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第四回詩歌トライアスロン推薦作品「の の祝祭」
の。桃がひとつ のののの桃四つ。よもつひらさかこえられませぬ
呼んでも誰もいない
がらんどう
がらんどう
すこしまえまでここでは
いくさが あったのか
それとも祝祭か
祝祭とは
血
血をもとめるものか
血はいのちひとつの月がめぐるたび流れるものも未生のいのち
いのち 桃 (ひとひに千の葬列と一千五百の産屋) 桃桃
がらんどうがこないように
祈る
祝祭
桃の
祝祭
詩型融合作品「HANA」
「サクラサク」
「サクラチル」
そんな電報文がむかしあったと。
こと受験に関していえば
わたしの桜は咲きっぱなしでした。
いつも合格。合格。合格。
年年歳歳花相似
歳歳年年人不同
(劉希夷)
そんなことにすら気づかないままオトナになった。
いや、オトナにならなかった。
その先に。
ひらかない窓や扉のあるとてもきれいな函に入院をする窓際のベッドちいさく見える海わたしの海とき
第九回三文賞佳作「春眠」
川べりの道をあるいてゐるゆめを幾たびも幾たびも見てをり
水面に浮かぶさくらの花びらが眩しくてそれは眩しくていつか君がくれた傷口のやうだよ。
名前をつけるのは忘れなさいね。川に。傷口に。君に。ああ、雨が降つて川が濁る。溢れる。
花の雨聴くや半分だけ生きて
雨があがると当然のやうに大きな虹がかかるのは此処がゆめのなかだからなのかな。
目を醒ますと白い天井しか見えないのを知
第十回三文賞 審査員特別賞「勾玉マトリョーシカ」
わたくしの中の少女をともしつつロシア紅茶をのむ春の夕
わたくしの内側に少女がおり
少女の内側に幼い女童がおり
女童の内側でねむるみどり子
の内側でほのとひかるは勾玉
(勾玉は胎児の姿を象ったともいわれる)
その勾玉を首からさげて
踊る踊りは祈りと同義だ
(ほらごらん月が昇る)
月は満ちる月は欠ける
潮は満ちてそして引く
古代から繰り返される
生と死を織りなす踊り