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ダイヤはピッチで輝きを放つ

2020年12月13日。私はベスト電器スタジアムにいた。
前日はフロンターレのサガン鳥栖戦アウェイを応援するために佐賀へ遠征したが、1-1の悔しい引き分けであった。
せっかく九州まで来たのだから、当時アビスパ福岡の一員として戦っている遠野選手の姿を応援したいと思い、前日の引き分けから気持ちを切り替えて空港からほど近い博多の森へと向かった。

2020年の新体制発表会の衝撃的な一発芸「あばら骨のサンバ」から約1年が経とうとしていた。アビスパ福岡の選手として、チームのヒーローとして活躍していた遠野選手。どんな選手なんだろうと加入が決まってから、ほとんどの試合をDAZNで見て、常に気にしていた。そして、その姿を自分の目で絶対に見たいと思っていた。

スタメンで登場した遠野選手の存在感は抜群。まさにエースストライカーの雰囲気をまとっていた。

ピッチをかけめぐる姿、パワーのあるシュート。どんどんと魅了されていった。そしてチームを勝利へ導く、目のさめるようなゴール、この状況ということもあり控えめではあるものの、興奮抑えきれずに湧き上がるスタンド。その中心に、今と同じくひたいにヘアバンドをした遠野選手がいた。

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結果はアビスパ福岡の勝利。
メガホンでサポーターに向かって「勝ちましたよー!」と嬉しそうに叫び、博多手一本をリード。
同じように、来年川崎フロンターレで歓声の中にいる姿を想像した。青黒をまとった姿で、チームの中心となる姿は間違いなく等々力で見れる、きっとそうなるだろう未来を思って、ワクワクがとまらなかった。

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そして2021年。フロンターレへの復帰という嬉しい発表と、再度衝撃的な一発芸、「ケイレ~ン」からの幕開けだった。

私は2020年度まで齋藤学選手を熱く応援していたので、次の19番を遠野選手が引き継ぐ事を知り、とても嬉しかった。
そして今年も変わらず、19番のユニフォームを背負うことを決めた。MANABUからTONOへ。19番は今も昔も、私にとって本当に特別な背番号である。

まだフロンターレサポーターとなってわずか3年程の私は、正直サッカーは全然詳しくない。ただフロンターレを応援する中で少しずつサッカーというものを、そしてフロンターレのサッカー、選手の特徴の理解を深めてきた。そんな中で、遠野選手の体の使い方、前への意識、ゴールへの姿勢が、他の選手とはまた違う特別な輝きを放っていることにも気づいた。

FUJI XEROX SUPER CUPではいきなり1アシストの鮮烈なデビュー。フロンターレの中でもらしさを存分に出し、チームの戦力としてすぐに馴染んでいることがわかった。

私が遠野選手ゴールの中で一番好きなゴールは、第22節アウェイ名古屋グランパス戦。雨の中、途中出場のちすぐに左足から一閃、ズドンと決めきった4点目の美しいゴールだ。フロンターレには素晴らしい選手が沢山いるが、その中で遠野選手らしくパワフルで、前へ前へと推進力のある最高のゴール。決まった瞬間の嬉しさは一生忘れないだろう。

そこからいくつもの試合でのゴールやアシスト、チャンスメイク。どれも非常にワクワクさせてくれた。遠野選手がピッチにいるときは、「なにかやってくれる!」という期待で胸がいっぱいになる。どの選手のゴールも最高に嬉しいが、私にとっては遠野選手のゴールはさらに格別だ。

オフザピッチの明るく無邪気な姿。沢山の選手に愛されているだろう、明るいキャラクター。ピッチの中でのキリっとした表情と真剣な眼差し。引き分けてしまったり、ゴールを決められなかった時の悔しそうな表情。普段は陽気なキャラクターに見えるが、ヒーローインタビューではとても謙虚に、すこしよそゆきの声になるのがまたなんとも奥ゆかしく素敵である。

今は麻生グラウンドの練習見学には行けないので、直接自分の目でみることはできないが、鬼木監督の発言や色々な記事から見て取れる、日々実直に努力し続ける姿勢が、出場のチャンスを作り出し、そしてゴールを生み出し、チームを救っているのだろうと思う。

同年代の選手が日本代表に選ばれたり、海外挑戦するケースが増えてきている昨今。遠野選手には遠野選手ならではの強みが間違いなくあると思うし、この先のチャンスは無限大だと私は思っている。
ゴールへの意識の高さ、献身的に走る姿、そして前への推進力、チームを明るくするキャラクター、笑顔、その全てが彼の特徴としてぐんぐんと輝き、チームの力になっていくだろう。そして日本代表として選ばれる日が必ず来ると信じている。

最初フロンターレに加入が決まった時は、”ダイヤの原石”なんて言われていたが、驚異的なスピードで階段を駆け上がり、すでに輝くダイヤモンドのような選手となっていると思う。
だけどきっとこれからも、もっと日々の練習・試合で磨かれ、輝き、唯一無二の選手になっていゆくのだろう。そして沢山のサポーター、観客の視線を集める特別な選手になってゆくだろう。


その姿を、同じ19番を背負いながら、応援していきたいと強く思う。これからも、苦しいときやスランプが訪れるかもしれない。
だけど、そんな日々を乗り越えて青黒纏ってピッチに立つ瞬間は、いつまでも眩しいほどに輝くダイヤでいてほしいと願うのだ。

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