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バレンタインのラブラブハート

バレンタイン時期になると100均や雑貨店、スーパーの鉢物コーナーで見られる「ラブラブハート」。

僕はこの植物について告発(笑)しなければなりません。この植物の真実について、知ってて買うのは良いと思いますが、知らずに購入すると悲しいことになります。(バレンタインデーを過ぎたので営業妨害にはならないはず)

さきにまとめ

•ハートホヤは葉差しなので一生あのまま(成長しない)

•早いと1ヶ月で枯れる

•本来はつる植物で、そっちのがラブラブ

ラブラブハートのプロフィール

ラブラブハートは異名がたくさんありますが、正式名は「ホヤ・ケリー(Hoya kerrii)」または「ホヤ・カーリー」、和名はシャムサクラランです。ハートホヤの名も準正式名称といって良い通名となっています。その他、販売業者によって葉っぱ一枚だけの状態に付けられることが多い名前が「ラブラブハート」です。ずいぶんとラブラブとしたお名前ですが、園芸好きからするとなかなかえぐい商品なのです。

を見ればわかるとおり、この植物は本来つる性の多肉植物です。葉の一枚一枚が綺麗なハート型をしていることから、バレンタインの贈り物などで喜ばれます。

ラブラブハートの過酷な運命

さて、多肉植物を育てたことがある人はわかると思いますが、本来の多肉植物は挿し木しやすいものです。その中でも100均でも手に入りやすい「金のなる木、カネノナルキ」は挿し木のしやすさでは折り紙つき。葉を適当にちぎりとって地面においておくだけで勝手に芽が出ます。成長点でなくてもどこでもいいのです。

十分に育った葉であれば発芽率はほぼ100%。極端な話、葉が100枚採れれば100本の苗ができます。

しかし、ラブラブハートは状況が異なります。ラブラブハートは基本的に芽が出ません。成長もほとんどせず(葉が少し大きくなることはある)、いずれは枯れます。うーん、成長もせずいずれ枯れるラブラブハートとは……


なぜ成長しないのか

成長しない原因は、その植え方にあります。前述の通り、植物としてのホヤ・ケリーはつる植物です。一方、ラブラブハートとして売られているあのハート型は、ホヤ・ケリーの葉っぱ一枚が挿し木されて、発根だけしている状態なのです。

通常の挿し木は発根後芽が出て葉も茎も新しく出てきますが、ラブラブハートの一枚だけの鉢はそうではありません。

ラブラブハートの鉢が通常の挿し木と異なるのは、成長点(分裂組織)が意図的に切り取られている点です。

そのため、葉以外の組織が再生することなく、ただただ水を吸って光合成するだけの生ける屍となっているのです。これを「ラブラブハート」なんてちょっと引く……

この図のように、茎または茎近くの組織を挿し木のときに含めていれば成長する鉢になることもありますが、通常は”再生させないため”切り取られているので、ラブラブハートを買うときは早ければ一ヶ月で枯れることを前提としてご購入ください。

むしろ買うのであればちゃんとツルつきの鉢植えがオススメです。そちらであればどんどんハートが増え、永遠にラブラブできます(枯らさなければ)。

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