渡辺由美子(NPO法人キッズドア理事長)

日本の子どもの貧困や教育格差に取り組むNPO法人キッズドア理事長。 https://k…

渡辺由美子(NPO法人キッズドア理事長)

日本の子どもの貧困や教育格差に取り組むNPO法人キッズドア理事長。 https://kidsdoor.net/ 著書「子どもの貧困 未来へつなぐためにできること」(水曜社) 内閣府 子供の貧困対策に関する有識者会議構成員 一般社団法人全国子どもの貧困・教育支援団体協議会副代表理事

マガジン

  • 奮闘する高校生の居場所を作るため!55歳フルマラソ初挑戦日記

    東京マラソン2020チャリティの寄付先団体に選ばれたNPO法人キッズドアの理事長渡辺由美子のフルマラソン初挑戦の日記です。チャリティの目的は、日本国内で見過ごされている低所得家庭の高校生の支援のためです。 過酷な環境で奮闘する高校生が安心して利用できる無料の居場所型学習会を作るために、55歳でマラソンを走ります。 ぜひ、応援してください。

最近の記事

第94回メーデーに寄せてー「貧困バッシング」をみんなで止めよう

なぜ日本だけ賃金が上がらないのか? 私は、子どもの貧困問題に取り組んでおりますが、子どもの貧困は、親の貧困です。私たちが支援する子どもの親の多くは働いています。働いていないから貧困なのではなく、働いているのに貧困なのです。 子どもの貧困を解決するためには、親の賃金が上がればいいので、なんとか、賃金が上がる方法はないかとずっと考えています。 日本以外の国は、みんな賃金が上がっているのに、なんで日本だけ賃金が上がらないのか? 不思議ですよね?   そこで、思い至ったのが、諸悪

    • 今の日本の少子化は、緊急オペが必要! 噴き出る血を少しでも早く止めよう

      「出産したら貸与型奨学金の返済免除」という少子化対策は、わたしが常々言ってきたもので、先日の第2回こども政策の強化に関する​関係府省会議​でも提案させていただいた。 貸与型奨学金の返済免除に関して、政府が検討を始めてくれて非常に嬉しく思っているのだか、方々から反対意見が出てきている。それも、どちらかといえば子どもや教育に熱心な方たちから、反対の声が上がっている。 少しでも議論を進めるために、私見を述べさせていただこうと思う。 絆創膏でも、なんでも貼って血を止めないと死ぬ

      • 【少子化対策】出産したら奨学金の返済免除について考える

        出産したら貸与型奨学金の返済免除 これは、私が少子化対策でぜひ実現して欲しいと提案している政策です。 実は10年ぐらい前から少子化対策としてやって欲しいと言い続けているので、今回ようやく実現されそうで、とても嬉しく思っています。 若い人が奨学金の返済が重荷で子どもを産みたくても産めない、という状況なので、子どもを産んでくれたら「奨学金は返さなくていいよ。子育て頑張って」と社会で応援してあげる、とても良い政策ではないかと思っているので、これに対して、反対する人がいるというの

        • 特例貸付3割が返済不能でいいんです!

          今朝1月10日の日経新聞朝刊1面に「特例貸付3割が返済不能」と出ていて、あたかも返済できない人や、そんな人に貸付をした社会福祉協議会や、そもそもの制度設計にミスがあったような書き振りに、非常に驚きました。 このままでは返済ができない方が、肩身の狭い想いをなさる、酷いバッシングにあってしまう可能性があるので、そもそも、このコロナ禍で行われた緊急小口貸付や生活支援貸付についての説明します。 本来は給付で渡すべきお金 2020年3月のコロナの緊急事態以降、非正規雇用の方などは

        第94回メーデーに寄せてー「貧困バッシング」をみんなで止めよう

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        • 奮闘する高校生の居場所を作るため!55歳フルマラソ初挑戦日記
          3本

