"履歴書"と"職務経歴書"、別々にする必要性があるのか?

企業によっては、「履歴書と職務経歴書をそれぞれ提出ください」という応募条件を書いている。その企業に、何らかの”採用オペレーション上の事情”があるのだろうと推測するが、個人的には、「内容が一部かぶっているから職務経歴書だけでいいんじゃない?」と思っている。

JIS規格の履歴書の項目は、名前、年齢、連絡先、学歴、職歴、免許・資格、志望動機、本人希望欄。一方、職務経歴書は決まったフォーマットがないが、会社名、在籍期間(入社年月~退社年月)、業務内容は、最低限必要。つまり、

会社名と、入退社の日付は、重複している

履歴書の職歴の部分は、これまでの勤めた会社が時系列になっていて、何回転職したとか、どこの会社に何年勤めたが、確かにまとまっていたわかりやすい。それは「どこの会社にどれだけ所属していたか」を基準に書類審査するだけならば、極端な話、履歴書だけ提出すればいい。だが、近年は、有名な会社に在籍していたという信用だけで転職は成功しない。企業名や所属期間とともに、「その会社でどんな業務をしてきたのか」「何が出来るのか」を見極めるのが書類審査。だとすれば、名前、住所などの個人情報は、職務経歴書のトップに付け加えればいいし、志望動機や自己PRは、履歴書のような枠や字数制限がないので、思いの丈をあれこれたっぷりかける。

それと、近年、候補者とのやり取りはメールやチャット機能のアプリがメイン。手書きの履歴書にメルアドが書いてあっても、1文字でも転記を間違えば、候補者と永遠にコミュニケーションが出来ない。「数字の1?アルファベットの大文字のI(アイ)?小文字のl(エル)?」と、判別不能なものもたまに見かける。フリースタイルのワードやエクセル、PDFでも、メルアドのリンクをクリックすれば、間違いがないし早い。履歴書と職務経歴書を別々にする理由はなくなる。そもそも、手書きの履歴書の方が丁寧な印象を与えると思っている人もいるが、採用業務をする立場からすると、そこまで気にかけてない。見た目より、中身、つまり持っている経験や知識、スキルが大事だし、下手すると「パソコン、苦手?」とあらぬ疑問が湧く。

「写真はやっぱりないとね」。そういう声もちらほらする。だが、ワードやエクセルで”履歴書風”に作ったものに、写真を添付する枠は丁寧に作られていても、そこに自分の写真を貼っていない人が実に多い。近年は、見かけで判断されたくないと、あえて顔出しないで採用する応募者、企業もある。個人的には、それもありだと思うが、問題は、顔出ししたくないのであれば、写真添付枠は最初からなくせばいいと思う。わざわざ写真欄があるのに、貼っていない人は、「必要なことを自己判断でスキップしちゃう人?」といううがった見方をしてしまう。写真を貼る/貼らないは、どちらでもいいが、

写真枠があるなら貼る。写真を貼りたくないから枠は削除。

その方が明瞭で潔い。

私が子供の頃は、既婚/未婚、本籍地を書く欄があったが、今はない。近いうち、年齢や性別を書く欄もなくなるだろう。そうなると、履歴書の存在意義も、この数年で様変わりするだろう。


「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。