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マナブノオト

感情が爆発して、声をあげて泣いた。
大好きな選手がゴールを決めた。

一瞬だったはずなのに、
軌道を描いたボールは何秒もかけて落ちていったように見えた。
吸い込まれるまでの時間がとてつもなく長くて

ただただ、入って欲しいと願った。

君は九月の朝に吹き荒れた通り雨
叩きつけられて

虹を見たんだ そこで世界は変わった

僕らの音-Mr.Children

この大好きな歌をぼんやりと思い出した。まさに学くんだと思った。
まさに9月のはじめ、家で試合をみていたら、窓からバババと音がなり
いきなりの大雨が窓に打ち付けていた。そしてそれがまもなく過ぎ去ったあと、画面越しに生まれたゴールだった。

ボールの軌道は、虹を描いたように、丸く線を描いていた。
自分にとっては本当に特別な瞬間だった。
もちろんそれは自分だけでなく、きっと沢山の人が。

ネットを揺らした瞬間、彼は控えめにぴょんっと飛んだ。
全身で喜びを表現したのはアシストをした瞬間で、自身のゴールではない。そんなところも、なんとも奥ゆかしくて、いじらしい。
打って変わって、大聖くんのゴールの直後の両手のガッツポーズと笑顔が本当にキラキラとしていて…二人の良い関係性も見て取れた。
学くんと大聖くんのゴール後のお辞儀のパフォーマンスの中に、今までの共に過ごしてきた時間が流れている気がした。

滑って転んでも、シュートを外しても、笑顔だった理由は、
日々の悔しい気持ちや、もがいた時間全部ひっくるめて、それでもなお
「サッカーを楽しむ」気持ちが表れたものだったのかもしれない。
楽しむということは、意識することだけではきっとできなくて、やるべきことを全部やった、だからこそあとは楽しむだけ、という境地にいったからこそ、できるものなんじゃないかと思う。

前に学くんがスポーツドクターとの対談時に、質問をなげたことがあって、
「本番で緊張せずにパフォーマンスを発揮する方法は?」
と聞いたら、
「緊張がなくなるまで事前に練習して努力する」
という答えがかえってきた。これが学くんのすべてだと思った。
だから、きっと彼には日々迷いや不安があったとしても練習で払拭し、プレー中にはきっとそれがないのだ。だから、きっと誰よりもサッカーを楽しめているんじゃないか、と思った。

リーグ再開後、しばらくベンチスタートが続き、そして三笘くんの怪我からの復帰と共に学くんはベンチに入れなくなった。
三笘くんは着実に実績を積み重ねるし、文句なしのパフォーマンスを続けている。チャンスが遠のく日々が続いていた。

だけど練習中の動画の中ではいつでも一番明るく、場を盛り上げていた。
もちろんそういう光景を切り取っているので、それがすべてではないと思うが、何度も見たそのシーンは、きっと誰もが印象的だったと思う。

選手一人一人にきっとストーリーがある。
ベンチ外の選手も、そうでない選手にも。
学くんの持つストーリーもその一つ。
1サポーターとして、1ファンとして見れるのはその中のほんのちょっとの切り取られた断面だから、その裏に見えない部分については計り知れない。
わからないからこそ、それを想像して、想いを重ねて、応援することもサッカーの1つの楽しみ方なんじゃないかなと思う。

去年また新しいプレースタイルをみせてくれていた学くんだけど、今年はよりハイブリッドされた、学くんならではのプレーだなと思う。
体当たりの守備やボール奪取は苦手なタイプかもしれないが、その分チェイシングで相手のミスを誘発させたり、パスコースを切るようなポジション取り、インターセプトを狙う動きなど、去年とはまた1つも2つも進化したプレーを見ることができる。攻撃だけではなく、守備でもまた、学くんらしい特徴をだしているところが、またさらに魅力を高めている気がする。
サッカーに専門的な目を全く持っていない素人の私でも、学くんの動きがチャンスに、そしてリスク回避につながっていることが分かる程に。

そして彼のオン・オフザピッチで垣間見れるひとつひとつの姿、視線、言葉、表情で沢山のサポーターを魅了してゆく。
彼のゴールで沢山の人が笑顔になって、嬉しくなる。
彼の見えないストーリーは、その日々の積み重ねを経て素晴らしいパフォーマンスとして昇華し、
プレーとして私達に見せてくれる姿は
やっぱり最高に輝いているのだ。

これからもまた、苦しい時間はくるかもしれない。
いいときばかりではないし、辛い時間もあるだろう。
だけどそんな時間を超えて、私達の前でプレーしてくれる姿は、
雨上がりに葉がぐんぐんとのびてゆくように、新しく進化しているはずだ。

どこか瑞々しくて、だけど羽があるように軽やかに、そして優しく、強く、何にも形容できないような、そんな魅力がある齋藤学選手が、私はとっても大好きだ。そして沢山のサポーターが、彼の奏でるプレーで元気をもらっていると思う。

30歳、積み重ねたキャリアがありつつも、まだ、イントロなのかもしれない。もっとサビを聞きたい、そんなふうに思わせる音楽みたいに、もっともっとマナブノオトが聞きたいと思った。

リズムやハーモニーがふっとずれてしまっても
ゆっくり音を奏でよう
まだ まだ まだ イントロも終わってない

僕らの音-Mr.Children

とってもいい曲なので、ご存知無い方は是非聞いてみてください。




とかかっこよくまとめようとしたけど、

ただただ齋藤学選手が、好きなんだーーーー!!

理由なんてないんだああ!!!