「いいことだね。人生変わるときっていうのは、必ず何かとの出会いから始まるからね。」
「あっ、あの、ソーシャルメディアを使って南青山出版の若手社員の方にもご挨拶行ってきました！とてもやさしくて素敵な方で、説明会の時も私に声をかけてくれたんです。」
「ほ～お、近づきの法則をちゃんと理解して行動に移せているみたいだね。
じゃあ次のステップに踏み込んでいこうか。いよいよ本番は差し迫ってきているしね。」
「待ってました！実は、ちょっとこの先どうすればいいのかなって思ってたところなんです。目標も結構達成できてきたので。」
「そっか、ちょうどいいアドバイスができそうで何よりだね。自分の設定した目標っていうのはどのくらい達成できているのかを随時確認しないといけないんだ。
そして、達成した度合いによってゴール（最終的に到達したい目標）と照らし合わせると、新しくやらないといけないこと（追加資源）が出てくるはずだよね。」
「達成の度合いっていうのは、どういうことですか？」
「じゃあ分かりやすく恋愛の話でたとえてみようか。
『彼氏を作る』っていうゴールを決めて、今まで、コンタクトにして、可愛い服にして、合コンに参加して、２人でデートして、彼氏を作るという目標設定をしたとするよね？それで２人でデートするっていう目標も達成したとしよう。
さて、この子は彼氏を作れるだろうか？」
「ん～作れないと思います。２人でデートしても、それから何すればいいか分からないし」
「そうそう。そこが問題なんだ。
そもそも目標の立て方があんまり良くなかったと言えばそれでおしまいなんだけど、そんなことは現実によくある話。
だって、実際に何が起こるかなんて誰も予想できないんだからね。
さて夢咲さんここで問題。この子は『彼氏を作る』ために、何をしないといけないんだろう？」
「たとえば、彼が何に興味あるのか調べて勉強するとかですか～？」
「そうだね、それも正解だね。目標を達成するために行動してると、やらないといけないことが変わったり増えたりすることがある。それを書き出しリストアップして、今後を見据えて優先順位をしっかり考えよう。
優先順序で上位にランクされたものを新しい目標にしていくんだ。君が情報をかき集めている間に、君が置かれている状況もかなり変わっているはず。
だから、君が前に立てた目標も更新する必要があるんだ。」
「ということは、目標って書き換えてもいいんですか？」
「目的というか、夢のような最終目標は書き換えてはいけない。」
それは壮大な目標だからね。小さな目標というか、追加資源を取得するという小さな目標は状況に応じて、変化することもあり得る。
もちろんコロコロ目標を変えることはよくないけど。目標を書きかえることは、自分が以前に決めたことを覆すことにはならないよ。
戦略は変えないけど戦術は変えるってよく言うことだけど、知ってるかな？もっといい手段があれば、目標に近づくためにそれをするということも大切だよ。
人生は選択と決断の連続さ。その選択と決断を迫られるときというのは、たいていの場合、まわりの状況が変わっているんだ。人生は、空の旅と言ってもいいね。
なぜ空の旅にたとえたのかというと、飛行機が目的地に到着するのに、予定していた航路とずれた航路を進む確率は９９％であることが、人生と似ているからなんだ。
「その場その場で選択がたくさんあるからね」
「そんなにズレるもんなんですか～。飛行機こわっ！」
「航路がズレるだけだからね。」
いくら万全の準備をして航路を計算しても離陸して大空に出た瞬間に、その時その時で状況は大きく変わってくる。常にまわりの状況を判断して軌道修正が必要なんだ。
こんな具合に、人生についても同じことが言える。いくら万全の準備を期していても、変わっていく状況をしっかり把握してそのたびに自分の進む道を修正する必要があるんだ。
「目標は変えずに手段を変えるってことだね」
「あっ、そういうことか～。私は今から、話し方について勉強した方がいいかもしれないです。」
華苗は、アルバイト先での人間関係が良くないのは、アルバイト先での同僚に自分が考えていることを明確に言い表すことができないからだと感じていた。チーフである以上、指示は明確でないといけないのだ。
立場が変わると、必要になるスキルも変わってくるものだ。
そして、ソーシャルメディアで各出版社の方々といろいろお話をしていく中で論理的に話を進めるのがいかに難しいかを痛感したのだ。