藤井 友梨香

ガラス作家です。 2022年の秋から葉山暮らし。写真と文章で日々の制作のこと、旅のこ…

藤井 友梨香

ガラス作家です。 2022年の秋から葉山暮らし。写真と文章で日々の制作のこと、旅のこと、庭のことなどを綴っています。カメラはFUJIFILM xt-30📷✨ 展示会の情報は主にこちらから 👉https://www.instagram.com/yurika_fujii

マガジン

  • 旅の瞬き

    2022年秋。念願の一ヶ月の一人旅。 ヨーロッパ周遊(イタリア、オーストリア、チェコ、スペイン、ポルトガル)の旅の記録。

  • やまうたう

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    ガラス制作の日々のこと、展覧会のことなど。

  • ガラスと季節の言葉たち

    春分の日から一年間、季節の言葉とガラス作品を合わせて、その制作背景や思いについて綴ってゆきます。 二十四節気のリズムで更新◎

  • ウズベキスタンDiary

    2019年・秋にウズベキスタンを旅した時の日記

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有線七宝との出会い

私は吹きガラスのうつわに、有線七宝の技法を施す「ガラス胎有線七宝」という技法を使って、酒器や茶道具などを作っています。 この「吹きガラス×有線七宝」という技法を編み出した経緯や、技法について聞かれることが多くなり、いつか纏めたいと思っていました。 少し書きすぎてしまいましたが、創作の葛藤や経験をここに書いてシェアすることで、だれかのなにかヒントになることもあるかもしれない。そして何よりこれを書いたことで、自分自身が原点に立ち返ったような思いがして。大切なことだと思ったので

    • 春の森戸川林道へ 

      ようやく東京も開花宣言。今年の3月は長雨で、少しづつ芽ぶき始めているはずの森の植物を、なかなか観に行くことが出来なかった。 iPhoneの写真フォルダを確認してみると、去年の今頃はもう桜も満開だった。桜が遅いということは、森の植物の成長も遅れているだろう。でもウズウズする。今しか見られない植物がたくさんある。絶対に見逃したくない。 そしてようやく、先週の木曜日に気持ちいい晴れの日がやってきた。よしっ森に行ける!!早速スケッチブックと水筒を持って出発。 ここでいう「森」と

      • 直感に従ってみたら ネパール旅行記 vol.7

        ネパール滞在中に毎日書いていたこの日記も、今回が最後です。vol.6と7は、帰国してから写真を選んだり文章を直したりして、ちょっと時間が経ってしまったけれど、やっぱりリアルタイムで書き残しておいて良かったと思いました。 それでは、最終話です。どうぞ! 2023年8月8日 帰国の日。 22:30のフライト予定だから、丸1日時間がある。 本当にあっという間だった。さすがに疲れが出て、ベッドからなかなか起き上がれない。 窓の外は、今日も真っ白な霧だった。気持ちがいいからま

        • 私の星空 ネパール旅行記 vol.6

          2023年8月7日 無理だろうと分かってはいたものの、日の出の時刻に目覚ましをセットしておいた。アラームがなって、うっすらと目を開けると外は真っ白。雨というよりは、濃密な霧が立ち込めている。 ヒマラヤが少しでも見えたら良いなと思って、ここナガルコットまで来たけれど、ヒマラヤどころかホテルの下の階すら、良く見えない。ナガルコットは標高2000mもある街で、カトマンズが標高1400mだから、ここまで一気に登ってきた訳ではないけれど、それでも気温も空気も全然違う。 今日は一度

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          「Who am I ?」 #ネパール旅行記 vol.5

          パタン最終日。猫の甘えた鳴き声で目が覚める。外を見ると、なんとポピが子猫と一緒にいる!お母さんだったのかぁ〜しかも3匹も!かわいい。 朝食の時に、宿のオーナーのサンタさんに気になっていたことをいくつか質問してみた。 まず玄関の前の、お祈りの跡の意味。検索してみたんだけど、全然分からなかったんだよね。 「あれはね、私たちは毎日朝、ガネーシャにお参りをしに行く。その前に、家の前にあるマントラを花で飾る。そうして家と心に、悪いものが入って来ないようにお祈りするんだ。」 ガネ

