医療ソーシャルワーカー㉔(急がば回れ)

「早く転院調整して」「早く転院の日決めて」「日にちはまだ決まらないの」何百回と聞いてきた言葉です。
ソーシャルワーカーの退院調整の現実は主治医の意向にかなり左右されます。

本日は2パターンの転院調整について挙げていこうと思います。
①とにかく早く転院させたいパターン
1日目・・・主治医からソーシャルワーカーへ依頼→「高齢で食事もとれる見込みはほぼ無いから、看取りの方向で療養型の病院へ早く転院調整して。紹介状は書いておくし、救急外来の時に家族には話をしておいたから」
2日目・・・家族に療養先を確認するためのソーシャルワーカーがTELすると→「先生からは何も聞いてません。救急の時にバタバタとしてましたし、家族内でも話合ってもいません」
3日目・・・主治医へ先日の家族の発言を伝えると→「そんなはずないよ、もう話しはしたから早く調整して、紹介状はもう書いたから」
4日目・・・とりあえず近隣の病院へ紹介状を送り、転院打診を開始。
5日目・・・依頼先からいくつかの質問あり。家族は看取りを受け入れているのか、現在の点滴内容は、服薬は出来ているのか等様々な質問あり。
6日目・・・主治医へ質問内容を確認のTEL→「今忙しい」とTELを切られる。
7日目・・・病棟に来院した家族から再度主治医へ現状について話が聞きたいとの希望あり。
8日目・・・主治医へ家族が直接話を聞きたいとの希望があることを伝え、後日病状説明の日程が組まれることに。(主治医はかなりしぶしぶ・・・)
9~13日・・・病状説明の日まで静観
14日目・・・病状説明当日、主治医から家族へ病状説明あり、今後は老衰の形になることを伝えられ、了承。改めて療養先の確認をし候補となる病院を選定。
15日目・・・家族の意向や各種内容をしっかり記載された紹介状を家族の希望の病院へ送付。
16~20目・・・相手型からの連絡待ち。
21日目・・・受入日の連絡あり。
25日目・・・転院。
一つ目のパターンはこんな感じです。私にとっては結構あるあるなパターンです。

②ソーシャルワーカーとしてはかなり助かるパターン
1日目・・・主治医からソーシャルワーカーへ依頼→「今日入院した患者さんだけど、かなり高齢でおそらく老衰になると思う。1週間後に家族に病状説明するから同席して」
2~6日目・・・静観
7日目・・・主治医から家族へ病状説明。「入院してから1週間様子を見てきましたが、改善の見込みがなかなかありません。年齢を考えると老衰になります。ご家族がよろしければ療養型病院への転院調整を開始します」
家族の希望の療養型病院へ依頼していく方針に。
8日目・・・主治医が紹介状記載。家族の意向も確認済み。療養型病院へ転院依頼。
9~11日目・・・転院先からの連絡待ち。
12日目・・・受入日の連絡
15日目・・・転院。

病院の役割にもよりますが、私が勤務してきた病院は急性期と言われる早期治療、早期退院が主な病院の為、入院期間の短縮を重きに置いています。(詳しいことは割愛します)

上の2つのパターンは比較すると、とにかく早く転院させたい主治医より、下のパターンの主治医のほうが結果的に早く転院日が決まっています。

私の感覚ですが、早く調整させたがる主治医ほど、家族への病状説明が不足している、紹介状の内容について相手方から質問が多い傾向があり、結果的に調整に時間がかかります。

ある程度経過を見ながら、丁寧な病状説明と紹介状を記載していくれる主治医は家族の理解も良好で、相手方の調整もスムーズです。

偉そうなことを言って大変申し訳ないですが、主治医の先生方。早く退院させたいなら遠回りなようですが、病状説明と紹介状の記載に時間をかけてくださると幸いです。未熟なソーシャルワーカーより。

*題名の2文字縛りに限界を感じたので、これから自由に決めていきたいと思います・・・。


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