期限付きモラトリアム、ニュートラムディストピア編

ついに電車にのった。
めざすは大阪港。フェリーさんふらわあが大阪港を出るのは19時頃。

しかしネットで情報収集するところによると、17時頃には、一番下の等級フロアに自分の好きな寝床を取っておいた方がよいとのことで、
自分にしちゃ珍しく、さっさと家をでることに成功した。

JRから地下鉄を乗り継ぎ、最終的に、普段なじみのない大阪メトロの中央線、通称「ニュートラム」の「コスモタウン行き」に乗った。

モノレールのように地上から離された橋げたのような道の上に線路が敷かれている。
地下から地上へ出たり、何度かトンネルを潜り抜けたりしていううちに、人の気配のない寂れた未来都市みたいな場所に出た。

私はこの線と、周りの環境が超苦手だ。
孤独な夢の中みたいにとにかく人がいなくて、
大きな都市計画のもと、一括して全てを設計して作ったんだろうな、という感じの街並みと、建築物群がやたらと恐怖心を掻き立ててくる。

人の営み起点で、自然発生的にできていった都市に対して、
誰かが上の立場から都市計画起点でつくった都市。

人間味がない都市は、ほんとにディストピア感満載で、目も鼻も口も無い顔面みたい。

何もかもが無機質な素材で出来たこのディストピアへの苦手な気持ちにさらに拍車をかけてくるのは、「単発バイト」の思い出である。

大学に入学してから夏頃まで、私は特定の長期バイトに就かず、単発バイトを転々としていた。

お弁当を淡々と詰めていく作業から、
居酒屋で一日ヘルプをする、
A〇Bの握手会スタッフ、
料亭のキッチン、
着ぐるみを着て四時間踊り倒す、とか

いろいろやってみた上で長期バイトを選ぶ際の判断材料を探していた。

その中で何度か「工場バイト」にも何度か行った。

これがとにかくつらい。
8時間という時間がなかなか経たない。
ベルトコンベアにチョコレートをひたすら並べる作業、
歯磨き粉のパッケージを組み立てる作業、
重たい段ボールを運び続ける「ピッキング作業(単発バイト情報でよく見る単語、ここテストに出るからな)」

そして、そこで当たり前のように働いている人たちを見る。
その人たちを卑下したい気持ちは全くない。
全くないけど、こんな仕事を選ばざるを得ない状況があるのか、とよく想像しては暗い気持ちになった。

私は果たして、自分の適性にあった仕事を見つけることができるんだろうか。
もしかしたら、毎日こうしてニュートラムに乗って出勤をしている未来がまっていたりするんだろうか。
未来、未来、未来、、、

妙にカラフルな電車内は、乗客は私と、私の前方にふくよかな女の人がひとり。

がらんとした車内でそんなことを考えながら南港に到着した。

乗客はまだまだ到着しておらず、フェリーの席予約では余裕で好きな場所をとることに成功した。

その後は、大きなダイソーで駄菓子を買って、港で夕方の潮風をスンスン嗅ぎながら、2時間ほどフェリーを待った。

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