          「Who am I ?」 #ネパール旅行記 vol.5

          花と宗教 ネパール旅行記 vol.4

          2023年8月5日 今日は6時頃に、バイクのクラクションで目が覚めた。ここの宿も空調は無いから、窓は開けっぱなし。でも湿気が無いから気持ちがいい。 朝食をいただきにテラスへ降りる。宿のおばちゃんが鉢植えのバジルを、手で千切ってもっていった。朝食のオムレツに入れてくれるんだって。 テーブルの上に美味しそうなオムレツと、チャイが並ぶ。オーナー夫妻が一緒に座ってくれたので、楽しいお喋りが始まった。 宿のおじさんの名前は「Santa(サンタ)」さんで、ネパール語で意味は「平和

          花と宗教 ネパール旅行記 vol.4

          Patanへ #ネパール旅行記 vol.3

          2023年8月4日 今日も大きな鈴の音で目が覚めた。どうやら寝室のすぐ外に、お祈りの場所があるみたい。さすがに寝不足過ぎて、もう一度寝ようと目を閉じる。喉は、薬が効いたようでホッとする。 のろのろと起きて、両替をしに銀行へ向かうと「両替は10:30からです」と言われる。後1時間くらい。なんとなく目に止まったカフェで、アボカドトーストとマサラティーを注文して待つことにする。アボカドトーストには卵も乗っていて、美味しかった。なんだかここにいるのが不思議な感じ。ちょっとベトナム

          Patanへ #ネパール旅行記 vol.3

          美しい習慣に触れる ネパール旅行記 vol.2

          2023年8月3日 大きな鈴の音がして、びっくりして目を覚ました。時計を見ると朝の5:20。どうやらお祈りの時間がもう始まったようだ。宿泊しているこの部屋は、空調が無いからすべての窓が開けっぱなし。だから色々な音がする。水を使う音、子供の笑い声、鳥の声、バイクの音。 もう起きてしまおうと、身支度をして外に出る。細い路地を歩いていると、さっそく素敵なものを見つけた。誰かのお祈りの余韻。なんて美しいんだろう。 昨日の夜には分からなかった、色鮮やかな街が広がる。目的地を決めず

          美しい習慣に触れる ネパール旅行記 vol.2

          喧騒と憧れと #ネパール旅行記 vol.1

          2023年8月2日 4時に起きると、空はまだ暗かった。ものすごく眠かったけど、頑張って支度をする。夜まで仕事をしたりして、なんだかんだで結局2時間しか眠れなかった。逗子駅の始発に乗って、大船で成田エクスプレスに乗り変える。寝不足だと全然頭が働かない。電車の中で少しでも眠りたかった。 目を瞑ってボーッとしていると、東京駅から乗ってきた欧米人のファミリーから、懐かしい香りがふわっと漂ってきた。去年ベネチアで、間に合わせに買った化粧品の香りと同じだった。香りは記憶と強く結びつく

          喧騒と憧れと #ネパール旅行記 vol.1

          満月の夜に、旅立つ #ネパール旅行 前夜

          偶然が奇跡のように重なって、思いがけず明日から旅に出ることになった。 場所はネパール。フライトチケットを取ったのは、なんと3日前。さすがにここまで急に海外に行くことにしたのは初めてで、チケットを取った後でビザが必要なことが分かったりして(!)肝を冷やしたけど、どうにかこうにか、旅立つことが出来そう。 「いつか行ってみたい国」という漠然とした憧れをもって、世界地図を頭の中で広げる時、ネパールはいつも頭の片隅にあった。 あの不思議な形の文字や、ヒマラヤという響き、本場のチャ

