閉店大セールマッチングのその後

「週末の出勤、けっこうあるんですか?」
「月に2回くらいかな。
ひとり担当なので、わりと自由に調整できます」

今日は出勤の日曜日。
午前中、焚き火が好きなJUNさんからLINEをもらったので、仕事だと答えた。
見えるわけではなし、隠すこともできたのだけれども、それには及ばないと思ったから。
ちなみに、彼にはすでに、父とふたり暮らしであることは伝えてある。

50代の独身、子育ても終わり、収入もそれなりにあるし、若いころと違ってがむしゃらに働くこともなくなり、自由な時間が増えるお年ごろだろう。
せっかく恋人を持つなら、時間を気にせず会える人を選びたいはずだ。
マッチングアプリ、条件で選んでなんぼ。
これまで何人の殿方が、時間的な制約を言い訳にして、まりかを振ったことだろう。

たとえ文字だけのやりとりでも、回を重ねるごとに愛着も湧くし、終わりがやってきたときの脱力感も大きくなる。
それなら、早めにケリをつけてもらった方が、私自身のダメージが小さくなる。

「日曜出勤、もし気になるようでしたら、返信不要です」

またまりかは、よけいなひとことを送った。
だって、殿方から断られるより、自分から身を引いた方がダメージは小さいから。
さくらまりか50歳、バツ2のただの小太りなオバさん。
とくに器量がよいわけでもなし、何か秀でたことがあるわけでもない。
そこにきて、土日休みではないし、両親に伯父夫婦の世話、ネコたちもいるし、わんこまでいる。
さらには、躁うつ病という破壊力抜群の隠し球まである。
ただの事故物件である。しかも、かなり条件の悪い。

ここで終わっちゃったらそれはそれ。
もしかしたら、別の殿方との出会いが待っているのかもしれないし、別の理由で忙しくなって男がいなくてよかった、と思うことが近い将来、あるのかもしれない。
既読のつかないLINEを気にしながら、お風呂に入った。

お風呂上がり、LINEの着信通知がある。

「大丈夫ですよ😊」

本当かな。
黄色いクルマのアオイさんは、いったんはそう言ったけれども、結局はお顔合わせをドタキャンしたぞ。

それなりに乗り気だと思っていたクロネコさんも、そうだった。

「よかった😊
ありがとうございます」

そう返信した2行に、30分以上経っても既読はつかない。
朝になっても既読になることはないのかもしれない。
このまま永遠に読まれることはないのかもしれない。
読まれたところで、返事はないのかもしれない。

彼はまだ、アプリを続けているはず。
ほかにやりとりをしている人がいても不思議ではないし、何人も並べて比べて選ぶ権利が彼にはある。

こういうやきもきがイヤだから、マッチングアプリを退会したんだけどな。
閉店第セール中の掘り出し物マッチング、美しい華を咲かせ終わってからもくすぶり続ける手持ち花火のようだ。

*2023年7月30日のダイエット
・自転車通勤(電動アシスト付):60分
・ラジオ体操:第1、第2を2回ずつ
・ウォーキング:40分
・スクワット:30回
フェイスラインを整えるコロコロローラーを買ってみた。
カラダが痩せないなら、せめて小顔に見せたい。
さくらまりか50歳、いくつになっても乙女である。

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