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ネットフリックスと殺し:10月7日、パレスチナ人女性がイスラエル人家族の家を占拠するまで

The Washington Free Beacon 2023年12月15日の記事の翻訳です。記者:Andrew Tobin

イスラエル、エイラット - 2児の母である38歳のナタリ・ヨハナンは、イスラエルのガザ地区との国境に近いキブツ、ニル・オズにある自宅のドアに鍵をかけたことがなかった。鍵さえなかった。

10月7日、ガザに住むの(パレスチナ人の)女性がヨハナンの鍵のかかっていない玄関から入ってきて、何時間もくつろぎ、食事をしたり、歌を歌ったり、ネットフリックスを見たりしていた。時には、外で行われている大虐殺の合間の休憩に立ち寄った武装したテロリスト達に飲み物を振る舞った。

ヨハナンは、家族と一緒にその家のセーフルームに隠れていたため、その家に来た客を見る機会はなかった。しかし、彼女はその女性が自分と同じ若い母親であることを想像し、どうしてそんなに残酷な事が出来たのかと不思議に思う。ハマスによるガザからの奇襲攻撃の多くの生存者と同様、ヨハナンもパレスチナ人との共存が可能だとはもはや考えていない。

「私の家に来て、私の子供達の写真を目にし、それでも私の子供達を怖がらせて盗みに来た女性の事を考えると、母親としてとてもつらいです」とヨハナンは、彼女の家族がキブツの大部分の人々と共に移転した紅海のリゾート地のホテルで、『ワシントン・フリー・ビーコン』紙に語った。「庶民、子供や女性があんな事に参加するなんて思ってもみませんでした。人々の善意、特にガザの人々に対する私の信頼が崩れました。」

小学校の英語教師で、生涯ニル・オズの住民であるヨハナンは、「いつも平和を願っていた」と言い、パレスチナ人が自分達の国家を手に入れることを願っていた。彼女は、普通のガザ住民は、20年間ほとんどガザを統治してきたテロリスト集団ハマスの犠牲者だと信じていた。

「私達はとても平和を愛するコミュニティーです。私達はとても平和を愛し、平和を望んでいるんです。」と彼女は言い、キブツのメンバーの何人かは、定期的にパレスチナの子供達に救命医療を受けさせるために、2マイルも離れていないガザの国境からイスラエルの病院まで送り届けていたと語った。「私は、ハマスがガザを誘拐したと本気で信じていました。」

ヨハナンの家に入ったガザに住むパレスチナ人の女性が最初にしたことのひとつは、セーフルームの電気を消すことだった。そのため、イスラエル軍がようやく避難させるために到着するまでの12時間、ヨハナンと彼女の夫、そして6歳と8歳の2人の子供達は、うだるような暑さの中に閉じ込められた。

「子供達は水を欲しがっていました」とヨハナンは振り返った。

その間、その女性は「ネットフリックスをつけてアラビア語に切り替えていた」とヨハナンは言う。

「彼女はテレビを見ていた。冷蔵庫を開けて食べ物を温めた。彼女はコーラを飲み、(テロリストの仲間に)こう話しかけた。コーヒー飲む?彼らは私の家で5時間ほど、ソファに座ってくつろいでいました。」

テロリストは時折、セーフルームのドアを撃ったり叩いたりした。その女性は、ヨハナンの宝石類、化粧道具、下着、靴、サングラス、パスポート、そして子供達の服やおもちゃを持ち去った。

「もしかしたら、彼女は私に似ている若い母親なのかもしれない、とあの時の事をよく考えます。」「紛争とは無縁だと思っていた普通の人達が、略奪や窃盗の機会を狙ってやって来た事を知るのは、とても辛いことでした。」

ニル・オズの十数名のメンバーによると、10月7日、ガザに住むパレスチナ人の女性や10歳にも満たない子供達が、ハマスのテロリストの後を追ってキブツに入り、略奪したり、武装したテロリストを助けたり、明らかに楽しんでいた。

キブツ出身のツアーガイドで平和活動家でもある57歳のイリット・ラハブさんは、『フリー・ビーコン』紙にこう語った。「基本的に、それはある種のコミュニティーへの侵略でした。」 「だから、私にとって、これがハマスの行為であるとは言えません。いいえ、私にとって、これはパレスチナ人の行為でした。(ガザの)コミュニティー全体が私達のキブツに来て、私達の物を奪い、盗み、人を殺し、人々を誘拐したのです。」

ヨハナンの父親は、10月7日以降にテロリストに殺害されたニル・オズ出身の少なくとも46人のうちの一人だった。彼はセーフルームのドアを閉めようとして撃たれた。ヨハナンの生徒や友人の多くも殺害された。イスラエル南部全域で約1,200人が殺害され、そのほとんどが民間人だった。

その日捕らえられた約240人の人質のうち70人以上がニル・オズの出身者だった。人質のうち30人は、ハマス殲滅のためにイスラエルが続けている戦争中に解放された。

「私達は復讐したいという感覚を持っています。それは恐ろしい、恐ろしい感情です。」とヨハナンは言った。「私は息子に、ガザで家が爆撃されるビデオを見せている事に気づきました。イスラエルがまだ強い事を見せたかったんです。軍隊が強い事、誰かが私達を守ってくれている事を見せたかったんです。息子はもう、そうは思っていないから 。」

ヨハナンによれば、彼女の息子は次のテロ攻撃に備えているのだと言う。ホテルの部屋のドアをノックされるとパニックになる。ホテルのダイニングルームで従業員達がアラビア語を話しているのを聞くと、走り出す。毎晩、彼はヨハナンにドアと窓に鍵をかけたかどうか尋ねる。

「(10月7日に)私達の家が無防備だった事に、息子はとても腹を立てています」とヨハナンは言った。「私も怖くないとは言えません。ホテルの部屋からは海とヨルダンの素晴らしい景色が見える。ここは安全なのだろうか?」

ニル・オズ生存者の共通の意見は、キブツに戻りたいが、それはガザからの脅威が対処されてからであるということだ。そしてそれが何を意味するのか正確には誰も知らない。

「ハマスにはもう存在して欲しくない。ガザの普通の人達、善良な人達に統治してもらいたい。私の国が話し合える人が欲しい。でも、子供達のために信じたい。「子供達には、私と同じ世界に生きて欲しくない」。
(ビデオ撮影:オレル・レヴィヴォ、ビデオ編集:ダニエル・ビンステッド)

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