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D2C THE MODELを読んだ感想

余談だが、少し前に D2C THE MODEL を読んだ。


D2C THE MODEL は EC Force の中の人が書いているので、少々ポジショントーク感があるが、書いてあることは正しいだろう。

D2Cモデルの組織はマーケがすべて、自社でPdMやエンジニアを入れて自社開発していくことはIT企業と同じ土俵で戦うことになるのでやめろ

という話だ。

だからEC ForceというSaaSを使った方がいいよ、という話だったのでポジショントークだな、と思ってしまったところはあるが(笑)


これは紛れもない真実で、D2Cモデルのビジネスにおいて自社内にエンジニアが必ずいないと売上を作れない、というモデルのほうが少ないだろう。


いたとしても何でもできるエンジニアが一人いればいいか、開発会社に発注できる要件定義力があれば問題ない。


ECのシステムを内製化する、と聞くとECシステムの歴史は今日から考えれば枯れたものである、と思うかもしれない。
事例となるECシステムは多いが、そのすべてが企業によって違う。


商材、LP、サイト、販売、顧客、出荷、倉庫、在庫など考えればキリがないほどの領域にまで、ECは各企業によって違いがある。


このシステムを内製化するということだ。



倉庫は既存のシステムを活用することが多いだろうが、開発が入るということはスピードを遅くするということと同義である。
このスピードと価値が天秤にかかるのか?をよくよく考えたほうがいいだろう。


また、IT領域を走ってきた企業ならともかく、D2Cに集まる人材がIT企業として戦っていくにはおそらく練度が全く足りないだろう。


IT企業になるということは、ソフトウェアで価値をつくること。
そのリードタイムとスケール性にベットできるのか、デジタルとアナログの領域をどう体験として繋ぐのか?といった多くのことを、IT企業というものを土台にして考える必要がある。


D2C企業の実行スピード感と、IT企業の実行スピード感はあまりにも違う。
にも関わらず、IT企業のほうが同じ会社年数で、何十倍、何百倍もの価値になりえる事例があることが、驚きな事実ではあるが。

D2Cが近年出てきたIT企業を超えている事例はあまりにも少ない。
アパレルや飲食大手メーカーを、D2C企業と定義するのであれば話は違ってくるが、D2C企業が◯百億円、という企業は日本では片手で数えられるほどだろう。

ユニクロとメルカリではまったく企業文化が違うことは、誰でも理解できるだろう。それくらいIT企業はエンジニア特有の組織文化の理解が必要になる。

D2Cであれば「そんなことより売れる商品をリリース」することが優先だ。


SaaSの花形がPdMとエンジニアなように、D2Cではマーケティングが花形だ。
IT企業ですらエンジニアの採用競争が激しい中、D2C企業がエンジニアを困らずに採用できるとは到底思えない。


D2C THE MODEL は想像以上に正しいことが書いてあったのだ。


自分の能力がプロダクトを改善し、世界を変えていく。
そんな世界を望むエンジニアは、やはりソフトウェア企業が最適だろう。


PdMも同じだ。
ソフトウェアが世界を変えると、そう信じたものたちはソフトウェアへと向かう。


私もソフトウェアによって人生が変わった者のひとりだ。
ソフトウェア開発で生き残っていくのはハードモードだ。
もうやり尽くされている。


しかし、今もこうして人々は、デジタルに触れる時間が増え続けている。


世界の企業を、見渡してほしい。
どれもデジタルな企業ばかりだ。

そんな世界が、私は好きなのかもしれない。

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