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質問力は一生モノの武器。正しく問い、自分を磨く

ライター・Web編集者としてフリーランスになって3年目になる。企業での編集者歴を入れたら、コンテンツ制作に関わる仕事を始めてからは6年だ。

が、しかし、いつまで経っても取材に自信がもてない。人の話を聞くのが好きだったはずなのに、「記事のために質問する」という一騎打ちのような時間がいつまで経っても苦手だ。

だけどわたしはこの仕事を一生続けたいのでいつか克服しなければいけない。毎回手を変え品を変えやりつつも、なにか自分だけの上達方法があるはずだ。あるはずなんだ、わたしがすべき努力が。

こうやって年に数回重い腰を上げて、特別苦手なことに向き合うべきタイミングが来たときに即・必ずやることがある。Amazonだ。わたしはAmazonの虫眼鏡に「質問力」と打ち込み、ひたすら本のレビューを見比べることにした。

そしてこれだという一冊に出会った。

脳科学の第一人者として知られる茂木健一郎さんの書く「質問力」。元々茂木さんの文章が好きだったし、口コミが抜群に良いので早速購入した。

脳科学✕質問力という掛け合わせにもかなり惹かれた。なるほどこの取材のプレッシャーも、もしかしたら茂木先生が脳科学的に解消してくれるかもしれない。などとまるで読書ではなく茂木先生に相談に行くような気分で本を購入した。

正しく問うこと=成長への近道

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はじめにを読んでいる途中「あ」と声が出た。最初に示してくれた見解がさっそく、わたしの中にある「質問」の価値を向上させてくれたのだ。

質問とは、自分の置かれた現状や自分自身を大きく変える力です。「今と同じでいい」と現状維持を望み、「お金がない」「いい人に巡り会えない」と、ただ不満を言う人から生まれるものではありません。

なるほど、自分を大きく変える力=質問。これは目からウロコ。確かにそうだ。わたしの周りを見渡しても、どんどん力をつけている人は自分や他人に対する問いかけが的確だ。

たしかにたしかに、正しく問うこと=早く成長する近道なのかもしれない。

わたしは冒頭から早速わくわくしたのだけれど、読み進めるごとに「あれっ?」と思った。わたしが求めていた「取材上手になる方法」の本ではないかもしれなかったからである。質問する力というよりは、質問を通して己を磨く力をつける本だった。

ああまたちゃんと説明を読まずに本を買ってしまった、とちょっと反省したものの、とはいえこの本は面白いし必要だと直感が言っている。これはセレンディピティ(素敵な偶然)だと思って本を楽しもうではないか。

結局わたしは、本が面白いのであっさりと自己研磨モードにシフトチェンジした。

(本当は「取材上達」に向き合いたくなかったのかもしれない...)

「質問」をベースに味付けしたバラエティ豊かな料理がずらりと並ぶ、みたいな良書

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この本を一言でいうと"「質問」をベースに味付けした栄養満点で種類豊富な料理がずらりと並んでいる”、みたいな良書だ。

「質問力」と題した本はこれまで多く読んできたけれど、ベクトルが自分に向いている本、つまり問い方を学び、答えを自分のものにしていく、という内容ははじめてだった。わたしが知る「質問」カテゴリ史上、はじめての方向性で面白かった。

本では「自分が成長するための質問方法」が多く盛り込まれており、具体的な聞き方や質問例を学ぶことができるのだけど、他人に向けた質問だけではないことがまた面白かった。自分に上手に「問う」ことで得られる自己成長まで見通しているのだ。

たとえばこういうのとか。

他人から「いつまでにやってください」と指定されたとしても、自分で「それより前のこの日に終わらせよう」と締切をつくり直す。そうすれば、たとえ人からの強制であったとしても、自分の動機に変換することができます。
それで空いた時間は「この時間はなにに使おう?」「次はなにをしよう?」と質問して、自分でやりたいことをやる時間にできます。
将来なにをしたらいいか分からないときにする質問は「今まで自分はなにに感動してきたのか」とか。とにかく問うことを通して自分を見つめていく。

どうでしょう。なんだか質問というもの自体がすごく自分にとって役に立つものなのだと思えてくる。自分に質問することが楽しくなってくるし、希望が湧く。

あと、他人と関わる上でのちょっとしたストレスも、自己への質問が解消してくれたりする。

周りの人とうまくやれなかったり、周りに困った人がいたりしたら、この質問をしてみるのがとても有効です。
「この人はどうしてこのようにふるまっているのだろうか?」
(中略)多くの人が、困った人に対して間違ってしまうのは、「なぜ私はこの人に共感できないのだろうか?」と思ってしまうことにあります。

なるほど「正しく問う力」は、夫婦仲や友達付き合い、社内政治なんかにも大いに役立ちそうなスキルなんだな。ふむふむ。

こんな風に割と網羅的に質問の効力を知れつつ、とても読みやすいので気づいたらあっという間に読み終えていた。

まぁそんな感じで「さすが茂木先生〜」と、とても楽しく読み進め、読み終えた。そして最後に付箋を貼った箇所をもう一度再読(これはわたしの儀式みたいなもの)したとき、はたと、ふたつの文章の効力に気づいた。

頭のいい人ほど「絶対の正解はない」ことを知っていて、質問をたくさんしていきます。それは「こうしなさい」という答えをもらうためではなくて、自分で問題を明確にして、行動を作り出すためです。

他人からなにかの答えをもらったとしても「え?なにそれ?どういうこと?」と自分で考えていくしかないのは、なにについても本当のことです。

あれっ?もしかして取材上手になるための答えも、書いてくれている????!!

完全に選書ミスだと思い、読み方を変えて読んでいたわたしは最後まで気づかなかったのだが、そう、この本には、当初の目的に対するアンサーもしっかり用意されていたのだ。

取材を上達させるための「絶対の正解」はない。という答えが。

現に、「取材がうまくなる方法」的な本やブログ記事は何度も読んでいるけれど、その中から実践して違ったものもあったし、しっくりくるものもあった。だけどまだ足りないから下手なのだ。

「こうしなさいを教えてもらうためではなくて、自分で問題を明確にして行動していく」

「自分で考えていくしかない」

わたしに今時点で必要な答えはこの考え方だったのではないか。「取材が上手になれない」の問題を分解し、組み立てるために必要な部品を把握し、何をどこからどれくらい集めていくかをまず考えることから始めたらいいのではないか。おそらくわたしが思う「取材上手」になるには、わたしだけの細々とした部品が必要なのだ。

目的から逸れた書を買ってしまったと思っていたけど、しっかりと本質的な答えが書かれてあった。あっぱれ。ありがとう茂木先生。がんばります。何事も。本を読んで2ヶ月が経過したけれど、何度も付箋部分を読み返して実践しています。実践させる本は間違いなく良書。



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