夢をかなえるスマートフォン㉛7時限目の1〜効果測定をする

華苗は自分の資源を核に目標設定をすることで、映画を見てなりたい自分を具体的に想像したり、本を月に10冊のペースで読んだり、5キロのダイエットに成功してきた。このことで、華苗は目標実現のコツをつかんできた。
華苗は、自己投資をすることでお金に少し悩み始めていた。もとより、本屋のアルバイトは好きな仕事だったし、時給1000円でも不満は一切なかったのだが、目標設定をするときにどうしてもお金が必要になると気づいていた。だから、時給を1100円アップするという目標を立てたのだ。時給が1900円になるわけではないが、チーフになることができればチーフ給が貰えるので、時給換算で時給が1000円くらいアップするのだ。
本の落下事故は、その後の対応でケガした人も店の方もことなきを得、華苗の給料に影響することはなかったが、慎重さを欠けてはいけないと教訓になった。
 趣味の目標、読書の目標、ここまでトントン拍子で目標を次々に達成してきた華苗だったが、ここに来て小休止を食らってしまっていた。追加資源として、投資の目標においては、スキマ時間を作って本を整理する仕事を先回りすること。人間関係の目標については、本で話し方の勉強をすること。就活の目標においては、出版関係者にコンタクトを取ること。
 毎日スマートフォンの待ち受けで、何の目標を達成しないといけないのかも見ていたし、毎朝スマートフォン目覚ましで、自分を奮い立たせるような言葉を聞いて起きていたので、与志宮の言われたとおりにビジュアライゼーションとアフォアメーションは実践していた。
 いろいろなことがあったが、スマートフォンを手にしてからもう8か月が経とうとしている。大学に植えられた木々の葉はすべて落ち、寒さがツンと肌を刺激するようなそんな季節だ。華苗は、スマートフォン目覚ましの宿題も終わって、次に何をしないといけないのか、与志宮にちょうど聞きたいと思っていたところだったので、早速与志宮に会うことにした。
「やあ、久しぶり。どうだい、調子は?」
「お久しぶりです。ん~実は最近ちょっとよくないです」
「おっ、というと?目覚ましの宿題はやってるよね?」
「あっ、はい。スマートフォンの目覚ましはちゃんとやってます。」
華苗はカバンからスマートフォンを取り出して、スマートフォンの目覚ましを少し鳴らして与志宮に聞かせた。スマートフォンから華苗の声で「おはよう、起きなさ~い。私は南青山出版に入社します。そのために、朝からしっかり行動しましょう。まずは」というのが流れてきた。
「いいね、この調子だよ。それで?」
「え~っと」
華苗は、ビジュアライゼーションやアフォアメーションを徹底しているのにもかかわらず、貯金の目標、人間関係の目標、就職の目標が上手く達成する方向に向かっていないことを与志宮に説明した。
「なるほどね~。」
ビジュアライゼーションやアフォアメーションを徹底してもしっかり行動に移さないとダメだよ。強く願っただけでは、夢をかなえることはできないさ。確かにビジュアライゼーションやアフォアメーションを徹底することで、チャンスを引き寄せやすくすることはできる。これを『引き寄せの法則』っていうんだ。ロンダ・バーンのベストセラー『ザ・シークレット』でも紹介されている法則でね、この法則を使うとどんな人でも成功するというものだ。
「知ってた?」
「『引き寄せの法則』どんな人でもですか?」
「そう。」
実は、聖書にもこの法則を示すものが存在することは有名でね。新約聖書のマルコによる福音書11章24節で、『だからあなた方に言うのです、祈って求めるものは何でもすでに受けたと信じなさい、そうすればそのようになります。』ここからとっていると言われている。この法則は完璧だと言われているけど、はたして引き寄せの法則だけで十分かな?
「わたしはこれだけでいいとは思わない。」
「不十分ってことですよね?話の流れ的に」
「じゃあ、たとえば、好きな人がいたとするよね。その人と付き合いたいと思ったとする。『その人と付き合いたい!』って強く願ったら、その人と付き合えると思うかい?」

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