未掲載エピソード#01「令和の自給自足的な暮らしとは」
このお話は現在発売中の「都会を出て田舎で0円生活はじめました/田村余一・田村ゆに」を出版するにあたって田村ゆにが執筆したエピソードです。本には掲載されず、書いてから約1年経ってみると現在の心境は少し変化しているのですが、せっかくなので公開します。
本の方は、田村余一のポップでわかりやすいエピソード満載です!
まだ読まれていない方はぜひお手にとってご覧ください♪
未掲載エピソード#01「令和の自給自足的な暮らしとは」
自給自足の生活って、なんでも自分たちで調達して解決する力を身につけなきゃいけない気がしていた。でも実際のところはちょっと違って、もっと広い視野で自給自足を捉えている。
例えば食べる野菜がないときに、その辺に生えた草や山菜を食料にすることができる。自分では育てていないけど、知識があれば山に出かけてその恵みをいただくだけでいい。
キノコもそんなラッキーとの遭遇だ。ただ、闇雲に探せばいいわけではなく、どんな場所や木に生えやすいのか、ちょっとした知識で確率が上がり危険度は下がる。
まさかうちにも食べられるキノコが生えるなんて思いもしなくて、椎茸を育てようと何度も菌を植えつけたけど栽培して食べた数より、敷地に生えていたキクラゲ、ハタケシメジを収穫して食べた量の方が多いとは笑える。
そんな直接的に食べ物を手に入れる手段が1つ。
それから暮らしているうちに、物々交換も自給自足の手段に含まれると考えるようになった。いろんな農家さんが集まって、自分のところで栽培している野菜と、育てていない他の野菜を交換することで作っていない野菜でもお金を介さずに手に入れることができる。
実際にうちでも、色んな農家さんから野菜をいただいている。他の野菜と交換することもあれば、調味料などの加工品、廃材や古道具など食のジャンルに留まることなく相手の欲しいものがあれば交換してもらうことが多い。
農家さん側は家にあっても廃棄になるから、もらってくれるだけでありがたい。と、置いていってくれることもあるし、忙しい時期にお手伝いして、報酬をお野菜でいただくこともある。
広く捉えると、モノとスキル、スキルとスキルも自給自足手段の1つとなることに気がついた。
なんでも自分でやらなければと思っていた自給自足の暮らしも、与えることで循環が生まれ、巡り巡って欲しいものが手に入る。
与えた相手から直接もらえることもあるし、巡り巡って別のルートからギフトが届くこともある。
ただまずは自分の身を立てることが先。いらないものを押し付けたり、貰って生きよう精神とは違うのだ。
自分たちの暮らしで精一杯のうちはその感覚もわからなかったけど、自分たちから分け与えるものが増えてくると受け取るものも自然と豊かになってきた。
物々交換で想像していたのは野菜くらいだったけど、今では加工品やお肉など様々なものをいただくようになった。
人間関係が嫌になって都会から田舎へ引っ越す人が多い一方で、人との交流があるからこそより自給自足的な生活はうまくいくのかもしれない。
山奥にこもって人との交流を断ち仙人みたいに暮らすより、適度に人やコミュニティとは繋がりたい。この暮らしで改めて、人との間で育む内面の豊かさや喜びも見直した。
昔は直接会わなければ叶わなかったことが、今ではネットを通じてコミュニケーションを取れる時代。
昔ながらの暮らしの知恵をお借りすることは多々あるけど、進むべくところは進んでいて過去に戻れるわけではない。
個人的には出来ることにはなんでも挑戦して、生活の知恵を身につけたい。その一方でそんなにストイックに挑まなくたって、もっと最先端な自給自足的な生活もあるのではと考える。
究極的には「与える愛」さえあれば、自給自足的な暮らしは可能なのかもしれない。
サスティナブルな暮らしを、一緒に実現していきましょう!