        記事

          今必要な少子化対策を考えてみました Vol.1

          2022年の出生数は80万人を割ることは確実で、77万人台になるとの予想がされています。コロナの影響などもあるのでしょうが、想定よりも少子化がかなり早く進んでいる中、2023年の年頭記者会見で、岸田総理が「異次元の少子化対策」に言及されました。 総理が述べられた少子化対策の3つの基本的な方向性は以下の通り 児童手当など経済的支援の強化 学童保育や病児保育など「子育てサービスの強化」 育児休業制度をはじめとする「働き方改革の推進など」 どれも必要ですが、これだけではま

          今必要な少子化対策を考えてみました Vol.1

          今必要な少子化対策を考えてみました Vol.2

          若年社会人、大学、高校生、子育て世代など層別の課題へのきめ細かい対策を 少子化対策として、すぐ思い浮かぶのは「出産の支援」です。今までに行われて来たものも、不妊治療の保険適用や、出産一時金の増額、出産子育て応援給付金、待機児童対策や男性の育休取得などがあります。 しかし、残念ながらこのような少子化対策は、現在のところほとんど効果が出ていません。 日本では、子育てや教育に親のお金がかかりすぎます。また子育て全体への社会の支援ムードが薄い。病児保育は重要ですが、子どもの体調が悪

          今必要な少子化対策を考えてみました Vol.2

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          少子高齢化のトップランナー日本 / 40年以上少子化が続く日本で今必要な少子化対策を考えてみました

          少子高齢化のトップランナー日本 / 40年以上少子化が続く日本で今必要な少子化対策を考えてみました

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          みんな気がついて!少子化対策の罠Vol3

          前回では、家族関係社会支出を示しましたが、今回は教育費に関して。 少子化の大きな原因は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」なので、教育費の負担を下げることは重要です。 日本は資源が乏しい国だから、国として教育に力を入れている と信じ込んでいる人も多いですが、実は日本は税金を使って教育に力を入れている国ではありません。むしろ、税金は他の先進国に比べても非常に少なくて、「公財政教育支出対GDP」は常にビリ争いをしています。 2017年の結果でも35ヵ国中34位。 すごく

          みんな気がついて!少子化対策の罠Vol3

          みんな気がついて!少子化対策の罠 (vol.2)

          少子化対策に関して、違和感があるので、少しづつ調べてます。 例えば、内閣府のHPにはこんなことが載っています。 Q6 少子化対策に成功している海外の事例はありますか。? で、そこにこんな図があります。 これだけ見ると、日本は、少子化対策に成功している国に比べて、現金給付の割合が高く、現物給付の割合が低いから、現物給付を増やしたらいいのではないか? というように読み取れます。 しかし、私たちが現場で感じるのは、圧倒的にお金がない、現金給付がない。特に子どもが高校生にな

          みんな気がついて!少子化対策の罠 (vol.2)

          みんな気がついて!少子化対策の罠(Vol.1)

          最近、メディアが少子化や出生数減少を報じています。 みんな気がついて! 労働投入も減り、経済の成長力が下がるのが心配なら、出産や0から2歳の支援も大事ですが、困窮家庭の高校生で、お金がなくて大学進学を諦める高校生や、同じくお金がなくて中退する大学生、専門学校生を支援した方が、だいぶ投資回収時期が早いのです。 日本は、親が必死になってなんとか18歳まで育てたのに、そこに支援が薄いから、どうしてもこぼれ落ちる高校生や若者がいて、生産性の高い仕事につけない、非常に勿体無い事態

          みんな気がついて!少子化対策の罠(Vol.1)

          共同親権をめぐる言論封殺をまずは止めよう

          私のTwitter が突如聖地になりました。 きっかけは、共同親権を推進されている方の推論に対して、それはちょっとおかしいのではないかと、自分の意見を述べたことです。 その後、次々と批判ツィートが送られてきました。 最初は、「私の意図は違うんですよ」と反論なども出していたのですが、途中から、これは「攻撃されている」と分かったので、ほぼ放置しています。 共同親権についてのまともな議論が封じられています。 私自身は、共同親権について賛否を表明してはいませんでした。ただ、非常

