フクロウ・ノート(11)仮説について

2学期の最初のテーマは仮説と仮説検証についてです。

気候変動のメカニズムに関する論文を参考にしながら学びました。仮説とは何か、強い仮説とは何か、そして追加でカール・ポパーについて書きます。

まともに実験や研究したことないし。。。と最初はアウェイ感満載で予習をしていましたが、授業を受けるうちに仕事でも「仮定を置いて仮説を立てる→結果の予想をしつつ検証する→改善したり方向転換したり違う問いを立てたり」の繰り返しだなと思いなおしました。

そしてそういえば仕事で「実証実験します!」って言って集めるエビデンスが間違っていた結果無駄な調査をしてしまったり、集めるエビデンスは問いにあっていても問いそのものが駄作でどっちに転んでも白黒ハッキリつけられず結論が出せなかったりしたことってある、とハッとさせられました。

Hypothesis(仮説)とは?

仮説とは、検証対象となる現象や法則性について説明をするための暫定的なアイディアのことです。仮説は単なる憶測ではなく、なぜその現象が起きるのか・法則性が正しいのかのメカニズムを説明しようとするものであり、成否の結論がまだ出ていないものです。多くの場合「もしAならばBである何故ならばCだから」というようなかたちを取るのが基本です。

どうやら世の中、仮説と謳いながら実は仮説でもなんでもない憶測に基づく主張だということが結構あるから要注意なんだそうです。全てを説明するには足りませんが、カール・ポパーの有名な反証可能性に関する説を解説した動画(2分くらい)が仮説と仮説でないものの事例として教材に入っていて解りやすかったです。カール・ポパー的にマルクスの主張がいかに反証可能性がなく科学的でないので、マルクス主義に基づく世の中の考察は仮説ではなく憶測であるのかをざっくり説明しています。

では仮説として成り立たせるには何が必要なのかというと、検証可能性(Testability)ともっともらしさ(Plausibility、つまりMake-senseすること)ということでした。授業では先生のリードのもと、どのような条件を満たすと充分に検証可能性やもっともらしさがあると判断され、仮説として検証できるのか議論しました。

検証可能性があるかチェックするには、①観測・測定が可能か、②反証可能か(異なる結果が出るような設計になっているか)、③定量化できるか、④仮説からある程度結果の予測を立てることができているか、かな、と皆でまとめました。

そして、もっともらしさをチェックするには、①(仮説は正しいという前提で検証が進むので)仮説の中に含まれている想定は適切且つ明確か、②その想定は仮説を過不足なく説明できているか、③検証によって得られるエビデンスから仮説の成否を判断できそうか、④そして仮説の成否を判断するプロセスは演繹的なロジックに基づいているのか、更には納得感のある正論を導いているかが主要条件だね、となりました。

重要なポイントはおさえられた、と先生からコメントしてもらって一安心。

強い仮説とは?

仮説をより強く(Robust)するポイントは何か、という議論もしました。

①実際に起きている現象を様々な角度からうまく説明ができているか。これは言わずもがなですかね。

②バラバラな観察結果・証拠の関連性も説明がすることができるか。これは例えば大陸移動説を説明するとして、隣り合っていたであろう大陸の海岸線の凹凸があう、同じ時代と思われる地層の成分が同じ、同じ化石が見つかる、プレートの動きによってその後離れていったことが説明できるなど、異なるエビデンスを組み合わせて仮説の説得力を増す方法です。

③あとはこれまででは説明がつかなかったり、想定がされていなかった発見があり且つその発見から得られた証拠が①や②にあてはまったような場合。これは現時点では結論づけられなくても否定する必要はなくて、いつか点と点がつながるかも知れない、だからこそ科学者たちはコミュニテイを作り互いの研究を評価しあっているのだ、という文脈ではありました。

実証実験をするには、いかにロジックも創造力も両方必要とされているのだと言うことが身に沁みてわかりました。

次のnoteでは仮説検証について書きます。

【追加のメモ】

カール・ポパーのいう反証可能性(Falsifiability)と信頼性の高い科学理論について

あとは授業中のチャットで少し盛り上がったカール・ポパーについてです。

科学理論が客観的であることを保証するには、その仮説が実験や観察によって反証される余地がなければならない。世の中にあるのは非科学的か、反証可能性のある不完全な科学しかない。つまり真実の追求をすることが科学の目的ではない。科学理論は反証される可能性がある仮説の集積で、反証に対して強く反論できるものが信頼性が高い科学理論である。

という説です、ざっくりですが。大学時代に読んだはずなんだけど。。。あまりに記憶から消えていて唖然としました苦笑

引用元

BBC Radio 4. (2015, August 5). Karl Popper’s Falsification. [Video]. Youtube.



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