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人づき合いとクレヨン

クレヨンは他の色と完全には混じらない。
だから隣の色と重なり合う時には
色の順番や塗る力の加減をしないといけない。

幼稚園でお絵描きする幼児になったように
真剣に色を塗っていたら
まるで私が色と色の間を取り持っているみたいで
面白くなってきた。


白いA4コピー用紙の4分の1サイズに
思いつくまま落書きのように色塗りをしている。
今朝手にしたのは、百円ショップで買ってきた
ミッフィーのクレヨン。
一日ひと塗り。近ごろの朝の日課。

数日前に無性に色塗りがしたくなり
娘が小学校で使っていた12色の色鉛筆があるのを思い出して
ピングーの缶ケースを引き出しから取り出した。

そういえばシェアハウスの物置にもあったなと
36色も入っているのを見つけて、拝借した。
これで48色もある。
と言っても使いこなせやしないけど、
それでも気分が盛り上がることは結構大事だ。

一瞬頭をかすめたイメージをザザザザーっと塗っていく、思いつきの色塗り。
色鉛筆は、色の重なりが面白い。
思いがけない色合いが紙の上に浮かび上がると
一瞬、無邪気な子どもが新しい発見をした時の心に戻る。
これがとても気分がいい。

ところがだ。
今朝それをクレヨンに持ち替えてみたら、
まるで思うようにいかない。
色が混じらないのだ。

”誰もいうことを聞いてくれない、、、”
そんな心境になった。
「黄色です。」
「青色です。」
全くみんな、きっぱりしている。
満を辞して登場した感があるのは赤色だ。
誰も寄せ付けない女王様みたい。

でも、色の重なりを諦めたくなかった。
先に塗る色、後で塗る色。
強く塗る色、うっすら塗る色。
重なっていないところは単色で思い切り塗る。
どうなるのかなと、試し試し塗っていった。


これって人みたいだ。
単色の場所に水色をぐりぐり塗りながら思った。

自分の色はそのまましっかり持っていていい。
でも誰かと重なる時、つまり出会ったときは
相手の色合いも尊重しつつ
自分の色の出し方とか相手との混ざり具合とか、
感じながら付き合っていく。

もしも『ドラえもん』のジャイアンみたいに
個性が強い色と出会っても
重ねる部分だけを調整すればよくて、
自分の個性の色はそのままでいい。
ジャイアンに合わせて変えなくたっていい。


自分の個性はそのままに
人とどう付き合うかを加減する。
相手にも相手の加減があって、
重なり合った部分がだんだん仕上がっていく。
その時も、自分の個性はそのままでいい。


夏の終わりの自由研究。
『クレヨンから人付き合いの極意を学ぶ』
完成。

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