          共同親権をめぐる言論封殺をまずは止めよう

          孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム 第1回シンポジウムで考えたこと

           大変光栄なことに、2022年6月21日に、孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム 第1回シンポジウムのパネリストとして呼んでいただきました。せっかく出させていただくのなら、少しでもお役に立てればと、「孤独・孤立」について考えてみました。ここで改めて、考えを整理したいと思います。 孤立・孤独とは何でしょう?  孤独と孤立は、似ているようでだいぶ違うと思います。 内閣官房孤独・孤立対策担当室の調査にもあるように、孤独というのは、その人の心情であり極めて主観的な「感情」であり

          孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム 第1回シンポジウムで考えたこと

          今こそ「少子化対策庁」を!少子化対策に絶対効く10の方法

           日本の少子化が止まらない。最近は、イーロン・マスクに「当たり前のことを言うようだけど、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」 と言われてしまうぐらい、危機的な状況である。  しかし、事態は深刻なのに、どうも日本政府が本気で取り組んでいる様子が伝わってこない。2023年秋に「子ども家庭庁」ができるらしい。子どもの権利を守る子ども家庭庁も大事であるが、その前に少子化対策にもっと力を入れた方が良いのではないか?
  今こそ「少子化対策庁」

          今こそ「少子化対策庁」を!少子化対策に絶対効く10の方法

          「奨学ナプキン」という広告キャンペーンのおかしさについて

          ⒈ 「生理の貧困」はナプキンの問題ではなく「女性の貧困」の問題 「生理の貧困」という言葉が、そもそも嫌いです。 生理の貧困 どういうことでしょう? 生理用ナプキンを買えないほど深刻な家庭が増えているのは事実。しかし、それは、「経済的貧困」なのであって、生理が貧困なわけではない。 貧困問題をどうするか?という正面からの議論を避けて、「生理」という、ちょっとざわつく言葉をくっつけてることで、さも国や行政が取り組んでいるようなふりをしているのが、あまり好きではありません。 本

          「奨学ナプキン」という広告キャンペーンのおかしさについて

          【Youtube 特別生配信】 子どもの貧困対策法成立8周年 院内集会 コロナ禍 子ども・若者のいのちと生活・学びを守ろう!

          https://youtu.be/Z6NgKF5GvPg コロナの影響が長引き毎日の食事にも事欠くような困窮子育て世帯が日に日に増えています。 6月19日、子どもの貧困対策法が成立して満8年となります。 子ども・若者のいのちと生活・学びを守るための緊急施策とともに恒久的な支援制度の拡充に向けて、超党派の「子どもの貧困対策推進議員連盟」と共催で院内集会を開催します。 院内集会の様子をフルオープンでyoutube配信を行います。 子どもの貧困対策推進議員連盟に所属される与党野

          【Youtube 特別生配信】 子どもの貧困対策法成立8周年 院内集会 コロナ禍 子ども・若者のいのちと生活・学びを守ろう!

          困窮世帯への30万円給付の新たな支援策は、ほとんどの困窮世帯は使えません

          緊急事態宣言の延長が決まり、ますます追い詰められる人が増えることは明白です。困窮世帯からの悲鳴が上がる中、5月28日に、政府より困窮世帯への新たな支援策として、困窮世帯への3ヶ月で最大30万円の現金給付の支援策が表明されました。 困窮世帯へ最大30万円の給付金 政府が新たな支援策 ようやく、政府も困窮者への支援を積極的に行なってくれるのか?と思いましたが、中身を見ていくと、この給付を受ける条件が大変厳しく、これでは、今困っている多くの人は利用できません。 対象となる世帯

          困窮世帯への30万円給付の新たな支援策は、ほとんどの困窮世帯は使えません