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人は皆、誰かの欲望を模倣する。

2023年にもっとも心を動かされた本の1つです。

著者であるルークバーシスは、40代のシリアルアントプレナーで現在はエンジェル投資家として、数々のスタートアップに寄り添っています。若くして、自らスタートアップを立ち上げ、成功者として当時一斉を風靡したザッポスへの売却話が浮上します。

輝かしい未来が、確定と目された中、予期せぬ形で状況が一変してしまい、一瞬にして、その全てが消え去ります。

しかし、興味深いことに、読者の予想に反して、彼の心は、全く別の反応でした。

解放された気持ちになったと言うのです。

「本当は、そんなものを望んでいなかった」

はじめから、成功者になることを望んでいなかったのです。
そこから、彼は旅をして、沢山の本を読みそれでも答えのない日々を送ります。

そして、たどり着いたのはピーターテイルを通じて知ることとなるルネジラールの欲望論です。

著者は、この模倣の欲望理論を通じて、読者を自分を探る旅に誘います。

果たして、本当に求めているものは何か。
世の中に賞賛されるものは、本当に自分が欲しいものなのか。

このプロセスは、「解放」と近いものを感じました。

誰かの人生を模倣して生きてはいないか。
とりわけ昨今のSNSにおいて自己承認欲求は多くの人の意思決定に図らずも影響を与えています。

社会が求められているものと、自分が求めているものや自分の実態がそもそも異なる時、人は壁に当たります。

欲望を知るには、まず自分を理解すること。構造として自分が置かれていた状況を理解すること。そして、自らの幸せを追求することを、誰もが負い目に感じることは、あってはなりません。

見えざる自己承認欲求を満たすために、誰かに作られた姿を模倣して、もがくのではなく、背伸びすることなく、そのままの自分を受け入れること。
私たちの欲望の多くは模倣的なものであることを前提とすること。

本当に心躍る瞬間は何か、どういう時にズレを感じて辛くなるか、自分を観察することが、欲望に気づかせてくれるのです。

写真は、知床五湖に訪れた時のものです🐻
この本は、昨年北海道の知床に一人旅に来ている最中に、夢中になって読みました。

また読み返してみたいと思います。

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