダント」

「ふふっ、ローズはおっちょこちょいな面あもあるんだね」

王子さまはローズにやさしく微笑みます

ペンダントを受け取った瞬間、ローズは大粒の涙を流しました

「るいすっ、ごめんなさい!!わたし、せっかく、ルイスが、くれたペンダント、落としちゃって、ほんとうに、ごめんなさい」

うずくまって涙をながすローズに、王子さまは優しく手をのばします

「ローズ、僕は君を見つけられたんだ。ペンダントをつけていなくても、わかるかい?この意味が。ローズ、僕は君の顔がわかるんだ。その素敵なドレスを着たローズを、ちゃんと僕は見つけることができたんだ」

「・・・わたしの、顔がわかるの?」

ローズは目をぱちくりさせています

「わかるよ、そしてもう一つ大事なことがわかった」

「大事な事?」

「僕はね、とても大切にしている人の顔だけは認識できるみたいなんだ」

「・・・え?」

王子さまはそう言うと、ローズをフワッと持ち上げ立たせました

「ローズ・・・僕の目には、君はどんな宝石よりも美しく、輝きを放って映るんだ。どうか、僕の目に永遠に君を映し続けていたい」

そこまで言うと、王子さまは覚悟を決めたような顔つきになりました

気付けば、周りには大勢の人が集まっています。そのなかに、王様と王女様もいました

「ローズ・・・僕と、結婚してください」

王子さまのプロポーズにローズの顔は真っ赤になりました。

「・・・こんな、わたしでよければ、よろしくお願いします」



後日、魔法使いが今度こそ効果が継続する薬を持って、お城にやってきましたが、王子さまはもう大切なものはこの目でとらえることが出来るから大丈夫だと断ったそうです。


こうして、少し厄介な眼をもった王子さまと、そんな眼に美しく映り続けるお姫様になったローズは末永く幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし


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以上で物語を終了とします。

読んでいただきありがとうございました!!!

後日、また「おとぎばなし」を公開します(はやければ明日かも)

最初に条件であげた文字数オーバーしてしまったかも・・・

文字数内にまとめられる力をつけるよう頑張ります。

とりあえず思ったのは、おとぎばなしって書くの楽しいね







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