まどろみ荘小雑記 その四

壁に動く青空の描かれた畳敷きの部屋には 誰もいない ただただ風が 棚の色つきの空き瓶をすりぬけ壁から壁へ吹き渡っている

その下 所々ほつれた畳の間から 透けた人が顔を出した 手には、コンビニのおでんの小袋ーちくわぶと、ほたる石と、大根と玉子

するぅりと体全てぬけだしたところで、塩アイスを買い忘れたことに気付く

あぁ なんでかなぁの溜息のそば 赤い蜻蛉が壁の空へ吸い込まれていった

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