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エーゼルランド島の怪物【怪物ホラー短編集】

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海外ホラー風短編集。怪物ホラーや怪奇幻想文学を目指したホラー作品集です。 収録作:「エーゼルランド島の怪物」「フラッフィー」「緑の沼」「死体処理」「ある幻覚剤について」「ウォータ… もっと読む
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記事一覧

マッドサイエンティスト【怪物ホラー短編】

「フレデリックさん、あなたのその個性は素晴らしいものですわ」 「ありがとう。誇らしいです…

ウォーターベイビー【怪物ホラー短編】

 素晴らしい家だった。湖畔にほど近い家は二階建てで、白い壁紙は染みひとつ無い。前の住人の…

ベレ族のハーブ【怪物ホラー短編】

 祖父が残したインディアンの羽冠を店に飾ると、客には好評だった。  かつてこの国の先住民…

悪魔の召喚【怪物ホラー短編】

 いくらオカルト好きっていったって限度がある。  特にソフィア・カニングムには毎回辟易さ…

死体処理【ホラー短編】

 それは知事選の始まる少し前のことだった。  あんな事さえなければと何度も思った。  いま…

緑の沼④【ホラー短編・全4話】

 それからブランドンは、仕事に取りかかる前に苔掃除をすることにした。だがそれは一筋縄では…

緑の沼③【ホラー短編・全4話】

 パラパラとページをめくり、軽く読めそうな部分に目を通す。いくらかそんなことを繰り返すと、この事故死した人物の――おそらく男の――ことがなんとなく察せられた。男は精神を病み、療養のためにここへ越してきたのだ。文字は角張ったような神経質そうな字で、これを書いた人間の精神性がそのまま投影されたかのようだ。年齢はブランドンより年上と見え、だいたい中年くらいを想像してしまった。うだつの上がらない、陰鬱な表情をした神経質そうな男。骨張った手がこの本に角張って妙に堅い文字を書き込んでいく

緑の沼②【ホラー短編・全4話】

 翌朝、カーテンの向こうから差し込む光で目が醒めた。時計を見ると、もう十時近くなっていた…

緑の沼①【ホラー短編・全4話】

 五月も終わりに近づき、夏のはじまりが訪れる季節に、ブランドン・ホーニングはやむにやまれ…

フラッフィー③【ホラー短編・全3話】

「くそっ、どこだ!」  俺はまず一発、撃った。床に穴が開いた。続いて弾数も考えずに、三発…

フラッフィー②【ホラー短編・全3話】

 計画はいつだって"慎重に、そして順調に"だ。それが最高にクールだ。相手を殺す時もそう。仕…

フラッフィー①【ホラー短編・全3話】

 俺たち四人はなにをするにも一緒だった。  四人でいれば無敵で、なにもかもうまくいくと。 …

エーゼルランドの怪物④【短編小説・全4話】

 それからしばらくして、とうとう祭りの日がやってきた。  山に向かうのは夕方からというこ…

エーゼルランドの怪物③【短編小説・全4話】

 翌日からは、ブランチャードは研究と偵察を兼ねて街の中を歩いてみることにした。  まさに中世の町並みを歩いているかのようだった。ただ、本物の中世と違うのは清潔感があったことだ。文明レベルが中世だといっても、大きく違う所は当然ある。加えて下水道が発達したらしく、一般家庭でもトイレなどは現代に近い作りになっているのだろう。汚物を窓から投げ捨てるような猛者はいなかった。人々の足元を見ても、ぺたんこの靴で歩いている。  商店街も活気があったし、なにより食べ物が充実していた。食べ歩きの