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なんだか限界だったので海を観に行ってきた

唐突に終わった夏の暑さにもの悲しさを感じる頃からなぜかアイキャンフライを口ずさむことが増えた。

正確にはもっと直接的な表現だが、色々と問題があるので、アイキャンフライと呼称する(にゃーんでもいいけれど、それだと間が抜けてしまうので没にした)。

どうしてそんなに空を飛びたいのか?
思いつく限りで10も20も案件抱えていたので、心身とも限界だったのだろう。人間、属性が増え、負荷がかかるとそういう状態になる。私は特にメンタルが弱いのでそうなりやすい。
こればかりは先天的・後天的要因があってそうなってしまったので、どうしようもない。とはいえ、日々増える空への憧れがどうにも限界だったので、唐突に仕事半休をもらって海を見に行くことにした。
炎上しかかっている案件もあったが無理を言って休ませて貰った。

最寄りのJRから電車に乗って30分。鎌倉駅にいた。
全休を貰っていれば、逆方向の銚子や館山など見知らぬ街に行けたかもしれない。とはいえ、お手軽に海に行くのに鎌倉が選択肢に入るのだから良い方なのだと思う。

そのまま江ノ電に乗って由比ガ浜で降りた。
普段なら長谷まで乗って大仏を眺めてから海に行くのだけど、観光地に入る気になれなかったので、そのまま海まで一直線することにしたのだ。

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こんな状態でもカメラだけは持っていった。
何か別のことに集中すれば、空への憧れが紛れるからと思ったのだ。
ただ、モヤが出る程の薄曇りの午後は正直写真を撮るのには向いていなかった。こんな風にモノクロで誤魔化さないとろくな写真にならない程だ。

由比ガ浜の海岸に着いた私は、ひたすら写真を撮った。
サーファーや浜辺で遊ぶ人々にはあまりレンズを向けず、風景のようなよくわからない写真を撮っていた。
みな楽しそうにしていたように感じた。ただ、そんな顔は全く覚えていない。

小一時間くらいそんなのを繰り返しつつ、江ノ島方面へと移動する。
9月中旬とはいえ、国道沿いの道をただやみくもに歩くのはやや厳しい日差しだ。ただ無心に歩き続け、たまに写真を撮っては歩く。こんなよくわからない行動するのは本当に久しぶりだった。
飲み物もろくに持たず、暑さ対策をせずに歩くのは非常によろしくない。そんな状態で数キロ歩いたところで頭がフラフラし始めた。

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気が付けば稲村ヶ崎まで歩いていたらしい。
江ノ島と微妙に富士山が見えたので、写真を撮ってみた。安易にモノクロにしてみたけれど、あまり楽しい写真ではなかった。
この辺りからアイキャンフライへの羨望は切れになくなっていた。

この後は普通に藤沢に出て、行きつけの喫茶店で今日撮った写真をiPadに取り込んで眺めていた。ビックリするくらい面白くない写真ばかりだった。
写真撮りに行く目的でもなかったし、この外出自粛の影響でほとんど撮影することがなくなったので、写真筋が衰えたのだろう。

文章、写真、ぼどげもそうだけど、それ自体をやらないとどんどん衰えていく。特に文章は一年以上まともに書いていない(日記は文章に入らない)。
長編の小説なんてどんな頭して書いていたのか全くわからなくなってしまった。写真もライティングやらスナップの撮り方なんてどうやっていたのかおぼろげである。

特に仕事が忙しくなってから、テレワークでオンオフの垣根が曖昧になってその辺が怪しくなってしまった。仕事が日常を蝕んでいる。そんな気がする。今年はとにかく大変だった。コロナによる自粛と家のゴタゴタ(引越し含め)、仕事がひっくるめてやって来て、人生で一番忙しい時期を過ごしたかもしれない。

そんな状況だったから個人的な限界が来たのかもしれない。その緊急メッセージがアイキャンフライだったのだろう。

海を見に行ってから数日。空への憧れは綺麗に無くなっていた。
あんなよくわからない弾丸旅行で回復するのだな、という驚きもある。きっとあの時本当に欲しかった物は、そういう時間だったのだと思いたい。

それにしてもひっどい写真だなぁ……。

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