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DU缶物語03「からーパレット」


Ⅰ.森の人気者


森の中の小さな村に、ネズミのチュウと、
ドラゴンのドラサンが住んでいました。

ドラサンは今をときめく
ファッションデザイナー兼ファッションリーダー。
そのスラッとした長身と、
控えめだけど存在感のある着こなしで
若者に大人気。

チュウとは10年来の友達で大事な相棒。
気配り上手な彼のフォローは、
いつもドラサンの助けになっています。

ある日隣り町で
大きなお祭りが開催されることになり、
チュウとドラサンはメインイベントの
ファッションショーの準備をしていました。

Ⅱ.お祭りの準備


「この布とあの布を、
 片っ端から切ってもらえる?」
「了解!チョキチョキ、チョキチョキ、
 チョ〜キチョキ♪」
「ありがとう。縫い合わせはこっちでやるから、
 チュウは持っていく荷物の確認をよろしく」
「了解!出来ているものは、
 これとこれとこれだね!」

「ショーに出す服は全部出来た!
 あとは自分たちの準備をして早速町に向かうよ」
「了解!僕はいつもの服で大丈夫だけど、
 ドラサンは明後日のお祭りの主役なんだから。
 キレイな格好しないと駄目だよ」

そういうとチュウはいつものジャージを。
ドラサンは迷った結果、少しく色あせたみどり色のドレスを取り出しました。

2人は急いで準備をし、森を抜けて湖を横切り、お祭りが行われる町へと向かいます。

Ⅲ.小さなカラダ


「よいしょ。よいしょ」

長い道中、服を積んだ荷台をドラサンが引っ張り、
チュウは荷台の中で服が落ちないように
支えています。

本当は自分が荷台を引っ張りたいのですが、
体の小さいなチュウには、
荷台を持つことが出来ません。

「ドラサン、いつもごめんね。
 もっと僕が大きければ
 代わってあげられるのに…」
「気にしないでくれ、チュウ。
 私は君がいるおかげで、
 寂しくならなくて済むんだから」

ドラサンにとってチュウはかけがえのない相棒。
彼がいるから頑張って服が作れる。
彼がいるから長い道も平気で運べる。
彼がいるからー。

暖かいドラサンの言葉。
それでもチュウは考えてしまいます。
(なんで僕はネズミなんだろう…)

Ⅳ.大きな地震


ーグラグラ、グラグララッ!ー

しばらく経って険しい山道に差し掛かった時、
2人は大きな地震に襲われました。

「チュウ、大丈夫かい!?」
「僕は大丈夫だけど。ドラサン、あれを見て!」
「助けてくれー!!」

さっきの地震で土砂崩れが起き、
ドラサンたちの前を歩いていた人たちが
巻き込まれてしまいました。
積もった土砂の中からは、
助けを呼ぶ声が聞こえます。

「チュウ!?」
その声を聞く前に、チュウの体は
崩れた土砂に向かって駆け出しました。
(小さな僕の体じゃ、
 何が出来るかなんて分からない。
 でもこのまま黙って見ているなんて出来ない)

Ⅴ.僕にやれる事


「チュウ、危ないじゃないか!
 まだ次の土砂が来るかもしれない!
 もっと周りを見て行動するんだ!」
遅れて追いついたドラサンが注意をします。
一度崩れた岩肌は崩れやすく、
近づくのはとても危険なのです。

「だったら尚更早く助けないと!」
ドラサンには見向きもせず、
チュウは自分に出来ることを探します。

「大きな岩は動かせない。
 重たいロープも運べない。
 出来ることは声をかける事くらい…」
自分で言葉にしていて悲しくなります。

(何かないか?何かないか…!)
「この岩大きすぎて私だけじゃ動かせない。
 せめてもう少し隙間があれば…」
(隙間?そうか!)

Ⅵ.2人の協力


閃いたチュウは、わずかな隙間から
閉じ込められている岩の中へと潜ります。

「ドラサン!内側から僕が岩を押すから、
 動いた岩からどかしてほしい!」
「いいけど押すってどうやって!?」
「こうやって、テコの原理を利用するのさ」

チュウは、自分より先に入れた木の棒を抱えると、
動かしたい岩と地面の隙間に差し込み、
反対側に勢いよく飛び乗ります。

するとどうでしょう。
まるで魔法のように、土砂でつまれた岩の一つが、グラグラと動きました。

「すごいよチュウ!よぉし、あとは任せて!」

こうして、内側からチュウが岩を動かし、
外側からドラサンが一つずつどかしていきます。

しばらくして、2人を遮っていた土砂は
綺麗に取り除かれました。

Ⅶ.ありがとうの言葉


「ありがとう、チュウ、ドラサン。
 2人のおかげで助かったよ」

閉じ込められていた人々が次々にお礼を伝えます。
その中にはドラサンの古くからの友人の、
オオカミのウォルフもいました。
一通り挨拶を済ませると、
ドラサンがチュウに声をかけます。

「ありがとう、チュウ。
 君がいたから友人を助けることが出来たよ」

“ありがとう。君がいたからー”
その言葉が今度はスッとチュウの中に
入って来ました。

(僕だったから内側から岩を動かすことが
 できたんだ。僕がネズミだったから…)

嬉しそうな口元が、
チュウの気持ちをドラサンに伝えます。

Ⅷ.それから


一夜明けて2人は街へ無事辿り着きました。
お祭りのファッションショーは大盛り上がり。
ドラサンの服には多くの注文が入り、
明日からまた忙しい日々が始まります。

そんな主役のドラサンの隣には、
無邪気にはしゃぐ1匹のねずみの姿が。

小さい体を誇らしげに張り、
お祭りを楽しむチュウの目には
昨日までとは違った何かが
映っていることでしょう。

おしまい。

⚫︎あとがき


ファッションリーダーのドラサンと、フォロー役のチュウの物語。
いかがだったでしょうか?
「自分に出来ることを精一杯やる大切さ」を伝えられたらと思い、このシナリオを書きました。

このシナリオはyoutube「ユメひろびろ」で公開予定の、オリジナルシナリオ「DU缶」第3弾となります。
「ユメひろびろ」では、オリジナルシナリオの他にも、世界の童話の読み聞かせなど、幅広く活動予定。
是非応援してもらえたら嬉しいです。

それではご覧いただきありがとうございました。
また次回の記事もよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ

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