見出し画像

半分こ

『名犬ジョリィ』を知っているだろうか?

私が子どもの頃の懐かしいアニメだ。

ジョリィは大きくてやさしい
セバスチャンのともだち

詳しい内容は忘れてしまったが、よく見ていて、アニメの歌も一緒に歌っていた。

娘がお腹にいる時、散歩の際にはなぜかジョリィの歌をよく歌った。
ぽんぽこのお腹をスリスリさすりながら。

ビスケットいちまい あったら あったら
ジョリィとボクとで 半分こ
ちょっぴりかなしく なったら なったら
なみだもふたりで 半分こ

🎵

「ジョリィ」のところは娘の仮名かめいを。
「ボクと」のところは「ふたり」に替えて。

ちなみに娘の仮名はパパの名前から取って「トシコちゃん」
生まれてからは全然違う名前になるのだが。

思い返すと、妊婦時代の散歩はほぼ私とお腹の娘だけ。
パパと手を繋いで散歩なんて、そういやなかったなぁ。少し憧れていたけれど。

お腹がかなり大きくなってからは里帰りをしていたから、それこそ一人、いや二人で散歩した。

つかれてさびしく なったら なったら
にもつもふたりで 半分こ
なにかいいこと あしたはおこる
ワクワクするのも 半分こ
やさしいはるかぜ ふいたら ふいたら 希望も 半分こ

🎶

線路沿いの細道を歩く時も、病院の検診に向かう時も、この歌を口ずさんだ。全部は覚えてなかったから、同じところを繰り返し繰り返し歌った。

果たして娘は無事に生まれ、いや私はちょっと死にかけたが、まぁ無事に生まれてすくすく大きくなり、何かあると娘は必ず私に半分くれた。自分の物を分けてくれた。
「お母さんハイ」と。

聞こえてたのかなぁ。
ちゃんと歌、聞いてたのかなぁ。

いつも不思議に思った。

たぶんほんとに聞こえてたんじゃないかなぁ。

とても嬉しいことだったのだが、ひとつ大きな失敗をした。

「ふたりで半分こ」

……

パパを入れるの忘れてた。

だからパパは娘から半分こされていなかった。

ごめんパパ。


明日、娘が一年ぶりに帰省する。
急激に親離れが進み、もう嬉しいことや楽しいこと、しんどいことも言ってくれなくなった。
さっぱりわからなくなった。

いつでも半分こするよ?
今度はパパも入れて3つに分けよう。

寒い時には毛布を。
春風が吹いたら、希望もわけあう家族でいたい。

それが願い。

もう一度家族を作り直したい。


参照↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?