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エッセイ#065 - こぼしたっ!

普段は開けていないドアを、換気のために開けておいたら、それを忘れて暗闇の中でぶつかってしまった。短い廊下なのでいつも明かりをつけずに歩いていて、ドアに気付かず顔の真ん中を打った。めちゃくちゃ痛かった。こういう、歩いていたら角に足の小指をぶつけただとか、もたれた壁に出っ張った構造があって頭を強打したとか、どこにも怒りをぶつけられない自分の不注意って本当に辛い。いや、もし誰かが悪くても怒っちゃいけないけど。

夜中にキッチンで焼きそばを作って、自分の部屋で食べようと思って戻っている時に、片手にお茶の入ったコップ、片手に焼きそばの皿を持っていて、部屋の前の引き戸を開けようとしたら滑りが悪くて手間取って、焼きそばを盛った皿を床に落として皿を割ってしまった時の絶望とか。あれは本当に辛い。焼きそばの油で掃除も大変だったし、割れた皿の破片と混じってもう食べられないし、もう一度焼きそばを作ろうという気にもなれないけど腹は減ってるし。
畳やこたつに飲み物をこぼすのも辛い。お茶ぐらいならシミにならない程度に拭けばまだいい。コーラとか牛乳とかをこぼした時の面倒くささったらない。そういう事が起こるとしばらく気をつけるけど、結局また気を抜いて元通りになる。そして忘れた頃に同じことをする。

大学時代に、友だちが1限に30分ほど遅れてきた事があった。それ自体は特に変わった事でもないけど、1限が終わってからその友だちが朝ごはんを食べていた時にカーペットにしょうゆをぶちまけてしまって遅れたと言うので、心底同情した。だって、私みたいにギリギリに起きて最低限の準備だけして大学に行くヤツより、朝ごはんを食べて1限に出ようっていう彼のほうがずっと偉い。それなのにどうして彼にそんな不幸が起こるんだよと思って。神様っていないんだなと思った。
授業があるからとりあえずの片付けしかしてないから、家に帰って掃除するって言ってたのがめちゃくちゃお疲れって思った。

今ふと思ったのだけど、全く自分のせいじゃないそういうハプニングが毎日のように起きる「子育て」や「介護」って、めちゃくちゃ大変だしメンタル削られるだろうなぁ……。

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