          満月の夜に、旅立つ #ネパール旅行 前夜

          夏の始まりを写真と

          なんだかんだで、毎日のように写真を撮っている。葉山に越してきて初めての夏。今回は日常の写真と共に、最近の日々をちょっとだけ振り返ってみる。 ・ 今年は梅仕事が楽しかった。今井真美さんの「ときめく梅仕事」の本を参考に、いろいろと仕込んでみた。季節の手仕事が出来ると、本当に心が癒される。 先月末の個展では、久しぶりに風鈴を作った。風鈴の短冊部分を陶芸家のつちやまりさんに作って頂くというお力添えもあり、我ながらとってもかわいいものが出来たと思う。これも季節のお仕事。 庭では

          夏の始まりを写真と

          羊歯と木漏れ日の世界で

          5月の連休中、写真家の友人の高埜志保さんと、葉山の仙元山へハイキングに行ってきました。 と言っても、のんびり歩いても3時間ほどのゆったりとしたお山。海も見えるし良いお散歩コースだよ、と近所の友人から聞いていたから、気楽な気持ちで出発。 逗子駅で待ち合わせをして、大好きな「逗子茶寮 凛堂-rindo-」へ。前回は夜に飲みに行ったからランチは初めて。メニューに並ぶ「つゆひかり」「みなみさやか」「玉川早生」……お茶の名前も、いつも美しいなぁと思う。季節の美しい和菓子や飾られて

          羊歯と木漏れ日の世界で

          博多の屋台と、さよ子姉妹

          我が家は今年も早めのゴールデンウィークを取って、久しぶりに山口県の祖父母宅へ行ってきました。その帰りに博多に一泊したのだけど、なかなか良い夜を過ごしたので、その時のことを。 第一に、こんなに大きな街に、これまで一度も来たことが無かったという衝撃。博多について本当に何も知らなかったから、あまりの都会ぶりに圧倒された。 こんなにビルがあって、こんなにたくさんの人がいるのに、私の知っている場所は1つもない。海外に行くと、ここでは誰も私のことを知らないんだ…!なんて、自由な気持ち

          博多の屋台と、さよ子姉妹

          引っ越しと料理と

          3月になったということは、葉山町に引っ越してから丸3ヶ月経ったということになる。庭の片隅のフキノトウは随分成長したし、今朝は思わぬところから小さな水仙が一輪、遅れて咲いているのを見つけた。そして家を揺らすような強風の吹く夜。一気に春がやってきて、まだ心が追いついていない。 新しく越してきた家は、とにかく良く冷える家だった。 築70年越えの平家で、家の真ん中に長い廊下がある。ちびまる子ちゃんの家のように、昔はこの廊下に黒電話が置かれていたに違いない。この寒い廊下で、夜な夜な

          引っ越しと料理と

          二度と行けない あのカフェの

          2019年のハノイの旅は、ちょっと変わったものだった。 夫がベトナム北部のハノイで、とある長期プロジェクトに携わっていて、その滞在先に遊びに行ったのだった。 場所はハノイの中心部である旧市街地ではなく、西湖(テイホー)と呼ばれる大きな湖の東側、駐在員や外国人がたくさん暮らしているエリアだった。 昼間は夫は仕事なので、一人で湖を中心に毎日たくさん歩いた。外国人向けのオシャレなお店も多いけれど、少し奥まで行くと、木の舞台にゴザを敷いて、ほとんど裸のような格好でごはんを囲む家族

          二度と行けない あのカフェの

          一枚の写真から

          ここ数年、中国のギャラリーとお仕事をする機会が増えてきた。残念ながらコロナが始まってしまったので、個展があっても現地には行けず、作品だけを送る日々。そんなことだから中国に行きたい熱が高まっていた。 つい昨日のこと。中国は蘇州市から、とあるギャラリーのオーナーが、通訳と共に我が家に打ち合わせに来てくれた。 私、すっごく中国に行きたいんですよ!と、ここ数年読んだ中国関連の本を2人に見せていると 「なぜそんなに中国に興味があるのですか?」 と聞かれて、う、と詰まった。 歴史

          一枚の写真から