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実は奥深い「赤字」の世界

1.はじめに

前回の記事で、「赤字になったら即撤退でもいいぐらい」「赤字が続いたら会社は倒産する」と書きました。これ自体は間違いではないんですが、「絶対」ではなかったりします。

え、どゆこと?って話ですよね。

でも、世の中には「黒字倒産」という言葉があったりしますし、日本の多くの企業は赤字なんですが、倒産しないでやっているところも多いです。平成28年度分の国税庁の調査では、単体の企業(法人)のうちのなんと63.5%が赤字決算です。(国税庁の調査

赤字=倒産が絶対なら、いよいよやばいわけですが、そういう声はあまり聞きませんよね。なぜでしょう?

また、「夢追い人」の立場で考えれば、赤字がだめだと、新しい道具とかを買いづらくなる気もしますよね。

というわけで、今回は前回の「利益が大事」という記事の補足として、「赤字」について掘り下げてみたいと思います。

2.赤字はあくまで会計上の話

一般に赤字というと、「収入が支出を下回っていること」ですよね。

「あ~、今月使いすぎて、バイト代無くなっちゃったよ~」という大学生が分かりやすいです(笑)

実は赤字のポイントは上の発言の「今月」にあります。バイト代は普通、月に1回支給されますよね。なので、もらった側は1か月の支出を計画することになります。

そして、1か月の間でお金が余れば黒字、不足すれば赤字ということになるわけです。上の大学生はこれでいくと赤字です。

企業でもこれと同じで、黒字か赤字かは「会計期間」で判断します。企業の場合は1年です。つまり、1年の間に入ってきた収入と支出のバランスがどうだったのかをみているのです。

しかし! これによる赤字を絶対悪とみなすと、困ったことが起こります。

例えば、設備投資としてPCを買う計画が持ち上がったとしましょう。これは大きな出費ですので、この年は赤字になる可能性が高くなります。そうすると、もしこの会社の社長が「赤字を避けなきゃ!」と考えすぎる人だった場合、PCを買うという選択肢がとれなくなってしまいます。でもPCを新しく買わないと、生産性がどんどん落ちて売上もダウン。

はわわわわ(; ・`д・´) どうしたらええんじゃあ!

と、なるわけです。

そんな社長に知っておいて欲しいのが「キャッシュフロー」です。

3.赤字かどうかより大事なキャッシュ!

キャッシュフローというのは現金の流れのことです。取引をするごとに会社からは現金が出たり、入ったりしますよね。これをキャッシュフローと言うのです。

そして、企業の活動のみならず、私たち個人の活動にも影響を与えているのは、この出入りしているキャッシュ(現金)になります。

というのも、手元にお金がないとお買い物(仕入れなど)ができないからです。もし、会社が「すみません、現金がなくてお金払えません」となったら……これこそいよいよ倒産です。

そう!実は会社が倒産するか否かを決めるのは、このキャッシュがあるかどうかなのです。

私たちの生活でも「家賃、光熱費」などをもし払えなくなったら、生活ができなくなりますよね。もちろん、夢を叶える活動も同様です。

先ほど例に出したお金にルーズな大学生も、今月のバイト代は無くなっても、貯金(現金)があるから最低限の支払いはできる=首が回るからのんきなのです(のんきと決めつける 笑)

すなわち、支払うべき分のキャッシュがある場合は、赤字でもOKと言えるわけです。このため、キャッシュが大幅に減る大きな買い物でも、買ったあとで首が回るなら、当面は大丈夫という判断になります。

これが倒産しない赤字企業が多い理由です。会計上は赤字でも、キャッシュが支払いに困らない分あれば倒産にはならないわけです。
(実際はさらに税制の影響もあります)

4.恐怖!黒字倒産

このキャッシュの問題は、黒字なのに倒産する「黒字倒産」も招きます。

例えば、100万円を仕入れて、150万売上が出たとします。売上のほうが上回っていますから、黒字ですね。わーい、めでだし、めでたし……とはならないのです!

一般に会社同士のやり取りでは、実際のお金の支払いを後で行うことが多いです。難しく言うと「買掛金」(あとで払う)、「売掛金」(あとでもらう)です。

要するに契約が成立しても、実際にお金に入ってくるのにはタイムラグがあるわけです。

そして、時系列的に「買掛金」のほうを先に払うことが多いので、売上げたお金をまだもらっていない状態で支払いを行う必要があります。このとき、もしキャッシュが不足していると、取引先にお金が払えないということになります。これは倒産ですよね。

これが「黒字倒産」です。

日常的なやり取りではクレジットカードが分かりやすいです。例えば、3月にクレジットカード(翌月26日払い)で何かを買い、それを4月に売ったとします(売上当月末払い)。すると、4月26日に仕入れ分を払う必要がありますが、売上が入ってくるのは4月末です。このため、支払い時点では売り上げたお金を使えません。もし、このときに貯金などが足りないとアウト!ということになります。

このようなことから、目先の黒字・赤字よりも、キャッシュを十分に確保しておくということのほうが重要だと言えるのです。

5.まとめ

今回のまとめです!

・企業活動の維持を決めるのはキャッシュ
・キャッシュがあれば一定の赤字は許容範囲
・設備投資(道具の購入など)もOK
・キャッシュはタイムラグも見越して考えておくべし

なお、黒字か赤字かでいえば、当然黒字のほうがいいです(笑)

あくまで一時的に大丈夫という話で、ずっと赤字だと貯金切り崩しになるので、好ましくありません。特に個人の場合はキャッシュがそんなに潤沢にあるわけじゃありませんから、黒字を目指したほうがいいです。

また、設備投資も「投資」ですので、後々利益として返ってくる必要があります。この辺には少し気を付けたほうがいいかもしれませんね!

でも、「赤字は絶対ダメ」とは限らないので、必要ならキャッシュなどを踏まえて、計画をたててみると良いと思います。

ぜひ、参考にしてください!

それでは!

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